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収穫作業

みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。


こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

side ある帝国の若者???


 一の島から森の洞穴に戻ってきた。帰りは転移だったので助かった。


 洞穴にはリーダーがわたしの部屋も用意してくれたので、ゆっくりくつろげる。


 今日はもう遅いから、明日相談があると言われた。


 たしかにもう日付が変わり、身体を休めるべきだろう。寝酒ではないが、リーダーが淹れてくれたお茶を持って部屋に行く。


 リーダーは意外と自炊している。どうも節約のためのようでスープとか作り貯めていたり、肉や野菜の料理も大量に作ってアイテムボックスに入れておき食べているらしい。


 忙しい時などは確かに便利だ。食事の偏りも健康を損なうことにつながるようだし。


 というわけでリーダーにご馳走になっているし、掃除も気づくとクリーンできれいになっているし、洗濯と布団とかは自分で干しているが、なんだかここが自分の家のように思えてきたから不思議である。


 ただ料理は島で教えてもらったので、時々やらせてもらい少しでも上達したいと思っている。どんな状況でも食糧を調達でき、自分で食べ物を作れるのは重要なことだと気づいたのだ。


 それにここには音楽まである。魔法で演奏する弦楽器が置いてあり、静かに奏でられている。正直感動した。かつては楽器を嗜んではいたが、国を取り巻く状況は悪化するばかり。


 大きな催しの場など以外では音楽を耳にする機会が減ったことにようやく気づいた。


 もともと軍国主義の国で軟弱な気風は敬遠されていた。文化芸術は軟弱とは違うと思うが、頭の固い連中は他者の意見など聴こうともしないのだからどうしようもない。


 小鳥にパンくずを分けながらやっと思う。祖国の芸術を愛する人々は無事だろうか?今まではとてもそこまで考える余裕がなかった。


 わたしはやっと、戦争のその先の未来を思う余裕ができたのか。もちろんまったく楽観できる状況ではないが、未来は真っ暗ではない気がする。


 リーダーに呼ばれていくと、相談とは穀物を入手する方法についてだった。


 南部地域は穀倉地帯が多い。島には穀物がない。魔物の素材で取引出来たらと考えているという。


 わたしは知り合いの領地があるので、行ってみましょうと提案した。


side ある帝国南部の領主???


 黄金色に輝く大地を見てこんなにも絶望を感じるとは?


 とても豊作なのに、このままではこの冬餓死者が出かねない。あぁ、どうすればいいんだ。


 家令が謁見の申し込みを知らせにきた。急ぎの商取引らしい。これまでに耳にしたことのない商会ではあるが、紹介状の相手はおろそかにできない相手のため会うことにする。


 北部地域の民?がなぜあの方の紹介状を持参しているのか。


 身なりの良い若者とその妹の2人が室内に通された。


 今南部地域は危機的状況にある。後ろ盾でもあった良心的な皇族は幽閉され、有力貴族のなかでも穏健派の方々は弾圧され未来が閉ざされていく絶望感に飲み込まれそうだ。


 わたしはさっさと要件をすませて事態に対処しなくてはならない。


 彼らはなんの商談にきたのだろう。


 若者が魔物の素材と引き換えに穀物がほしいという内容だった。普通ならば北部の人間相手でもある程度取引に応じるところだが、今は非常時どうしたらいいか?


