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人魚さんの妹さん

みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。


89話の続きになります。


こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

side 主人公


 あちこちに養殖池?がある。これって人魚さんたちにとっての家庭菜園みたいなものだろうか?


 こちらはかなり北の方なので、人間の国基準だと草木が育ちにくく穀物などはとれないと思う。まぁ人魚さんたちの主食は魚だと思うけれども。


 きっと自家製の野菜の感覚で貝とかを育てているんだろうな。これだけ養殖していると確かに貝殻はたくさんあるんだろう。


 人魚さんにすごいね、と感想を言うと見慣れた光景過ぎてつまらないのだそうだ。しかし、子供の頃から池の手入れは手伝わされていたという。


 毎日貝と魚しかない祖国。200年で飽きてしまったという。まぁ、200年は長いとわたしは思う。ほかのご長寿の方々にとって200年はどんな感じなのかは分からないが。


 閑静な場所で独特の様式美がそこには感じられた。道の両側には街路樹の代わりなのか立派な珊瑚の木と海藻が植えられており、人魚さんによるとどんどん育つので海藻などは住民が毎日せっせと刈り込んでいるそうだ。珊瑚の木も伸びた分は伐採して、建材などに活用しているという。


 刈り取った海藻は各家で持ち帰り、食糧や養殖の池の餌または肥やし?にしていいという。人魚さんの家は、貝殻と珊瑚の木で造られていた。


 庭は街路樹とはまた違う品種の海藻がよく育っているみたいだ。下手したら埋まりそうなのだが、人魚さんはとくに慌てた様子はないので平気なのかも。


 まわりのほかの住居の素材も概ね同じなので、統一感があって街並みとしては整っている印象だ。納得した。かなりキラキラしているのに煩く見えないのはなぜか理由が分かってスッキリだ。


 玄関で呼び鈴を探すとかわりに法螺貝みたいなものがあった。人魚さんは普通に法螺貝に向かって帰って来たこと、お客も一緒なことを伝えた。


 しばらくすると扉が開き、中から年若い乙女が出てきた。金髪ではない黄色の髪の乙女で、瞳がまるで貝殻のように輝いている。


 人魚さんがわたしたちに妹だと紹介してくれた。妹さんは丁寧に挨拶を返してくれて歓迎してくれた。


 親父たちは元気か、と聞く人魚さんに前の戦でふたりとも亡くなったと告げていた。そっかぁ、とだけ返し人魚さんは妹さんの頭をポンポンすると家族の家を守ってくれてありがとうと笑う。


 長い時間が流れれば、いろいろなことに変化があるものだ。


 わたしは突然の訪問を詫び、手土産がわりにいつも通り魔物を取り出した。人魚さんも普通にお肉食べているからたぶん大丈夫だと思う。


 ほかに何か気の利いた物でも手元にあればいいのだが、森と街で冒険者をしているだけのわたしには狩りで捕った獲物が一番たくさん手元にあるのだ。


 後ろにいた竜さんたちの中から、赤の老が進み出て優しげに挨拶する。家の中に案内され、妹さんがお茶を出してくれた。


 ひと息ついたところで、人魚さんが戻ってきた理由を話す。気儘に世界中の海を渡り歩いて(泳いで)いたこと、人間にうっかり捕まり死にかけたこと、そして人間に助けられたこと。


 心機一転やり直す前に、一度皆の顔を見ておこうと思って戻ろうとしたら番いを得たこと。人魚以外と番うのだから族長にも報告した方がいいかなと思ったこと。


 妹さんは人魚さんが死にかけたというところで、青ざめたがまぁ仕方ないかと諦めた様子であった。


 また番いが出来たというところでは、まさか!ととっても驚いていたが深紅さんとの仲睦まじい様子にどこか安心したような嬉しそうな表情だった。


 改めてと、赤の老がこの度はうちの一族の深紅の番いが見つかってとても喜ばしいと感謝を告げた。


 ご両親がお亡くなりになっていたのはとても残念なことではあるが、こうして妹さんと人魚さんとの再会の場に居合わせることもかない、新たな縁を結べたこと、誠にめでたいことである、と。


 スッと側に控えた赤の師父が妹さんに何かを差し出す。それを赤の老から説明してくれた。これは結納の品々であると。


 出来れば、せっかくの機会なので一族の長にもご挨拶しておきたいと。


 妹さんはわたしたちを改めて見渡してすごい顔ぶれだと感じたのか、先程の人魚さんも報告しようとしていたこともあるのだろう族長にお話ししてきますのでお待ちくださいと席をたった。


 そんな中わたしは白の老のことが気になっていた。どこかに気をとられている様子で、なんだか落ち着かないのだ。白の大伯も気がついているようだった。


 ほどなくして妹さんが戻り明日の朝、族長の元に案内すること、その後心ばかりの歓迎の宴を催すことになったと話してくれた。


 それまでそれぞれ案内した部屋で寛いでほしいと言われた。夕食のときは部屋の貝で知らせるという。部屋にも玄関よりは小さな法螺貝がついていて、言葉を伝えてくれるらしい。


 わたしたちに害意がないことが伝わったのか、突然の訪問者に警戒した空気だったが今はそれが緩んでいる。


 それと同時に周囲に気配が増えて、2階の窓から覗くとあちこちに人影がふえて池の手入れや街路樹の刈り込みをしている。


 なるほど強者が来たらまず隠れて様子を見るのだろう。特に戦えない者たちには大切なことだ。

 


 

 





 


 


 

たくさんの作品がある中で

お忙しい中お読みいただきありがとうございます。

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