帝国の皇太子
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side ある帝国の廃嫡された皇太子???
もうこれまでか、と宝珠を使おうとしたまさにその時。地下牢に光の柱がいく筋も現れた。牢番たちは光の矢に射抜かれて失神している。溢れんばかりの神々しい光に焼かれたのか、手を触れると鉄格子がポロポロと崩れ落ちた。
温かい光に心は癒されたが傷は深い。このままでは長くないことはわかっていた。やはり一か八か宝珠を使ってみるほかない。
使うと決意した途端光が溢れて景色が変わった。ここはどこだろうか?キョロキョロしていると、皆向こうに集まっていますよと広場に連れて行かれた。
広場には数百人は人がいる。皆帝国民と思われる。なぜなら、浅黒い肌に大柄な体格、彫りの深い顔立ち、鮮やかな髪の色これらはみな帝国民の特徴だ。
わたしも大きい、皇家は皆特に体格に秀でていて男子は身長が2メートルはあるのだ。そして皇家特有の銀髪に黄金の瞳。この組み合わせは皇帝の血族のみ。広場に行くと皆目を見張って跪く。反皇帝派の貴族たちのようだ、見た覚えがある。
そしてここにいるということは、皆同じような目に遭ったということ。つまり苦楽を共にすべき者たちということだろう。建物から帳面を抱えた若者が何人かとこちらにやって来た。にこやかに、皆さんよくいらっしゃいました、と声をかけたところでわたしと目が合い息をのんだ。
「皇太子殿下?まさか、本当に?」
わたしは、周りを見渡しながら、
「今日やっと宝珠を使う決意をしたのだ。あと廃嫡されている皇太子だ。今まではなんとか脱出し、叔父上をお救いし、逆臣どもと陛下を討ち果たさなければ帝国が滅亡してしまうと思い、宝珠を使うのを躊躇っていたが使わなければ命がないところまで来てしまった。そなたたちにも苦労をかけた。不甲斐ない皇太子ですまない。身内の暴挙を止めることもできず、数多の生命を失った。この償いは生涯かけて行おう。」
若者たちや周りの者たちと事情を説明し合おうとした時、あっちにも人が新しく来たみたいだから呼んでくると言って若者の1人が迎えに行ってしまった。
新たにこの場に連れてこられた者たちを見て驚いた。
「叔父上、よかった。生きておられたのですね。」
「皇太子殿下こそ、お救いできず申し訳ない。ここにおいでということは、辛い思いをされたのですね。私が兄をお止めできなかったばかりに。」
「いや、皇太子であるわたしが、己が役目を果たせなかったのです。お許しください。」
「皆さま、何はともあれ、こうして再会できましたことを神に感謝致しましょう。さっどうぞこちらへ。情報の共有と現状の確認をいたしましょう。確か本日は神の遣い(リーダー)が帝都に向かったと聞いておりますが、皆さまお会いになりましたか?」
話を聞くとなんだかチグハグな印象だった。なにしろ、叔父上は最後の審判がくだされ帝都は半壊したと言うし、他のものは空から雷と槍が降り注ぎ逆臣たちを刺し貫いたと言うし、わたしは光の回廊に導かれ地下牢を脱出しここへ来たと思っていたし。
あれっ、帝都はどうなっているのだろう。もしや民が困っているのでは?
side ある帝国の家令見習いの青年???
どうしよう、廃嫡されたとはいえ皇太子殿下と皇弟殿下、それに家臣の方々までかなりの数の貴族が島に集まってしまった。普通は定時連絡まで待つべきだろうが、こうなるとリーダーと若者に早く連絡した方がいいよなぁ。
この島にこんなに帝国貴族が集まっても他の島の住人が困りそうだ。まさかいつものように水とパンと毛布を渡して小屋で寝かせたり、採取に行かせたりして島の暮らしに慣れさせるわけには行かないだろう。
むしろ早く国に帰ってもらって、悪政を打倒してもらわなくては。
転移陣の扉の前に行くと、実はまだ1度も使われたことのないリーダーにつながるノッカーを鳴らす。コンコン。本当につながるのかなぁ。考えてみれば、ちゃんとつながるか試してみたこともない。1度くらい試してみるべきだったのでは?
