小鳥さんが仲間入り
みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
side 主人公
森の洞穴に帰ると、羽仲間の2人が仲良く演奏をしている。正確にいうと、ハーピーさんの演奏を小鳥さんが左右に揺れながら聴き入っている。
微笑ましい。魅惑のふわふわだ。小鳥さんは相変わらず目つきはアレだが、音楽好きとはこの世界の小鳥はすごいね。ああ、わたしも小鳥さんを手にのせたい。ふわふわを撫で撫でしたい。
お帰りなさい、とハーピーさんが言ってくれる。そういえば令息の時は、一緒に帰ってくることが多かったからか、お帰りなさいという言葉を聞く機会がなかったなぁ。おはようございます、とかはあったから。
お土産を渡すと喜んでくれた。お土産は街で買ってきた串焼きと揚げ菓子だ。少し小鳥さんにあげてみますね、と言うハーピーさんに小鳥にそんな物あげて大丈夫?と聞くとダメなら食べないと思いますよとのこと。
ハーピーさんがわたしに取り分けた小皿を渡してくるから、そっと小鳥さんに声をかけて小皿を置く。すると小鳥さんはわたしの肩に乗り、頬擦りしてくれた後小皿の中を啄んだ。イヤーん、やった!触れ合えた。嬉しい。ハーピーさん、グッジョブ!
その日、小鳥さんは森へ帰ろうとはしなかったから泊まってもらった。朝はソーセージと卵とパン、やはりハーピーさんが自分の分から取り分けて小鳥さんにあげている。着実に小鳥さんとの親密度がアップしているね。羨ましい。
そんなわたしやハーピーさん、小鳥さんの様子を一歩引いて観察している狼さんが面白いモノを見るようにみている気がする。
わたしはハーピーさんに、ハーピーさんも何でも食べられるから小鳥さんもいろいろ食べられるのか聞いてみた。狼がブフォッと吹き出す。
ハーピーさんは糸目みたいになってわたしを見ながら、この小鳥はなんでも食べられるようですよ、と教えてくれた。もしかしたらお話もできるようになるかもしれませんねと言う。
そうか、言葉を教えればいいのか。カラスだって喋るのだから、試してみてもいいかも。早速、小鳥さんに話しかけ、その時はなるべく同じ言葉を繰り返すようにしてみた。
すると本当に1日でカタコトを話すようになってきた。いや、いくらなんでも早すぎない?さすがのわたしもなんか変と思っている。ハーピーさんが何かしたのかとじぃーと見ていると、無実ですと主張された。
とにかく小鳥さんのお喋りが洞穴で聞かれるようになった。教えてはいないと思うのだが、もっとちょうだい、とかそれも食べてみたいのとか、お腹すいたとか、お菓子好きとかいろいろ話すようになってきた。
とても真似ているようには思えず、言われるままお菓子や食べ物をあげている。そこで気になりだしたのが、小鳥さんが少しまん丸くなってきたように思うのだ。
わたしは小鳥さんに散歩をすすめるのだが、頼まれた、わたし見守ると言ってハーピーさんのそばにいてくれるらしい。
こうなるとハーピーさんに日光浴がてら外に行ってもらうしかない。まぁ2人とも運動不足はよくないからね。
side ある魔狼???
目の前を丸くなった小鳥がヒュンと飛んで行く。決して性格が丸くなったとかの意味ではない。丸くなっても身体能力に影響はないようだ。ハーピーがため息をついている。
いろいろ食べさせるキッカケになったのはおまえじゃないか。律儀にハーピーを見守る小鳥だがハーピーにとってはいい迷惑だろう。どちらも鳥っぽいが同じ種族ではないし、小鳥は得体が知れないし。
お互い故郷を遠く離れたとはいえ生きている以上は一族に忠誠を誓う身のはず。魔族の種族は基本的にどこも結束が固く、血に忠実で本能の支配力が強いものだ。強くて相容れないものがずっとそばに居たら気が休まらないと思う。
あの小鳥は正体不明、そのくせやけに強い気配を放っている。そんなものと2人1組扱いされるのは大変だ。よく頑張っている。
「リーダーにもう大丈夫だって言えば、見守りも終わりになるんじゃないのか。そうすれば、そもそもはじめに頼んだリーダーが小鳥にもういいって言うんじゃないか?そうすれば解決だ。」
「見守りなんて、本気でしているのだろうか。小鳥の本当の目的が分からない、これほどの強者ならば下手に対立したくないから、できれば望み通りにして穏便に目的を叶え、満足して森に帰ってもらいたいと思っているんだ。」
触らぬ神に祟りなし的な思考だったか。そこへリーダーが帰ってきた。
「ハーピーもだいぶ具合がいいみたいだから、もう契約を解除していいんじゃないか?」と言うと、ハーピーの方を見てひとつ頷き、どうする?と聞いている。
ハーピーが解除してください、と決意を固めたようだ。まぁ契約が解除になってもあまり変わった気がしないが。
リーダーがハーピーさんが元気になって良かった。やっぱり同じ鳥の仲間がいてくれたからだね、小鳥さんありがとうとお礼を言っている。
いや、同じ鳥?じゃないぞ!ハーピーだってショックを受けているじゃないか。なのに小鳥が自信満々に言う。
「頼まれたからにはわたし、頑張った。だからいろいろな物を食べさせて。森にはない食べ物、わたし気になっていた。一緒にいればいつでもいろいろ食べられる?それならしばらく一緒にいたい。」
「それはハーピーさんが好きだから一緒にいたいということ?」とリーダーが的外れな確認をしている。
いや、小鳥が言っているのは一緒にいれば美味しいものを食べられるから一緒にいたいってだけじゃないのか。
小鳥が不思議そうに首を傾げて考えている。
「その鳥も好き、いい音聞かせてくれるから。そっちの狼も好き、肉くれたから。リーダーも好き、毎日パンくれた。それにこの森に現れた時から知っている。リーダーはモフモフやふわふわが好き。ふわふわさせてあげるから、これからもお菓子とかちょうだい。」
リーダーがわたしは変態じゃないと慌てている、そんな交換条件みたいなものがなくても一緒にいようよ、と。小鳥さんがハーピーさんや狼さんを好きみたいで嬉しい、一緒に行動するなら好感のある相手がいいものとか言っている。
やれやれしばらく一緒に行動するのが決定みたいだ。しかしこれでハーピーにベッタリではなくなるだろうからいいか。
たくさんの作品がある中で
お忙しい中お読みいただきありがとうございます。




