潜入
みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
side 主人公
若者にスケルトンナイトが投影した画像を示し、街の外の連中の様子を見てほしいと頼む。若者は何人か連れてすぐに向かってくれた。
これで少しは何かわかるだろう。冒険者やスラムの人たちも情報収集の大事さは理解しているし、それなりにやっている。しかし彼らは彼らのやり方や聞き込みできる範囲というか、得意不得意がある。
やはり身分が関わってくると苦手のようで、わたしだっていうなれば平民だしねぇ。
というわけで、身分社会の中での振る舞いに慣れている存在は貴重だし、若者は広範囲の層に対応できる器用なところがあるのでほんと助かる。
見たところ、外の連中の身なりはよい。貴族とは思えないが下卑た感じがしないのと、誰かから指示されて動いている者のように見える。そう表の仕事をする者たちだ。
若者は白いマントは脱いで向かった。今門の外に着いたようだ。
side ある帝国の若者???
門の外に出ると、広場から来た方ですか?と声がかかった。そうです、と答えるとさぁこちらへと誘導される。
回復の儀とても素晴らしいですねぇ、あなたはどちらを治していただいたのですか?と、とても自然に聞いてくる。
わたしは両脚を、と話を合わせながら集まっている人々を見て驚くふりをする。すると、あぁ彼らはこれからわたしたちが送って行って差し上げるのですよ、と言う。
身体が回復してもすぐに働き口がある者ばかりではない。また、前代未聞の奇跡、万が一、あとになって不具合などが出てもご家族では対処できないかもしれません。
当方で回復後の経過を見て問題がないことを確認し、お仕事をお世話しようとこうなりまして、当方の上の方は大変慈悲深く人の情に篤くていらっしゃるのです。
ですからあなたもなんの心配もいりませんよ、そばのスケルトンナイトと一緒にわたしどもと参りましょう、きっとよいお仕事を見つけて差し上げますよ、といかにもやさしげな笑顔で今後の予定を決めていく。
どうする?このまま潜入するか?つぎの機会があるとは限らない。
するとわたしの後ろにいたスケルトンナイトが、手のひらに小さな投影をする。そこにはリーダーがハンドサインで行けの合図が映っていた。
しばらくすると馬車が何台もやって来た。こんなに大掛かりに準備できるなんて普通じゃない。この連中はどこの者なのだ。
どんどん馬車に乗り込んでいく一般の人々に紛れてわたしもついていく。
馬車は王都とは違う方向に向かうようだ。霧が出てきたのかはっきりと方角が掴めない。時間の感覚も惑わされている気がする。
馬車がどこかに止まったようだ。いつの間にかどこかの敷地に入ったようだが、どこの建物なのかまるでわからない。
これは魔法か?あるいは魔術か?なにか、幻惑や魅了といった相手の精神に干渉し、意のままにする類の術式が施されている気がする。
以前は防御魔法の護身具などを身につけていたから、影響を防げたがあれらの品は手元にはない。困ったことに思考が不明瞭で判断力が落ちてきている。
side 主人公
こちらはいつも通りにすべてを進める。こちらの動揺や不信感を相手に感じさせてはいけない。囮というのは、敵も味方も惑わすものだから。
とりあえず、スケルトンナイトのひとりにマントを着せて擬装する。
そしてとにかく回復の儀をやりきることだ。どこにこれだけ?と思うほどの人数だ。この街の規模のゆうに2倍は儀式を受けている。
回復がすべて終わったのは日が暮れてからだ。途中宿の手配を頼んだので、この街にもう一泊することになる。
街の外に出て行った人々は馬車でどこかに連れて行かれた。皆識別章を持っているうえ、スケルトンナイトたちも一緒なので場所ならすぐにわかる。
宿の部屋でスケルトンナイトの投影を見ることにする。食事も部屋に運んでもらった。パンとシチューが素朴ながらとても美味しい。
やれやれ若者たちはちゃんと食事にありつけているだろうか?
映像にはどこかの建物に吸い込まれるように消えて行く姿が映っていた。なんだかおかしな建物だ。全員が中に入るとまるで蜃気楼のように消えてしまった。
幻術か転移陣か?さて、どこに行った?
わたしはアイテムボックスから大きな布を取り出すと宿の部屋の壁に広げた。
この大陸の地図で、少し古いものだが精度に問題はなくわたしのお気に入りでもある。冬の夜洞穴の壁に広げては翌日確認に飛んだものだ。
合っているところ、少し違うところを探すのが楽しかった。
宝珠が減って、識別章が増えたところ。それに若者に持たせている識別章は今どこか?地図の上に情報を重ねていく。スケルトンナイトの投影もいくつか呼び出す。
その中には、この街のどこかの家の食卓も映しだされている。質素な食事を皆で囲み、そこにいる全員が笑顔を浮かべている。
そういう平和で和やかな光景はそっと閉じていき、まるで夢遊病の患者のような意識のないまま動いている者たちの映像を見ていく。
皆身体に危害は加えられていないようたが、精神干渉はしっかり受けているようだ。そしてスケルトンナイトたちがその部屋にはほぼいない。
他にも似たような部屋に回復された人やその家族を別々にすることもなく収容しているようだ。
場所は王都、やっぱり王都だったか!位置は地下?
たくさんの作品がある中で
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