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帝国速報8 領主の息子たち

みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。


こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

side ある西の領主の庶子の青年???


 領城に戻ると心配していたらしい弟たちと執事たちに迎えられた。こうして自分の身を案じてくれる者たちに囲まれてつい幸せを感じてしまう。


 使用人用の食堂(厨房のすぐ横)で広場で観てきたことを話す。皆顔色が悪くなった。どうしますか?と執事が皆を代表して聞いてくる。食糧の備蓄は節約してひと冬でしょうという。


 確認して良かった。というか、われわれだけ残すにしてもギリギリしか食糧がないとか子供たちや年寄りにどうしろというのか。


 ともあれ逃げるあても、立て篭もる備蓄もなく、売り物にできる贅沢品もない以上迎え撃つしか方法がない。


 まぁ迎え撃つと言っても戦える者さえほぼいないが。わたしも剣を手にしたのはごく小さい頃だけ。9歳の弟は剣術を習っているところ。あとの家人は戦闘職ではない。


 もし巡見使隊が来ても城まで来るかわからない、もし捨て置かれたら街で働き口を探して働こうと思っている。


 もし彼らが城に来てしまったら、城を明け渡し素直に従おう。ただ帝国の役人がマトモかどうか分からないので相手を見てからだ。その時、せめて剣くらいは手元にほしいのだが。


 執事が自分は一本持っているという。兵舎には武具もなくなっていた。すると弟が練習室を見てくるという。剣などを屋内で鍛錬するのに使っていた部屋か。


 弟と執事と練習室を見に行く、戸棚には簡易防具や練習用の木剣に紛れて剣もあった。普通に冒険者や兵士が使う低ランクの剣みたいだ。これでもないよりましだ。


 弟と執事に防具は身につけてもらえばいい。とりあえず、すぐ城を出るように言われたら出られるように荷造りをしてもらう。


 不安な朝がやって来た。皆食欲がないようだ。広場の様子を伺いながら入り口に集まる。なんとなく空気の騒めきを感じ身構えていると人の気配が近づいてくる。


 巡見使隊といっていたが思ったよりも少人数だった。皆お仕着せを纏い武器らしい武器は構えていない。


 剣を構えたわたしたちを見ても動じることなく声をかけてくる。向こうには敵意や害意は見受けられないが、われわれは子供や年寄りばかりなのですぐに警戒をとくのはこわい。


 自分たちは帝都から派遣された巡見使隊であり、決して無闇に拘束したり乱暴したりすることはないという。


 説明したいので皆楽にしてほしいという言葉に躊躇いながらも従う。もともと話の分かる相手なら大人しく従うつもりだったのでいう通りにする。


 巡見使の中の文官のような人物が、顔ぶれをみてどこか椅子のある場所で話しましょうというので、食堂へ案内する。


 まず説明のまえにみなさんがなぜこちらに残っておられるのか聞いてもいいですか?というので戦場に出られない幼い者と年寄りのみが城の管理人として残りました、と答えた。


 この中にご領主の血縁の方はおられますか?というので正直に弟ふたりとわたしが名乗り出た。


 弟が抱っこしている赤ちゃんを見て、驚いたように乳母はいないのか聞かれた。そういえばいない。いつからかわたしたちが世話していた。


 文官からみなさんを鑑定させていただきたいと思います、というので素直に鑑定を受けた。驚いたことにこれで領主の身内であっても、罪とは無関係なのが簡易的にではあるものの証明されたようで助かった。


 皆で不安に思っていたことを思いきって聞いてみる。わたしたちはこの後どうなるのか?城を明け渡すのか?


 するとこのまま城の管理をお願いされた。文官は気を使ってくれたのか、管理費も出しましょうと手当てをつけてくれることになった。


 不足している物を訊ねられたので、子供部屋の絨毯と読み聞かせのための本や学習用の教材を返してほしいとお願いした。あとカーテンがあった方が建物が傷まないかもしれないと伝えた。


 それだけでいいのかと驚いていたが質素な暮らしにはもう慣れてしまった。それから働けるというのは本当か確認する。このままでは路頭に迷ってしまうので、なんとしても働きたい。


 その後巡見使隊の方から改めて説明と質問を受けた。


 帝都ではあやしげな呪術を操る者たちを重用しており、正常な判断のできる者がほとんどいない状況で戦争を仕掛けるというおそろしい事態になっていたそうで、今回皇太子殿下と皇弟殿下率いる貴族たちが協力しこれを排除に成功。(建前)


 帝都は聖なる御遣いの方々のおかげで浄化されているところだという。この機に皇帝派を裁き、秩序と平穏を回復したいと皇太子殿下はお考えですとのこと。


 今回帝都にいた貴族のうち裁かれるべき者たちは、裁きの槍をその身に受けて現在取り調べ中でありその後極刑に処されることが決定しております。


 関係者はほぼ皆拘束されたと思われますので、安心して良いでしょう。


 ところで昨日も領都に参り、領城にも下見に来たのですが、その際捕らわれていた者たちを救出致しました。


 何かこのことについてご存知ではありませんか?といわれ何のことか分からなかった。


 しかし、執事が震えながら申し訳ございません。ご領主さまから承っておりました、と告白する。一体どういうことが教えてほしいというと話し出した。


 出兵する間際に呼び出され、地下牢に収監している者どもの世話を言いつけられたそうなのだ。なんでも反抗的な住民たちらしく、捨て置けなくなり収監したものの急ぎ出兵することになったので裁くのは帰ったら行うという。


 執事としては死んだことにして逃がしてやりたいと思っていたそうだが、なにしろ人数が多く不自然にならない段取りをなかなか思いつかずにいたそうだ。


 また人知れず世話をするのも大変で、そろそろ隠しておけなくなっていたという。もう皆に打ち明けてなんとかできないか相談しなければと思っていたそうだ。


 今回こんなふうに知られてしまったが助け出されたのはとても良かったとホッとしております、というとどうかこの件についてのお咎めは自分ひとりにという。


 馬鹿なことをいうんじゃない、執事は何も悪くない。巡見使たちを見ると、ほぼ推測通りですねと笑う。


 執事を咎めることはないので安心してくれていいと。わたしはホッとした。こんなふうに小さな弟やまだ赤ちゃんを抱え、皆を養っていかなければと思うと背がずうんと重くて不安だった。


 使用人同然とはいえ、領城暮らしの世間知らずで年若い自分に自信がもてず、子供の頃から知っている執事は心の拠り所なのだ。


 本当に咎められなくてよかった。


 働けると分かったので、ギルドや役場に行けばいいかと思っていたらまずは帝都に行ってみませんか?と言われた。


 帝都、憧れの場所。しかし皆を置いて行く気はない。すると、朝自分たちが来る時に入れ替わりで向かい、帰りも入れ替わればいいという。


 何が出来るか分からないが、毎日ここに帰って来られるならばやってみたいと思った。

 

 




 

 


たくさんの作品がある中で

お忙しい中お読みいただきありがとうございます。

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