領地防衛
今回は残酷な場面や差別的表現が一部ございますが、
主人公やいい人側は無事です。
あくまでヒドイ目にあうのはざまぁされる側ですが、お気にされる方もおられると思いますのでご注意下さい。
気になる場合はブラウザバックをお願いします。
どうぞよろしくお願いいたします。
こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
said ある南部地域の農夫???
突然お館さまからありったけの農具を街中から集めて畑に来い、とご指示があったときは驚いた。収穫の経験のある者たちをなるべく多く呼んでこい、というので孫たちまで一応連れて行った。
近所に住む友人にも子供たちも一緒にと伝えて連れて来させた。少しでも収穫しないといけない。大切な小麦、あんなに美しく実ったのだ。なんとか少しでもたくさん収穫したい。
その気持ちは皆同じだったようで、引退した年寄りたちもきてくれた。お館さまのところの家令のお方からは、パンを1万個用意してくれと言われているが、1万は厳しいと思っていたら5千でいいと変更になった。
炊き出しなどもしないといけない。お館さまからは、明日からしばらくは日持ちする大きめのパンを中心にたくさん作ってくれと言われている。手伝ってくれる人は大歓迎だ。
とりあえず畑に皆して集まると、転移陣が光って人がわんさか現れた。聞いたことはあっても転移陣など見たことはない。あんな大勢を一度に移動できるとはすごいものだ、と皆で感心していた。
人垣から子供が出てきて、一緒に収穫作業すること。連れてきた人の多くは作業に慣れていないから、お手数だがよく教えてやってほしいと言われた。
その後子供は家令の方のところに行き、連れてきた人数などを報告していた。
早速収穫作業を開始するよう指示されて、何人かずつ連れて作業を教える。その何人かの仕事ぶりを監督しながら必要ならまた教えたりフォローする。
全体として皆一生懸命な様子で安心する。教えると素直に言われたとおりにやってくれるし、あんまり器用ではない者も頑張っている。
それにしても、手伝いの者たちはいずれもひどい身なりだった。よほど貧しいのだろうがお館さまのお手配だからだろう、いい人たちが来てくれたようだ。
あいつらよりよほど皆働き者だ。
side ある南部領主の家令???
今のところ問題はない。そして収穫は順調そうだ。これなら明日はI万の受け入れでも大丈夫かもしれないと思う。
農夫たちの取りまとめ役の者を呼び、明日さらに人数が増えて大丈夫か聞く。とくにパンのことだ。パンは今街に残った者たちが総出で焼いているそうなのでなんとかなるという。
問題は教える者たちだ。今日教えた者たちは明日はまずひとりでやらせてみようと思うが、明日も同じ者たちが来てくれるのか分からないので、もし全員今日とは違う者たちだと教える者たちが足りないだろうという。
どうしたものかと悩んでいてもしかたない、農家出身の者をかき集めることにする。しかし、非常時とはいえあのような仕事の者まで、ほんとうに大丈夫だろうか?警備を増やすか?
side ある南部地域の領主???
昨日は慌ただしい日だった。報告によると十分の一ほど収穫作業が進んだそうだ。
今日からは倍の人数を投入できるし、もう早朝から仕事をはじめているそうなのでつい期待してしまう。こんなに早くから働いてくれているのなら、パンの上乗せやほかの食べ物などで労に報いるべきだろう。
なにしろ諦めかけていた収穫だ。それが彼らの労働力のおかげで救われたのだから。
昨日、転移陣から現れた者たちは夕方前に作業を一旦切り上げ、ひとりパンを1個貰って嬉しそうに転移陣で帰ったときいている。皆とても暮らし向きは苦しそうだと報告をうけた。
若者と子供、差配する担当だという目つきの鋭い男だけ残り、家令と一緒に作業の進捗を確認し明日派遣する人数を決めて転移陣で帰って行った。
今日も若者と子供が転移陣で人を連れて来たのだという。ほんとうに昨日の倍の人数だそうだ。
一応早朝から家令を待機させ、対応に当たらせる予定にしていてよかった。昨日作業に当たっていた農夫たちもみな早朝から集まってきたそうで、すぐに作業に取りかかれたらしい。
皆のなんとか畑を救いたいという気持ちがここまで伝わってくる気がする。
あと少しで昼どきというとき、家令が駆け込んできた。真っ青になって震えながらどうか畑に来てくれという。一体なにがあったのだ。
まさか、若者に何かあったのではなかろうな?万が一にも若者の身に何かあればタダではすまない。どうかご無事で!と祈るような気持ちで畑に向かう。
畑は静まりかえっていた。皆顔色が悪い。作業していた者たちがひとところに固まっている。
農作業を取りまとめていたはずの農夫たちも、皆固まってじっとしている。
治安維持のため警備の者もいたはずだが見当たらない。
皆が遠巻きにしているのは中央の数人だ。若者も困った様子で立っている。ほんとうなら椅子をすすめたいくらいだが、事情を聴くのが先だろう。
子供の横に蹲った女人。女人はどうやら我が領の民のようだ。
「いったい何があったのだ。話してみよ。悪いようにはせぬから。」
子供が家令を見る。すると家令は、顔色を真っ白にしてつっかえながら事情を話し出した。
なんと農作業の補助のためかき集めた者に治安維持のために呼んだ警備の兵士がちょっかいを掛け始めたという。
作業に影響しそうだと感じた家令が対応に出る前に、応援の者たちの世話役の男が子供と若者に連絡を入れた。万が一にも、派遣されて来ている者たちを巻き込んだ騒ぎにでもなれば、紹介者の迷惑にもなる話なので理解できる。
問題は、子供はこのちょっかいを許さなかったことだ。
まずこの風紀の乱れで作業に支障がではじめたこと。見るからに立場の弱い者をいたぶる雰囲気の兵士たちをそのままにはできなかったこと。
子供曰く
農夫も派遣した者たちもあきらかに弱者であり、兵士たちは自分たちの領民にさえ気遣いを示さない。この人手が何より大事なこの時、まったく状況を理解していない者が弱者を虐げるのは許されない。
ましてや日頃はともかく、今このとき彼女は派遣されてきた者たちの指導をしていた。その彼女を辱め軽んじることはご領主さまの施策を理解せず、妨害する行為。反逆行為である。
二度とこのような不届きものがでないようにする必要がある。なぜなら、南部穀倉地帯の危機はまだ回避されていないからだ。この秋の収穫作業の成否が国の人命に関わっている、国の大事でもある。
よって、この兵士たちは厳罰を与えて然るべきである。
と子供は滔々と弁舌さわやかに言い切った、のだという。
まったくもってその通りのような気になるが、領地の維持の人手もいるので苦しい胸の内を話すと子供は大丈夫と笑う。
領地の防衛にはよい提案があるという。その提案を受ければ、どのような外敵からも魔物からも守られる。盗賊の心配もいらないのだという。
いや、なんだか胡散臭い?あらての宗教?
