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買い出し

みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。


こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

side ある島の雑用係の人???


 えっと、今日は王都の商業ギルドに日用品の購入希望を出すこと。働きはじめた人たちのところに様子を確認に行くこと。スラムにも寄って裏からみた様子を聞き込みしつつ、リーダーからの差入れを渡すこと。


 王都には何人かで来ている。商業ギルドはあらかじめ話も通っているためか、労働者の装いの自分たちにも普通に接してくれる。


 もちろん今よりひどい身なりだとさすがに嫌がられるだろうが、島で服を配られたのでこうしてリーダーのお使いにも対応できる。


 島の住民は少し減ることもあるが、増える傾向にある。たぶん働き口を確保しても、簡単に決めてしまわずにそれぞれの合う合わないを慎重に検討しているからだと思う。


 リーダーが焦って出て行かなくていいと言ってくれているので、自分もよく考えて決めようと思っている。


 島にはたくさんの人間がいるが、毎朝どこかしらに働きに出かけている。島で採取について教えてもらう場合も、朝から冒険者たちのところに集合する。


 狩りを教えてもらう場合も同じ。南部地域で作業する者たち、北部で活動する者たち、それぞれお弁当を持って出掛ける。今回職人ギルドの協力のおかげで、見習いになることができた。


 自分はまったく考えたことがなかったが、ある程度希望者がいたのでさすがリーダーだと思った。


 女性たちの場合、服飾工房なんかも希望があるようだ。それに魔法の適正を調べて、回復魔法が使えそうなら治療院にも見習いの受け入れをしてくれる。


 そうなのだ、自分の魔法の適正もここに来てはじめて知った。訓練すればそれなりの身体強化が使えると分かり、今練習しているところだ。


 自分は王都のスラム出身だが、以前は村から出て王都で冒険者を少しやっていた。怪我が元で片腕を失ってからスラムで暮らすようになったのだ。


 身体強化が使えれば、剣を振るうにも盾を持つにも役に立つ。足を強化すれば早く走れて逃げやすくなる。元はと言えば憧れて冒険者になっただけに、自分が未熟過ぎて挫折してしまったことで悔いが残っていた。


 今は冒険者の人たちに基礎を習っている。身を守ること、危険についての知識も教えてもらい、もっと状況判断や逃げるときなどの決断が自信を持って出来るようになりたいと思っている。


 夜は読み書きも習っている。はじめは興味はなかったのだが、たくさんの人たちが熱心に勉強しているのを見てやった方がいいのかなって考えるようになった。


 自分がいろいろ教えてもらっている冒険者の人たちも、ここで読み書きを勉強していて嬉しそうにしているのに驚いてしまった。


 聞けば、読み書きができず悔しい思いをしたことがあるらしい。ぜひ習った方がいいと勧められた。


 そんなわけで、毎日何かと忙しい。でも、街や村へのお使いは大事なお役目だ。

 

 どうもこのお役目、見た目で選ばれていると感じる。自分はもともとの体格が良いことや顔が厳ついのもあり、変な奴らからも絡まれにくいタイプだ。そのため安心してスラムにお使いに行かされているのだと思う。


 お使いの中には買い出しもあり、服の買い出しは難易度が高まる。なぜなら護衛の役目もあるからだ。


 服はとにかくしょっちゅう買い出しに行く。ひとつところではなく、あちこちに。なにしろ島に来た大半の人間は着の身着のまま、ほぼボロを着た人ばかりだ。着替えなどもちろん持っていない。


