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じゃあな、親友

「喪失の未練10」の後と2年前の過去話。プロムス視点。


追記:投稿日の午後に大幅な加筆修正を行いました。大筋は変わっておりません。



 二年前のドロールとの出会いは、今でも鮮明に覚えている。


 当時のプロムスはまだ侍従としては見習いで、キャルとは両想いだったが、なかなか素直になってくれないせいでまだ契約しておらず、ドロールも鳥騎族(とりきぞく)になりたくて、この大屋敷に来たばかりの頃だった。





            *




 

「貴族向けの礼なら、頭はあと拳一つ分下げて、右手はもう少し上の方がいいよ。騎士としての礼なら、拳は握るのを忘れずに」


 大屋敷本館の書庫で、マナー教本を片手に一人で練習していたら、突然そう声を掛けられ、振り向いた。


 素朴で優しげな顔をした栗色の髪の同じ歳くらいの少年が、笑みを浮かべてこちらを見ている。面識はなかったが、言われた通りに直して、もう一度礼をした。


「……こうか?」


「そうだね。あと指は緩く曲げて……うん、完璧。その型を忘れないで」


 満足そうに(うなず)いたのを見て、プロムスも口角を上げる。やはり独学では限界があったかと、この場に居合わせてくれた彼に感謝の念を抱いた。


「サンキューな。オレはプロムス。ロムでいいぜ。あんたは?」


「ドロール。ぼくもローでいいよ」


「ローな。あんた、貴族か?」


 そう問えばドロールは目を瞬かせた後、困ったように微笑んで、ゆるゆると首を横に振る。


「まさか。ただの劇団員だよ。元、だけどね。貴族を演じる機会が多かったから、役作りの一環として、作法は覚えているんだ。君は?」


「リ……代行人の侍従見習いやってんだ。今は特例で登城を許されてるけど、ちゃんと資格を取りたくて勉強中」


 今度は目を丸くしていた。何故かわからなくて、首を傾げる。


「どうした?」


「代行人様に仕えているなんて、凄いね。あっ、凄いですね」


「そうでもねえよ。つーか、なんで敬語?」


「いやいや、代行人様ですよ? 国王陛下より、偉い方ではないですか」


 そう言って敬意を示す為か、流れるように見事な礼を向けてくるから、ぷっと吹き出した。


 ケラケラ笑い出したプロムスにドロールは困惑したようで、首を傾げている。


「あの……?」


「あー、いいって、いいって。オレ相手にそう(かしこ)まんな。てか、その代行人だって、そんな威厳はねーよ」


「そんな事……」


「ただの世話焼ける、困ったガキだよ。……いいや、相性は悪くなさそうだし、ローはいい奴そうだから、会わせてやる。ちょっと人見知りだけどな」


「えっ、ちょっと⁉︎」


 ついてくるように促して、書庫を後にする。ドロールはいいのか?と疑問の表情を浮かべつつ、きちんとついてきてくれた。


 プロムスだって普段は初対面の相手を、代行人であり人見知りの激しいオーリムに引き合わせるような真似はしないのだが、なんとなくドロールの事は紹介してやりたくなった。本当に、なんとなくだったのだ。

 ――もしかしたらこの時、どこかでドロールにオーリムのお姫さまであるセイドの気配でも感じ取ったのかもしれない。といっても当時のプロムスはソフィアリアの事は情報でしか知らず、ドロールの素性なんてもっと知らなかったのだけれど。


