混乱の収束2/2?
みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。
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こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
side ある帝国の若者???
なぜリーダーはそんなに焦っているのだろう。わたしはふとそう感じた。
なのでもう場所とか誰の前だとか関係なく、いつものように聞くことにした。
焦っているように見えるというと、とても驚いていた。自分では意識していなかったらしい。皇太子を伴い大広間の中央、巨大な魔道具の置かれたところまでくるとリーダーが説明をはじめた。
ちょうど城にいるほぼ全員が大広間にいたのもタイミングがよかったのだろう。わたしたちが中央に出ると自然に皆の視線が集まる。
リーダーが魔道具を天井近くに投映する。この映像と説明の声はお仕着せを着るものには皆伝わっているそうだ。今この場にいない者にも共有されているとのことで感心する。
天井に大きく映し出された台帳の魔道具と城の地図の魔道具とお仕着せの関連を聞かされる。
このお仕着せは着用すると個人登録されて、台帳に基本情報が記載される。名前、年齢、出身、職歴、現在の担当職務などだそうだ。それらが登録された日時と共に台帳に記載され賃金の管理がされる。
どうやら賃金が未払いかどうかもわかるようだ。お仕着せは、皇太子殿下を見てもわかるように担当職務が一目瞭然である。
疑問なのは皇太子殿下とは職務の扱いなのか?だが皇太子殿下に不満がないようなのでよしとする。ちなみに、皇弟殿下も皇弟殿下と書かれてありクレームはとくに出ていない。
ほかには、文官:ただ今貴族たちの調査中!とか、厨房担当:夕食および朝食担当など、極めて分かりやすく表示されている。しかしこれって、何か悪いことしようとしたら分かるのでは?
ちなみにお仕着せを着ることで就業時間も管理されているそうで、脱ぐとカウントされないようだ。ただ脱いだことも記録には残るようなのでおかしなタイミングで脱いだら理由を追求されても仕方ないという。
今は、では食事中に当たるのかと自分や周りを確認すると、業務連絡:説明および食事休憩中となっていて細かいな!とちょっと思った。
台帳には勤務地、勤務時間、職務内容が随時記載されていくらしい。そして、城の立体地図?模型?のようなものにリアルタイムで所在地が表示されているのだ。
視察や食事のために移動するとその順路通りに表示も変化していく。これって暗殺とかし放題なのでは?と心配になったが、ついでに侵入者の表示も出るらしい。
スッとリーダーが指し示すところを見ると、教会関係者と市民代表と帝国所属の警備隊の者が入ってくるところだった。
教会関係者は、呪いを掛けられていた被害者で浄化の槍のおかげで自由を取り戻したことが地図に書かれている。わかりやすい!でもいいのか?これっていろいろモロバレなのでは?
市民代表は市民からの信頼の篤い人物とある、おそらく帝国の現在の状況の確認、情報を収集し今後の対応のための訪問と思われる。
警備の者は帝都の出入を管轄とある。しかしこの者はお仕着せを着ている。わたしは城の外までお仕着せを配ってはいない。では誰が配ったか、自由に動けて人物鑑定が自在に使えるといえばこの人くらいしか心当たりがない。
とりあえず今は魔道具の性能の凄さだけ理解したでいいと思う。ところで、この魔道具を我々はどうしたらいいと?
どうぞ使って、と気軽な反応だ。思いついたので試作の意味でも使ってみて意見を聞きたいそうだ。まさかの試作品?
この混乱期では誰が何をやっているか分からなかったり、どこにいるか分からなかったり、人を増やしていくなかで管理しきれなくなったり。その場、その場の迅速な対応をいちいち記録することもできないだろう。
しかしだからこそ、親身に事態の対処にあたる人々の努力が有耶無耶になってはいけない。
どんな片隅での頑張りも、すべてが混乱収集のための皆の努力であり成果だからこそ、きちんと評価され対価を支払われるに値する働きなのだ。
それは領地の片隅の倉庫の管理であっても、帝都の門番であっても、城の皆の健康を支える厨房の担当でも同じ。彼らの働きもなくてはならない働きなのだ。
という発案から作ってみた魔道具なのだそうだ?このような時だから。なのでこの混乱が収まれば、使うのをやめてもいいという。
代金は?というと、ヘッ?とまったく考えていなかったようで押し付けたものだからただでいいという。そんなわけにもいかないと思うのだが、リーダーが本気の様子であり、この魔道具の価値がとても算出できないため保留にしておく。
魔道具の使い方は皆理解したので、適宜散会していく。残ったわたしは、外交や交渉、対外的な対応をまとめて行う担当者と一緒に訪問者を出迎えて対応することにした。
ちなみにわたしのお仕着せにもデカデカと書かれている。
神の遣いの交渉役、帝国4大大公爵、北の大公爵家の三男と。
皇太子殿下と長兄が同世代のため、面識はあったが殿下が廃嫡され所在が不明になられて、大公爵家では必死の水面下での捜索が行われていた。
衰退というか破滅への道を進んでいるかのような帝国をなんとか立て直そうと力を尽くす我が家や一部の心ある貴族たち。
しかしつぎつぎに皇帝陛下やその配下の貴族たちに妨害され迫害せれ、冤罪や不敬罪で処刑されたり、投獄されたり。
不遇の時代を耐えてきた。理不尽な要求、圧政に苦しみ疲弊し、消耗する民たちを救うこともままならず、自分たちの力のなさに嘆くことも許されない。
今ようやく決着がつこうとしている。リーダーを見ていると、なんだかなんでもないことのように思えてくるのだ。
また日常が戻ってくると。人々が笑いあえる、安心して家で過ごせる毎日がやってくると。
たくさんの作品がある中で
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