鬼人の一族
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side 主人公
なんだかんだと時間がかかってしまったが、当初考えていた通り竜人さんと人魚さんを故郷へ連れて行くことができた。
その後2人がそれぞれの伴侶と竜の国で暮らすかどうかは、関係者で話し合って決めるだろう。ただ竜の国の方が番のことは守りやすいかもしれないね。
それにしてもそっと送り届けてすぐ帰って来るはずだったのに、すっかり話が大きくなってしまったな。
竜と竜人の婚礼に立ち会ったり、公開プロポーズを2組も見学したり、ダンジョンに潜ったり。もうイベント満載だ。違う種族や土地は趣きもまったく異なっていてそれなりに楽しかったけどね。
結局、竜さんたちは玉を使い伴侶がいるかどうか確認していた。番がいる竜さんたちはやはり番を探しに行くことを選択した。
いると分かれば放ってはおけない。今この瞬間も番がどうしているか気になって、他のことを考えることができなくなってしまうようだった。
今回確認したが番がまだ現れていない竜さんたちは、竜の国に戻る白の老に付き添う者と島を確認する者、番を探しに行く者について行き何かあれば手助けする者に分かれた。
わたしは魔狼さんやハーピーさん、鬼人の少年とミノタウロスのお嬢さんを連れて島に戻ることにした。わたしは人魚族の族長さんの許可を得て、転移陣を敷き皆と一緒に島に戻った。
島に戻ると鬼人の少年とミノタウロスのお嬢さんは、あきらかにホッとした様子だった。ここであらためて当分どうするか聞いてみる。
ミノタウロスのお嬢さんは、まだしばらく島にいたいという。意外と暮らしやすかったらしい。
鬼人の少年は、もっと他種族のことを知りたいそうだ。できれば人の姿で紛れ込んでも違和感がないほど周囲に溶け込めるようになるのが目標になったらしい。
ほんの二つの種族ではあったが、それでも鬼人族とはずいぶん違うようでショックに近い刺激を受けたようだ。
どうやら鬼人の一族はとても閉鎖的な種族らしく、少年は家からほとんど出たことがないという。ただ少年の生い立ちを考えると出られなかった、あるいは出さなかったのではと考えられる。
なので少年は自分の種族のこともよく知らない可能性があった。種族ごとの特性やウィークポイントを自分で把握することは重要だと思う。知らないと後から困る場合もあるだろうしね。
わたしは人以外の種族について詳しくないので、ミノタウロスのお嬢さんに竜さんも入れて6人で相談してみた。
なんとなく顔が広そうだと思っていた魔狼さんや、箱入りっぽい分教養がありそうだと思っていたハーピーさん。一般常識のありそうなお嬢さんや竜さんが頼りである。
魔狼さんが少年にどこの一族かきくと、少年は不思議そうな様子だった。
「……???」
「鬼人族もいくつかの部族があるはずだ。ただ部族間で交流がどの程度あるかは知らんが。鬼人は身体能力も高いから戦闘種族と言っても間違ってはいないが、魔力もかなり高いはずだ。部族ごとに属性が強く現れる。優位な属性の魔法の扱いは飛び抜けているという話だ。お前がどんな魔法が得意か分かれば一族の検討がつくだろう。ほぼ完全な人型のお前を見た目で部族まで見分けるのは難しい。魔力の属性で判断する方が簡単だ。」
「そうだねぇ、鬼人は鬼型なら肌の色で分かる…あっ君、鬼型になればいいじゃない。ここには僕たちしかいないし。」
「…あの…僕、この姿しか知らないんです。世話をしてくれていた者も人型?でしたし。魔法も使ったこともありません。魔法を誰かが使っているところも見た覚えがないんですけど。」
「あのう、鬼人さんには魔力はありそうだけど、使えないの?どう、自分で感じられる?」
「…いいえ、意識したことないです。僕にも魔力ありますか?」
皆で顔を見合わせ悩む。困っていたら竜さんが話しかけた。
「人化したまま封じられている状態など聞いたことがないが、今まで不自由はなかったか?」
首を傾げてとくにないと言う鬼人の少年。皆で少年を観察して原因を見つけようとするが、それらしい問題は見つけられない。
呪いとかなのだろうか?でも禍々しい感じも穢れも感じない。なぜなのだろう?
たくさんの作品がある中で
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