 ドロールを引き連れてやってきたのは、本館の中庭。仕事を終えたらしいオーリムは今日もベンチに座り、覇気のない顔をして、ぼんやりと空を眺めていた。


「よー、リム。紹介したい奴がいるんだ」


 声を掛けても、チラリと目線を送るだけ。そんなの、ここ二年間ずっとだから、今更怯まない。


 ――これが、三人の友情のはじまりだった。





「そっか。リムは大好きなお姫さまを諦めてしまったから、元気がないんだね」


 引き合わせて一週間。プロムスとドロール、たまにオーリムの三人は交流を重ね、少しは打ち解けたと思う。


 今日はプロムスとドロールの休憩時間が被ったので共に過ごす事になり、世間話をしていたらつい、オーリムの事まで相談していた。

 今まで誰かに話した事はなかったが、不思議とドロールには相談したくなったのだ。そういう雰囲気を(まと)う、不思議な奴だった。


「馬鹿だよな。どうでもいい周りの目なんか気にするなんて。姫さんの事はリムが慰めて護ってやりゃ、それで済む話なのによ」


「自分のせいでお姫さまがそんな目を向けられる事すら許せない程、大切なんだよ。でも、心配だね。……やっぱりぼくも侍従になろうかな」


 ポツリと溢したその言葉に、目を見開いた。


「……いいのか? だってローも鳥騎族(とりきぞく)になりたいんだろ? それに劇団に復帰だってしたいって」


「そういうロムだって、あのキャラメル色の大鳥様と契約したいんだろう? なら、ロムと条件は一緒だよ。それに、劇団への復帰は王妃が忘れるまで難しそうだから、まだまだ時間がかかりそうだし。このまま鳥騎族(とりきぞく)を夢見ながら使用人をやるくらいなら、ぼくも侍従になろうかなって、少し考えてたんだ」


 と言っても学がないんだけどね、と眉尻を下げ、頼りなく微笑んでいた。


 それでも、貴族向けの礼儀作法を身に付けているのだから、まだまだ勉強中のプロムスよりかは、ずっと侍従としての見栄えはいいだろう。中身を詰め込むのは今からでも充分だ。

 二人でオーリムの侍従として仕える。そんな未来は悪くない気がして、気付けばニッと笑っていた。


「いいな。んじゃ、ローはオレに礼儀作法を教えてくれよな。オレは代わりに勉強を教えるからよ」


「ははっ、いいよ。せっかくだから侍従になる為の資格取得と、最高の大鳥様(パートナー)との契約。どっちがはやいか競争でもしよっか」


「おいおい、オレが負ける訳ないだろ? 学び始めたのはオレの方が先。それにキャラメル色の大鳥様は、既にオレの事が好きなんだからな! まだちょっと素直になれないみたいだけど、時間の問題だろ」


「そっか。でも、負けないよ。……ぼくもロムみたいに、運命に出会えたらいいな」


 そう言ってお互いに笑い合う。ドロールとの出会いはいい兆候だと感じ、これからの未来に光が差した瞬間であった。


 ――その日からドロールはオーリムに侍従見習いになると宣言し、本当に頑張っていた。


 侍従見習いでも手をつけられる簡単な書類整理やオーリムの身の回りの世話の合間に二人で……時にはオーリムに教えを乞いながら、必死に勉強をした。

 ドロールは覚えが異常に早かったので、追い抜かれないようにプロムスも必死になっていたおかげか、一人でしていた頃よりずっと早く身に付いた。そんな日々は大変だったが、本当に楽しかったのだ。


 共に過ごすうちにすっかり三人は打ち解けて、なんとあの無気力なオーリムが、少しずつ元気を取り戻し始めていた。それに気付いた時は、ドロールを紹介して本当によかったと、少し泣きそうになってしまったのは内緒だ。


 最近忙しくて滅多に大屋敷に来なくなったフィーギス達にも早くドロールを紹介して、オーリムの変わった様子を見せてやりたい。そんな日が来るのを、心待ちにしていた。


 ――結局、そんな日が来る事はなかったけれど。

 




『――最高の大鳥様(パートナー)との契約。どっちがはやいか競争でもしよっか』


 三人で過ごすようになって半年にも満たない頃。そう笑みを浮かべながら競い合った結果は、前触れもなく突然に、ドロールの勝ちという決着がついた。

 ドロールは鳥騎族(とりきぞく)になれたのだ。艶やかな黄金一色の侯爵位の大鳥が、ドロールのパートナーになった。侯爵位と契約出来るのはおよそ数百年に一人なので、とんでもない快挙だ。


 なのに――


『――ぼくは君を許さないよ、王鳥様。君と、君の護ろうとしているもの全てを奪ってみせる。ヨーピの無念を、少しは思い知れっ!』


 ――ドロールは、契約してから人が変わってしまった。


 ドロールが契約した大鳥はヨーピといい、数年前に初めて断罪された鳥騎族(とりきぞく)と契約していた大鳥で、パートナーを断罪した王鳥の事を憎んでいた。そんなヨーピに同情したのか、王鳥への復讐に囚われたのだ。