子供は、I年間の領地の防衛予算はいかほどかと聞いてきた。I年で約金貨5千枚。我が領地はあまり武力がないのでこれが精一杯なのだ。
子供は、では金貨1万枚でむこう3年間この領地の防衛を引き受けましょう、と言い出した。
えっ、と若者に目を向けるとなぜか笑顔で頷く。いやいや、まさか?
そのかわり、前金がわりに欲しいものがある。砦の兵士たちを差し出しほしい。わたしが防衛を引き継ぐのだから、彼らに落とし前をつけてもらう、と。
ギョッとして、若者をみるとあきらめたように頷く。まぁ、奴らはごろつきにも等しく街や村からも苦情がでていた。良いだろう。あんな奴らと引き換えに領地が守られるならむしろお礼が必要だ。
好きにしてよい、と許可を出す。家令は昇天しそうな様子なのが気になるが子供を見ると、では契約成立、前金を頂戴する、と宣言し指を鳴らした。
すると目の前に砦に詰めている者たちが現れた。なかにはズボンを履いていない者も多い。あきれ果てて言葉がない。
子供がすっと前に出て、お前たちの身柄は正式にわたしがもらった。お前たちがこれまで犯した罪を償う時間のはじまりだ。これまでのツケを今から支払ってもらおう。
安心するとよい。死は始まりであり、安らぎではないことをこれから身をもって知るだろう。
では、手始めにこの領地がもう誰からの侵略も許さないその証として人柱になってもらうことにする。
天空にひとりひとり囚われていく。そして一瞬で四肢がもがれた。あたりに罪人たちの悲鳴がこだまする。
不思議と血飛沫は落ちてこない。
上を見上げてなぜ皆が下を向いているかわかった。
すでに四肢が引きちぎられた兵士たちが、磔になっていたのだ。
あまりのことに気絶しそうになったが、侵略者への見せしめに晒しものにすると子供がいうので、腐敗について質問するとまだ死んでいないそうで、まだ殺さないから尋問したければできると言われた。
彼らは領地を囲むように磔にするらしい。正直やめてほしいのだが、下手なことを言って子供の逆鱗に触れたくないので様子見することにした。
それよりどんなふうに領地を防衛するのか聴くと、見せた方が早いと言って若者とわたしを連れて舞い上がった。
飛翔する魔法?
若者はまったく驚いていない。領地全体が見渡せるほどの高さまで来ると、淡い虹色の輝きに領地全体が包まれている。
子供曰く
これは物理防御、魔法障壁、状態異常の無効化の結界です。この範囲内で戦闘行為、攻撃、呪詛、魔物の襲撃が発生した場合、わたしに連絡が入るので救援に駆けつけます。
通常、5分からI日で助けに来れるでしょう。それから、魔物や盗賊を討伐した場合、素材の提出や盗賊のみしるしを提供しますから、領地の収益にしていただいて結構です。
格安の防衛対策ですので、もしご満足頂けた場合はご領主さまのご判断で報奨の上乗せをお願いいたします。
また近隣の領地でも同じようなお悩みをお持ちでしたら、ご推挙くださるとありがたいです。
わたしは、若者をこっそり窺うと遠い目で見返された。
あぁ、そうか、これは救いなのだ。我が領地はきっと救われる。
だが、わたしは誰に救われるのだろう。聖女ではない。勇者とも思えない。この子供は、なんなのだ。家令は兵士たちの末路に青ざめた。しかしわたしは子供の力に恐怖している。
敵にだけはしてはならない。味方でなければならない。そうでないと、領地が終わる。いや国が終わる。若者はだから子供と共にいるのだろう。
せめて民を守るため、できれば国を守るため。わたしも領地を守りたい。
たくさんの作品がある中で
お忙しい中お読みいただきありがとうございます。




