クエスト発生
みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
said 主人公
「はじめまして、クラン雛鳥のリーダー、どうぞよろしく。」
「こちらこそ、いつも冒険者ギルドには大変お世話になってます。よろしくお願いします。」
ごくごく簡単に挨拶をすませると、早速本題の緊急連絡についてギルドマスターと話し始めた。ここでは周りの目や耳を気にしなくてもいいらしく、わたしたちに憚る様子もない。まあ、聞かれたくないなら連れてくるはずもないか。
サブマス、サブギルドマスターは手に紙を持っていて、それが緊急連絡の内容らしい。どうやら箱のような魔道具から排出される紙のようなものに伝達事項が記載されているらしい。FAXのようなものだろうか。受信すると自動的に出力されるのだからそっくりだ。
ただFAXよりもすごいところは事前に登録している者に着信の連絡が入ること、権限がないと内容が読めないこと、受信履歴に受取通知と開封者が記録されること。内容ごとに分類されて記録され、最長100年まで保存が出来て、且つ場合によって内容の消去もできること。
さすが魔道具、秘密保持や保存が夢のようだよ。
ギルドの通信装置は24時間体制というのがこの世界のスタンスらしいので、どのギルドも信用のおける人材を係にして交替制で運用しているという。
重要な情報や迅速な対応が必要な場合も多く、その努力の甲斐あってわたしの知る範囲のギルドはどこも情報管理はしっかりしている気がする。
ただ夜間も勤務できる職員の確保は大変らしい。もちろん待遇は考えられているとは思うけれども。
この世界は人の働き口が多い、少子化とかも聞かないし、それなりに子供も多いけど小さくても働ける。
前世のわたしの国ではきつい仕事や肉体労働は人気がなかった。大変な割に賃金が低かったからだろう。比較的雇用が安定していて、専門性が求められる職業は賃金も悪くないようだがわたしは詳しくないのでなんとなくのイメージである。でもどの仕事でもストレスはつきものだった気がする。
機械化できる作業はどんどん機械化されていた。まぁ雇う方も文句や問題を起こす事もある人間より、決められた通りにサボることもなく昼夜を問わず働き続ける機械の方が、安定した作業量を生み出す上にリスクも低減できてよかったのかもしれない。
そうはいっても人にしかできない仕事もある。それらはどうしても身体や心に負担がかかりそうな仕事のことも多い。
介護や医療、保育など生命に関わる部分の仕事はやはり24時間、休みなど関係なく何かあれば対応が求められる部分だろうし。
わたしも家族を介護していて大変だったなぁ。若くはないのに身体はキツイし力も必要。小柄で体力のないわたしは気力だけで動いていたよ。
身内のわたしでさえ逃げ出したい時があるのに、仕事として赤の他人の世話、それも終末に向かう対象がほとんどの人間の世話は結構つらいのではないだろうか。もちろん献身的に向き合える状態を維持するのも、職場環境整える範疇に入るのかもしれないねぇ。世の中に必要な仕事なら誰かがやらなくてはならないのだろうし。
脱線したがこちらの世界でも低所得の仕事やキツイ仕事はあるし、高学歴ならよい職につける道もあることを考えると前世とそんなに違わないのかもしれない。
そういう意味では、ギルドの職員は優良な働き口の扱いだったはずだ。評価は公正で、安定していて信用もある。賃金の払いもよかったイメージだ。そして冒険者は両極端だ。成功もあれば失敗もある。
失敗例は、欠損または死、あるいは借財を被るか。それならある意味、一生芽が出なくても食い詰めずにすむなら成功のうちなのか?
それにしてもこちらは前世より生活に余裕がある気がする。お金のことではないよ。もしかしたら、行動範囲の違い?便利な乗り物などなくて、基本徒歩圏内が行動範囲。貴族とかなら馬車移動もあるだろうけど、庶民は家と職場が近いことが多い。ちょっと走ればすぐ家に帰れたりするのだ。それはちょっといいと思う。
わたしが転移を使えることと、この件は別だよ。人々の暮らし方の違いについてだからね。うん、家が近いのは嬉しい。疲れてもすぐ帰れるし、買い物もすぐ近くですむ。今の辺境伯領は治安もいいからそれも理由かもしれない。
2人の話そっちのけで物想いにふけってしまったが、なんだか2人ともこっちを見てない?
「えっと…どうかしましたか?」
「なぁ、指名依頼を出していいか?緊急の討伐依頼だ。あと、救援要請もきているから、治癒魔法師を連れて行ってほしいんだができそうか?」
「いいですけど、今すぐ集まれるのは何人くらいですか?わたしならすぐ行けますから、早くしてほしいかな。ところで…話聞いてなくてすみませんが、何があったんでしょう?あと場所どこ?出来れば案内がほしい。」
「あぁ隣国でスタンピードだ。辺境伯領と接しているから、抜かれるとこちらに押し寄せるだろう。緊急の連絡は当然辺境伯のところや国王さまのところにもいっているはずだ。騎士団も出ると思う。同行させたい、というか動ける奴らにはもう連絡したから、すぐ集まってくるはずだ。」
なるほどなるほど、それならお願いするのにちょうどいいかな。
「ギルドマスター、そういうことなら協力しますから、ひとつお願いしてもいいですか?」
わたしは、魔狼さんとハーピーさんのことを頼んでみる。鬼人の少年は別だが、ほかの2人は戦力になる。登録したてではあるが、ギルドランクを早くあげてもらい行動や依頼がある程度自由になると動きやすい。
なので2人も同行し戦果をあげてもらい、その功績でランクアップさせてほしいのだ。もちろん実力があるからこそである。
「やれやれ、いいぜ。ひとりもふたりも同じことだ。ついでに本当に実力があるなら、ギルドとしては助かるしな。しかし、きっちり実力は確かめさせてもらうぞ。そこんところはきちんとしないとまずいんでな。しかし誰にしようか、案内もいるんだろ。うーん…」
「俺が行きますよ、昇級試験と道案内を兼ねて。あと向こうのギルドにも挨拶しといた方がいいと思うんで、顔が分かる相手の方がいいでしょうからね。」
「そうか、すまねぇな。じゃあ、わりぃけど頼むわ。おい、リーダー、そういうわけで、こいつも同行する。そろそろ、集まっているはずだからロビーに戻るぞ」
たくさんの作品がある中で
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