 代行人であるオーリムとはあんなに打ち解けていたのに。プロムスもそんなオーリムの兄貴分を気取っていると知っていたのに。代行人とその侍従として、友情を感じていたはずなのに――。


 それでもドロールはヨーピに同調して敵対する事を選び、行方をくらませた。そんな様子を、呆然(ぼうぜん)と見ている事しか出来なかった。


『――仕方ないから、ロムで我慢してあげるよ。その代わり、オレのアミたんからは絶対に離れないでよねっ! アミたんと添い遂げる事が、契約の絶対条件だからっ!』


 皮肉にも、そのドロールの出奔(しゅっぽん)が、キャラメル色の大鳥――キャルとの契約のきっかけになった。何の因果か、キャルも侯爵位だったらしい。数百年どころか、数時間振りという間隔の短さだった。


 まだ契約したばかりだったが、ドロールとヨーピに対抗出来る唯一の鳥騎族(とりきぞく)として、王鳥とオーリムと共に、ドロールとヨーピを追いかける許可をもらった。その時まではプロムスも、オーリムも、ドロールだけでも説得する気だったのだ。


 ――だが数日後、結局説得は失敗に終わり、ヨーピは王鳥の手にかかり、ドロールはオーリムが討ち取った。


 そんな様子を、連携の取れないキャルの上から見ている事しか出来なかった。本当なら、プロムスが子分を護り、手を下さなければならなかったとしても、ドロールを連れてきたプロムスこそが、担わなければならなかったのに。


 オーリムには気にするな、代行人としての役割を果たしただけ、戦場に放り込まれたせいで、こういう事にも慣れているからと、逆に励まされてしまった。

 でもその日から、元気を取り戻し始めていたオーリムは、ドロールと会う前の状態に戻ってしまった。オーリムにとっても、そのくらいショックだったのだろう。


 そんな様子を見ている事しか出来ないプロムスは、なんと無力なのかと、血が(にじ)むほど拳を握り締めた。

 途轍(とてつ)もない無力感と後悔に苛まれ、プロムスの心に大きなしこりが残った。きっともう、三人で過ごした楽しい日々を思い出す事すら、辛過ぎて二度と出来ないだろう――



 


            *




 

 ソフィアリアから聞いたドロールの遺言をアミーにも教え、強く抱き込んで、甘えるように首筋に顔を埋める。


 そこが弱い彼女はピクリと反応し、だが今日はいつもみたいに身を(よじ)って、逃げようとはしなかった。むしろ頭を抱え込み、子をあやすようにポンポンと後頭部を優しく叩き、髪を()いてくれる。


 そんな彼女が愛しくて、くつくつと喉を鳴らした。


「アミーはいい母ちゃんになれそうだな?」


 笑いを含んだ自分の声は、だが全く覇気がない。(つぶや)きのような小さな音を拾った最愛(アミー)の体温が気持ち上がり、耳に聞こえる鼓動音が早くなるのを、ぼんやりと感じ取っていた。


 ゆらゆらと揺籠(ゆりかご)のように揺れるのも、今は心地いい。そう思ってしまうくらい、今のプロムスは弱り果てているようだ。


「……なれないわ。だって私、お母さんを知らないもの」


「オレも親父なんて知らないけど、いい父ちゃんになれる自信はあるぜ? だからアミーも大丈夫だろ」


「ロムは私やリム達子分の面倒を、みていたものね」


「子分と子供は違うだろ? ……ああ、なんか今、無性に子供が欲しくなってきた」


 むくりと半身を起こし、今まで大事に抱き込んでいたアミーを組み敷く。


 別館にある我が家に帰ってきてから着替える間も与えずアミーを抱えて、プロムスが二人分の余分な服を適当に脱ぎ捨てたままここに連れ込んだので、プロムスは着崩したシャツとトラウザーズ姿、アミーはメイド服の下の黒いワンピース姿だ。今まで寝転んでいたので髪も乱れているし、慰めを求めるように(じゃ)れていたので、服も少しはだけてしまっていた。


 準備は万端だ。アミーはオレンジ色の猫目を丸くして、プロムスを見上げるその顔は、耳まで真っ赤だった。

 なのに、大きく首を横に振る。


「……こっ、ここは嫌よ⁉︎ キャルの上でなんて!」


「ピェ⁉︎」


 自分の上にいる事を拒絶されたと勘違いしたキャルはピーピーと抗議して、ゆさゆさと身体を揺らす。その反動で、キャルの上に居たプロムスとアミーも、グラグラと大きく揺れた。