 その時、妹の方が発言の許可を求めてきた。


 「無礼を承知でおたずねいたします。もしやお困りではありませんか?お力になれるかもしれませんので、どうかお話いただけませんか。こちらに参りました際、気になったことがございます。ご領地は大変豊作のご様子で、大変喜ばしいことにございます。しかしながら本来なら収穫でお忙しい時期かと存じますが、農地に人が少ない気が致します。もしや人手不足なのではございませんか?」


 あまりにも正鵠を射抜いた内容に胸が苦しくなった。


 「そうなのだ、徴兵のため、砦の補修のため、と何かにつけて人をとられて、領地防衛のための人手さえ足りない有様。ましてや広大な農地を収穫する人数の確保など到底足りぬ。」


 「左様でしたか。それは大変なときにお邪魔致しました。しかし事態は一刻を争うご様子。わたくしどもにその人手、ご用意させてはいただけませんでしょうか?」


 「ありがたい申し出ではあるが、そなたらとは今日会ったばかり。正直人手はほしいが領内に身元の不確かな者たちを大勢受け入れるなど無理な話だ。もう少しそなたらと付き合いでもあればよかったのだが。」


 妹の方は兄と思われる若者に目配せすると、若者がわたしをまっすぐ見つめて微笑んだ。


 なぜかその笑顔に息が止まりそうになる。見覚えのある笑顔。色彩以外は驚くほど既視感がある。


 「あっ、あなたは、まさか?」


 「ご領主どの、ご安心ください。身元はわたしが保証いたします。この申し出是非受けていただきたい。そして出来ましたら、ほかにも人手を必要とする領地があればご紹介いただければと思っています。」


 それからは、なにがどうなっているのか理解できないほどの速さで状況が変わっていった。


 あの妹のような娘?の要望で、証文を交わした。


 代金は、収穫作業が終了し品質などの格付けなどが確定した段階で、作業の完成度などを勘案し正規の手間賃を各自に支払うこと。


 上記とは別に作業期間の朝食と昼食に該当する、1人当たりパン2個(小さいパンの場合は4個)分を配給をすること。


 本日は初日のため1食分が用意できる人数を派遣すること。


 作業に慣れていない者も多いので、指導できる者、統率する者を用意すること。


 賃金の公正な支払いのための布石として、作業が終了した作付け面積を書面にてお互いに情報共有すること。


 派遣した作業員は当方が身元を引き受けること。


 誠実に仕事に従事すること。


 万が一派遣した者が犯罪行為を行なった場合は、引き渡し妥当な量刑を課すことを了承すること。ただし、冤罪などは当方は決して容認しないので厳粛なる調査と証拠を用意するのが前提となること。


 などなどその場で考えつく限りとはいえ、子供とは思えない。それにしても、商売というより慈善事業のように良心的な取り引きだ。この内容でいいのか若者の顔を伺うと良いという。


 では早速人手を連れて参ります。パンはどれほどご用意できますでしょうか?というので家令と確認し、1万人分用意できそうだった。


 すると、ではまず半分の5千用意致します。指導する者などお手配もございますでしょうから、と言って目の前で転移する。


 残った若者も苦笑していたが、とにかく大急ぎで農地に人を連れて行く。


 かき集められた農夫たちは、荷車に道具を満載しついてくる。いったい、こんなに道具を用意してどうするのか?と騒いでいたが構っていられない。


 若者にきいてみる。先程のは転移ですよね?転移陣もない場所からどうやって転移したのでしょう?人手を連れてくるとは、いつのことでしょう?まさか本当に畑に戻ってくるというのですか?


 若者はまずは畑に参りましょう。きっと見た方が早いと思います。


 とにかく急ぎに急いでやってきた。すると、畑の前の空き地がひかり大勢の人が子供と一緒に現れた。


 腰が抜けるかと思った。


 子供は、道具を借りて地元の人の指示に従って作業して!と号令をかけている。


 うしろでびっくりしている農夫たちを引っ張って畑に向かう。1時間もすると作業にも慣れてきたのか、明らかに処理速度が上がっている。


 黄金色から黒々とした大地が目につくようになってきた。すごい!こうしてはいられない。明日の作業に向けて準備をしなくては!家令に指示を出し、近隣の旧知の間柄の領地へ急ぎ魔法通信を送る。


 収穫を無駄にしなくてもすむかもしれないと!



 



たくさんの作品がある中で

お忙しい中お読みいただきありがとうございます。

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