隣国へ
みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
side 主人公
確認が終わったわたしたちは、門を出て空き地まで来ていた。皆わたしがどんな方法で連れて行くのか知らないから、不安と興味が半々の様子だった。
門から少し離れれば喧騒が遠のく。このくらい人目も減ってくれればやりやすい。サブギルドマスターに地図を見せてもらいながら方向を確かめる。
「では魔法をかけますから、慌てないでくださいね。街が見えたら、魔法使いの方々と戦士さんたちは街に降ろしますね。」
side サブギルドマスター???
クラン雛鳥のリーダーとは初見だった。長期の出張や任務とかであまり辺境伯領に居なかったということもあるし、表に出るのはギルマスに任せているというのもある。
噂では聞いていたがパッと見はかなり可愛い女の子だった。ちょっと人の良さそうな感じや少し抜けてそうな感じがするくらいの普通の子。人の子の親である自分からしたら、騙されないか心配になる。
しかしギルマスに毎回頭を抱えさせる張本人である。今回の被害者は自分ということか。まぁ最小限の被害にとどめたいねぇ。
リーダーは魔法を掛けると言うと、すぐにこの人数を包む魔力を感じた。何の詠唱もない、前触れもない、違和感もない、洗練された魔法とも違うリーダーの魔法。
包まれた、と思ったらすぐに上昇がはじまった。ぐんぐんと街が米粒くらいに思える高さまであっという間にきてしまった。
息をするのも怖い気がする高さだ。飛行系の従魔を有する一部の者以外、我々にはまだ空は未知の領域だ。魔法によって飛行できることは分かっているが、まだ自在に使いこなせる者はいないと思っていた。
確かにリーダーが、合同実践訓練で飛行していたと聞いた気はするがここまで使えたとは。
魔道具の開発や魔獣の可能性など模索は続いているので、飛行に関しては今後に期待されている。
見晴らしの良い高さまで来ると、自分に方向を念の為確認し隣国を目指して移動を開始する。その速度がまたえらく速い。魔法で保護されていなければ、呼吸が苦しくなるほどの速度。本当なら目も開けていられないだろう。しかもぐんぐん加速している。つぎの瞬間には死ぬんじゃないかと思うほど速い。
あぁ早く隣国についてほしい。そして地面に降ろしてほしい。高所恐怖症ではないのに、心臓に負担がかかっている気がする。
えっ、もう着いたの。10分くらいしか経っていないよね。
見回せば同じように顔色の悪い魔法使いや戦士職の子たちが、必死に平静を装っている。
「よかった、まだいくらか時間があるうちに到着できたみたいで。急いだので気分が悪くなっていませんか?大丈夫ですか?では、ザブマス、街はあそこということで、合ってますよね。では、門の前に降ろしますので、みなさんまた後でお会いしましょう。」
つぎの瞬間には魔法使いと戦士は、別の魔力に包まれて下降していく。これは怖い。ふんわり降りるならともかく、一刻も無駄にしません、みたいに地面に激突しそうな速さで降りていくのだ。ほぼ落下と言っていい。あれでは皆、トドメを刺されたくらいの恐怖体験ではないかなあ。
地面に降りられて羨ましいけど、果たして使い物になるかねぇ。皆意識があるといいけど。意識というか?動けるかなぁ、できるなら僕もついて行って、下で挨拶とかしたいけどスタンピードの確認や討伐が優先だろう。危険度が高すぎるものね。
やれやれ、まだ会って1時間くらいなのに、はやく帰りたい気分だよ。
たくさんの作品がある中で
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