 島では古着を大量に購入し、自分のサイズの物を探し出して着ている。中にはなかなか自分のサイズに合う物を見つけられない者もいる。


 しかし、働きにいくのに裸で行くわけにはいかない。大急ぎで縫い直したりすることも、はじめはあったようだ。


 今では服の在庫も多少はできてきたらしいが、相変わらず買い出しの頻度は多い。それだけ島の人たちにまだ十分には行き渡っていないということだろう。


 島でも布を作れれば服も作れるのだろうが、その布がまったく作れる状況ではないんだよな。機織りとかとても無理だと自分でも思う。


 とりあえずは、一生懸命働いて稼ぎ皆の服を買わないといけない。今の島は、働いた賃金は皆の食べ物や服に使ってもらっている。


 身ひとつで来たのに、食べ物にも困らずこうしてちゃんとした服を着せてもらっているのだから、まずは恩返ししないとと思う。


 それにしても服の買い出しは毎回緊張する。なにしろ女性と一緒なのだから。護衛とは女性たちを護るということで、一緒に行く男たちは、皆コワモテのマッチョばかりだ。


 でも自分、腕っぷしはからっきしなのだが、そうリーダーに言ったら皆結界石があるから最悪は大丈夫?みたいな反応だった。とにかく厄介ごとに巻き込まれないこと。


 服は下着も必要なのもあり、男たちだけで買い出しするとどうしても女性陣からあれ足りないこれ足りないと言われてしまうのだ。第一いろいろ恥ずかしい。


 というわけで、買い出しは男女半々で、且つ男たちが女性たちを護るということに落ち着いたのだ。


 実は働き口が決まってからの方が、服の不足に悩むようになった。なぜならさすがに難民のような格好で働くわけにもいかず、とくに体力勝負な仕事の場合服も汚れたり汗になるので仕事が終わると洗濯して夜干しておくのだ。


 しかし、何日か続けて仕事だと服が乾かないこともある。服の分配はある程度平等に行われるから、あまり無理は言えない。


 そこで近頃流行り出したのが、クリーンと浄化の合わせ技だ。クリーンは生活魔法だから皆たいてい使える。浄化もちょっぴりならいける。


 この合わせ技、修復効果があるので何度も洗濯するより生地が傷まない。皆かなり必死でこの魔法を習得した。これで少ない枚数の服を着回すことができる。


 しかし、話を聞いたリーダーがなんとも言えない顔でもっと服を買い出ししなよ、というので忙しさの合間をぬって買い出しにきているのだ。

 

side ある島の女性の住民???


 今日は買い出し班だ。気合いがはいる。なにしろ皆からの要望をなるべく満たさないといけないから。


 リーダーから預かった魔法の袋に毎回いっぱいの服を詰めて帰る。ありがたいことだ。わたしも服を作る仕事に就きたいと近頃思っている。


 でもまずは一般的な礼儀作法を習得してどこでもやっていけるようになりたい。


 服を作る仕事は、中流層の文化にもある程度対応できる方が勤めやすいらしい。ただ着られればいい服ではなく、着心地のいい服、人から好印象を持たれるような感じのいい服、そんな服への理解がしっかりしていた方ががいいと思うよとリーダーに言われたのだ。


 まずはよく服を観察するようにと言われた。自分の着ている服、人が着ている服、縫い目、ゆとり、長さ、裾の始末、袖付け、襟ぐり、生地の厚み、特徴などいろいろ調べてみたら?と言われたてから買い出しのときも観察のチャンスと思って頑張っている。


 好きなことを仕事にできたらいいなと漠然と思っていた。今はもう少し具体的な何かを掴みたいと思っている。


 毎回緊張しながらついてきてくれる男衆に感謝だ。なにしろ知らない街、明るいうちでも緊張しちゃう。


 わたしたちを絶対護るぞみたいな気合いが入っていて、嬉しいけれど、恥ずかしいかな。


 皆顔はコワイけどいい人たちだ。今度、あの人たちが格好よく見える服選んであげたいな。そうしたら喜んでくれるだろうか?


 ちょっと話したら、冒険者になりたいらしい。やっぱり目指すはSランク冒険者らしい。それなら華美ではなくしっかり身体を守ってくれる丈夫な服がいいと思う。これなんかちゃんと予算内だ。


 彼は、体格がいいからきっと着たら素敵に見えると思う。どうやったら彼にこの服を渡せるのかな?そうだ、体格のいい人たち用、力仕事用、冒険者用、農作業用、用途ごとに用意するのはどうかな?


 島の人たちの需要や悩みや体型もだいぶ掴めてきたと思うし、皆に聞いてみよう。


 よかった、男の人たちだけでなく、女性たちからも新しい目線で選ぶ服に興味を持ってもらえた。


 わたしたちはまだ贅沢はできない。でもこれからは、ただ着られればいいという服から、わたしたちに似合う服、一緒に働く相手に好印象を与えられる服を着られたらいいなと思う。


 だって、毎日服は着るのだ。そして毎日働くのだから、自分にとってのいい服を着られたらそれが今の最高の贅沢なんじゃないだろうか?


 

たくさんの作品がある中で

お忙しい中お読みいただきありがとうございます。


島で指導する冒険者は、定期的に入れ替わります。

また島の住人も増えたので増員されました。

なので若鳥のクランの人だけでは手が足りないので、

あちこちから人柄の良さそうな人を派遣してもらっています。

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