ドロップ品収集袋の影響 後
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side 主人公
ドロップ品収集袋の影響はそれだけでなく、なんと囚人服や奴隷の服にまで採用されて衛生面が向上したらしい。
この結果を喜んだのは、牢番や清掃担当者、奴隷たちの管理を行う部署の人たちであった。この清掃担当者は、牢内の清掃ではない。牢屋以外の建物の中の清掃である。牢屋内は、囚人たちにやらせている。もちろん見張りながら。掃除の時間を設け各自に規則正しい生活をさせる一環である。
それに相手が犯罪者でその上汚いと触りたくはないのが本音。あまり犯罪者の住む環境が良過ぎてもなんだが、犯罪者たちの生活空間の改善ではない。
あくまで自分の職場がきつい臭気が充満していたら自分にも臭いは移ってしまうから、知らないうちについついストレスに晒されていたということだ。
そのようにして商品の開発に関わる人々の中から、機能をつけるなら涼しいとか温かいとかはどうかという意見が現れる。彼らは前向きに新たな分野に取り組み、結果として寒がりや暑がりに喜ばれる衣服ができた。
そのような活発な活動の結果、今度は逆の発想から花の香りの服まで出てきた。それなら普通に香水でいいだろう、ともなるのだが、ほのかな感じがとてもいいと好評となる。動いたときやすれ違ったふとした瞬間に香るのがいいという。
しかし、これについては個人の趣味や感覚の問題もあり、カスタマイズが推奨されることになる。香りの強さや種類を自分で選び、自分の心地よい加減を追求するスタイルだ。
さらに貴族の間でも機能性下着は嗜みとして広まっていく。それは庶民でも同じ、飲食店関係者にも着ていると食べ物の匂いがつきにくいとか、夜会や宴に参加した後も高価な衣服に匂いが残ることが少なくなった、などの意見が上がっている。
しかし、この匂わないというのが、また思わぬ事態の要因となる。この事を後に知ったわたしは、そんなことまで知らないよ、と言ってしまいたかった。だってそんなことまで責任は持てなくても仕方ないよねぇ。
匂いがつかないということで、浮気の発見が遅れる事象が増えた?らしい。浮気の証拠のひとつが匂いなのだそうだ。でも匂いが証拠?ほかにも何かないと、匂いだけでは難しいのでは?
さらには獣人たちからの切実な訴えもあり、国々がこの件は対応をするのだった。はじめ匂いに敏感な種族である獣人族からは、臭くないという効果は好意的に受け入れられた。
もともと香水などの商品もあるため、花の香りの女性用衣服も問題はなかった。このころ番を求める獣人たちから、番を探す方法のひとつが匂いだが問題はないかと不安視する声が聞こえ始める。
これを重くみた獣人の国の上層部が、匂いと番の関係について調査したいのでぜひ協力してもらえないか?と人種の元に話がきた。
番の問題は人種にも関係が深く、正式な協力要請でもあり少子化問題解決のため協力することになる。近年では獣人差別や奴隷問題が改善の傾向もあり、人種の国のどこも関係改善に積極的である。
調査研究の結果、匂いが無臭であっても判別は可能。しかし匂いは、番の早期発見に関係性が認められるとの報告があった。
獣人族はこれに大いに動揺した。この動揺を鎮めるために、さらなる研究が行われた。この際、多くの番持ちたちの協力があったという。結果、番に関わる成分がある程度特定できたという。
この成分の空気中への拡散を妨げなければ問題は解決しそうだと見通しがたち皆とてもホッとした。むしろより明確に拡散してしまえばいいのでは?というご意見もあり匂いを抑える分、拡散を補助する効果を持たせることに落ち着いた。
どうもこの成分はうなじの辺りから強く薫るようで、その点に配慮した製品となっているという。
よくもまぁこれだけの影響があったものである。
わたしだってこのような事、まったく予想していなかったよ。
たくさんの作品がある中で
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