もうすぐ王都
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side 主人公
回復巡行は順調だ。明日には王都に到着する。今のところ、宗教絡みの横槍はないのだがこのまま国王陛下との謁見までいけるだろうか?
南部地域の収穫作業もひと段落し、壊滅的な被害が出るところをなんとか防ぐことができたと思う。
あのままだったらと思うと冷や汗が流れる。たまたまわたしと若者が商談に行ったのが奇跡だ。
まぁ救われたのは南部だけではない。島の住民にとってもこの先の選択肢が増え、勤め口のあてが複数できたのでより未来が明るくなったといえる。
南部といえば、あの晒し者の一件だがご領主さまから一日も早く取りやめてはもらえないか、と相談されたので翌日には降ろして肥料にした。
少し時間をおいてわたしも頭が冷えたのもある。やはり普通の感覚の者には、あのような状況のほうがストレスになるのかもしれない。
それから絡まれていた女性も、その後も引き続き農作業を手伝い、頑張っていた点も評価され手当ても十分に出て大変感謝していたというので安心した。
翌朝広場で回復を行う。人口が多くなるので集まる人も増えてきた。広場に入りきらないほどの人波。
これは王都だとどうなるのだろう。しかしまずは儀式だ。だいぶイベントに慣れたので、交通整理の采配も上達してきた。
入り口出口を設け出口側は速やかに移動できるように、制限をかけてもらっている。これで回復の終わった人たちはすぐに帰ることができる。
入り口はそれこそ門の外まで人の列がずっと続いているらしい。まだまだ集まる気配があるというので、今日は午後までかかるかもしれない。
基本的には今まで同様、みな落ち着いて回復を待ち、終わると感謝して去ろうとするのだが、どこか不安定な印象が気になる。
わたしは回復した人たちに識別章を渡し、様子を見ることにした。識別章を渡すとき困っていることはありますか?とつい問いかけてしまう。
今までの村や町では識別章は渡していない。識別章は宝珠を使用すると現れる。宝珠の残滓を利用して作っているので皆回復が終わればひとつは持っていることになる。
今まではあまり大げさにする必要もなく、皆持っているのを自然に受け入れていた。効果も所持していれば所在が分かりやすく、所持している者の状態を知る助けになる程度。
魔力の少ない者の場合は、スケルトンナイトから微量の魔力提供が識別章に行われて問題なく作動する仕組みだ。
それにしても、広場にいる者たちには取り立ててやましい様子はないし、怯えているようでもない。だからわたしもかえって何をしたらいいかわからないのかもしれない。
なにかの企みが巡らされていたとしても、今はよくわからない状況なので警戒を続ける以外思いつかない。
今回の人たちも家族連れや1人で来た人、治療院から集団できた人などいろいろだ。とりあえずこの場にいる人ひとりを回復していく。
まぁ、広場を満たす光の中に一歩入れば癒しはほぼ完了だ。そのまま出口へ止まらず歩いていけばいい。重症の場合は車椅子や荷車というケースもある。そうやって運んできてくれる者が周りにいるというだけで、その者たちは恵まれていると思う。
まぁ1人の場合ひっそりと回復し島にやって来ることが多いから、今まで村や町に取り残されているケースはほぼなかった。
一応気配探査でスケルトンナイトや宝珠の所持者を確認し、付近などに取り残されていないか気をつけている。
この街にも当然スケルトンナイトはいるが、なんとなく数が少ないような?
それに、街の外に向かう人たちが多い?
これまでも回復を受けるため、近いひとは巡行予定の村や町にやって来ていた。この街にも離れたところに住んでいる人たちも来ていると思う。
とにかくわたしは、気配探査で皆の動きを観察した。回復が終わった人たちの多くがそのまま街の外に行く。そのこと自体はそれほどおかしくないのかも。さきに並んで待っていた人たちの多くが外からの人なのかも?
回復が終わったこの街以外から来た人たちは、当然家に帰るはずなのになぜか街の外で動きが止まった。まるでそこに集まるように打ち合わせていたかのように。
いったいどういうことだろう?わたしはスケルトンナイトにその場の映像を投影させた。
回復が広場で続けられる中、街の外では集まってきた人たちが地面に座り込んでいる姿が映っていた。その側には回復した人たちから何か聞き出しているのか?筆記用具を抱えた者もいる。
出て来た者たちをどんどん集めて、いったいなにをするつもりなの?なにがしたいの?この人たちはどこの人なの?彼らをこうして留められるような、なにか権力でもあるのだろうか?
それにしても、皆なぜ外へ?街の人はひとりもいないの?
こんなに大勢の人たちが回復を受けて、本来ならすぐに家に帰り、家族や近しい人たちと喜びを分かち合っているはず?
少なくとも今までの村や町ではそうする人たちが多かった。これからどうされますか?ときくと恥ずかしそうにお祝いをすると答えてくれる人たちが多かったから。
だからなのか、とてもこの展開に違和感がある。気持ち悪い感じ。
こんな喜ばしい日に、あのどこか揺らぐようなおかしな表情?
すごく不安になってきた。
side ある帝国の若者???
あぁ、南部の領主たちと連絡が取れたのは助かった。少しでも帝都の動向が掴めればありがたい。できるだけ同志を救いたいし、援助したいが派手に動くことはまだできない。
巡行は今のところ順調だ。進行に問題もない。でもリーダーの様子がおかしいな?
いつもだと回復の終わった者たちをとても嬉しそうに見送っている、彼らの今後の幸せを願うように。
たくさんの作品がある中で
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