はい、どうしたの?とリーダーと若者が帰って来た。よかった、ちゃんと通じた。
急いで現状について報告する。殺されたのでは、と思われていた皇族がまだ生きていたことに内心では驚いている。拘束されているとか、軟禁されているとか、すでに暗殺されているとか。噂はいろいろあったが、どちらかといえば生存は絶望視されていた。
ともあれ今後の帝国を思うと人材は必要で、島に現れたということはこの方々はリーダー判定で善良なのだろう。
若者がこちらに来る。皇太子殿下や皇弟殿下を見て心からの安堵と喜びに顔を輝かせる。跪き挨拶すると2人が若者を立ち上がらせ肩を叩き、生きて再び会えた喜びを分かち合う。
若者はわたしを見ると、帝国民で皇族方と移動を希望する者たちを取りまとめるように言われた。若者はリーダーと少し話すと今から帝都に集団転移するという。
side ある帝国の若者???
よかった!神に感謝を。
まさか皇太子殿下と皇弟殿下がお二人とも生きておられるとは。これであの惨状に1人で対応せずにすむ。リーダーは血みどろじゃないとか、精神衛生上なんたらとか言っていたが、あれは軽く恐怖だ。
リーダーに転移陣を発動してもらう。帝都の城の内部に直接転移した。混乱している都をよそに、城の中はとても静かだ。
これはさっきリーダーが、罪人どもの口を封印したせいだ。手足を失い恐慌状態になった彼らは発狂せんばかりに騒ぎたて、はてはおかしな呪文まで詠唱しはじめ危なっかしいことになったため声を出せないようにリーダーがしたのだ。
はじめ手足がなければ余計なことは何もできず扱いが楽かと思ったそうだが、口があるだけで十分厄介だった。罵詈雑言を言うだけでも腹立たしいが、魔法を使うこともできることに後から気付き拘束と思考を放棄させる魔法までかけて静めたところだ。
リーダーなど、チリにしておけば良かったと愚痴られてしまった。正直その方が楽だったかもしれないが、名もなき相手を処刑するのと訳がちがう。
いつの間にかこの世から消えていましたとか、神の怒りに触れたようですとか、とてもそんな声明を国として出すわけにはいかない。
一応皇帝や貴族たちであるから、処遇も罪状も明らかにし書面に記載して顛末を記さねばならない。
顔が判別できてよかった。ついでにリーダーは鑑定でどんどん口述してくれるから、裏付けを取るだけでいいなんて助かる。
連れてきた皇太子殿下ほかの皆様は、周りの状況に眼を見開いて呆然としている。顔色が青い者はまだしも、顔を背けてえずいている者もいる。
気持ちは分かるがしっかりしてもらわないと。ここにいるわれわれが対応するしかないのだから。
わたしは皇太子殿下と皇弟殿下とその側近だった者たちを執務室に押し込め書類仕事をさせた。主に皇帝陛下の取り扱いについて。もう極刑は確定なのだが、諸外国との交渉や帝国国民感情にも配慮した取り扱いが必要だ。
ほかの貴族たちの中で文官だった方々には、罪人たちの罪状や家族親戚の状況や資産などを調べ上げてもらう。これから極刑になるとしても、その後の賠償や親族の取り扱い、領地や爵位の扱いなど事務仕事は山とある。
他の方々には、被害者の救出活動と、治安維持活動、経済復興、外交交渉の再開、領地、農地の確認に魔物対策、冬期対策、貧民救済。
正直どれほどの仕事があるか、数えきれない。というわけで帝都を管轄する者、国内の各領地に連絡をとり場合によっては粛清する者にざっくり分けて仕分けをある程度任せることにした。
城の中の確認作業はリーダーの気配探査などで先にある程度すませてあるが、殿下方の側近や警護の者たちに見回りさせて安全を確保する。
たくさんの作品がある中で
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