 ……そう、ここはベッドの上ではなく、キャルの背中の上だった。愛しのアミーとキャルの温もりの両方を欲したプロムスが、ここを選んだのだ。


 さすがにここでは嫌かと苦笑して、乱れたキャラメル色の髪を整える。シニヨンが崩れて、猫耳のような癖毛が髪の上に鎮座していた。

 諦めて、でもキャルから離れるのも嫌だったので、また抱え直してゴロリと横になった。さっきの発言のせいで落ち着かないのか、モゾモゾと動いて小さな抵抗を示している。勿論(もちろん)、それくらいでは離してやらないけれど。


 しばらくそのまま、無音の時が過ぎる。歩き回るキャルの尾羽が床に擦れる音と、アミーの衣擦れの音だけが、部屋に小さな音を奏でていた。


「……ローは自分の意思で、オレ達を裏切った訳ではなかったんだとよ」


 ポツリとそう溢したのは、おそらく日付が変わった頃。


 アミーは震えているプロムスの声音に、背中に腕を伸ばして、自らギュッと抱きついた。


「あの大鳥様を慰めて、ついでにリムに姫さんを会わせたかっただけなんだとさ。……馬鹿だなぁ、そんな大それた事を二ついっぺんに叶えようとして、失敗するなんて」


 大屋敷への帰りの馬車に乗る前に、これだけは先に知っておいてほしいからと、ソフィアリアが教えてくれた事だ。ドロールは二人を裏切った訳では決してなくて、最期までずっと、大切な親友だと思っていたのだと。


 詳しい話は後日と言われたまま別れたので真相はまだ不明だが、遺言とその言葉に、どれほど救われた事か。


 橋渡しをしてくれたソフィアリアには、生涯頭が上がらないだろうなと思った。疑いの目を持って監視なんて、もう一生無理だ。


「ドロールさんは、とても優しい方だったわね。昔ね、ロムとすれ違いを起こしていた時に、あの方に慰めてもらったわ」


「初耳だぞ?」


「言ってなかったもの。……ドロールさんなら、本当に大鳥様を慰めて、ソフィ様を早く連れてきてくださっていたかもしれないって思うの。ダメだったけど、きっと、不可能というほどではなかったわ」


 ぽんぽんと背中を撫でられるのを素直に受け入れて、ズレ下がってアミーの胸元に顔を埋める。ピクリと反応した後に呆れたように溜息を吐かれたが、髪を撫でてくれるから、ダメではないらしい。


「……リムと引き合わせた所から、オレは間違えたんかな?」


 ポロリと、らしくない弱音がこぼれ落ちた。


 あの時、ドロールと言葉を交わし、オーリムと会わせたのはプロムスだ。


 もしもあの時、礼の仕方を教えてくれたドロールと軽く会話した後はそのまま別れ、オーリムと会わせていなかったら、今頃ドロールはまだ生きていたのではないかと、悪い想像が頭から離れない。

 そうすればドロールは、オーリムを助けようと考えず、ヨーピと契約を交わす事なんてなかったのではないかと。侍従になる夢は見なくても、ドロールには劇団に復帰するという夢があったのに、その機会を奪ってしまったのではないかと、そう思ってしまうのだ。


 だがアミーはそのプロムスの言葉が許せなかったようで、思いっきり耳を引っ張られる。残念ながら鳥騎族(とりきぞく)になったから頑丈なプロムスでは、可愛いと思うだけだけど。


「ドロールさんがヨーピ様と契約を結んだ事に、ロム達との友好関係は関係ないわ。あの方はとても優しい人だったから、どのみちヨーピ様を助けようとなさったはずよ」


「けどよ……」


「仮にそうだとすれば、ドロールさんはヨーピ様に操られた見知らぬ使用人の一人として、どのみちお亡くなりになっていたでしょうね。それは、今よりもずっと悲劇だわ」


 グッと息を詰まらせる。よく考えればその通りなのに、それすら考えが及ばなかった。


 たしかに犠牲になったのが見知らぬ誰かだったのなら、プロムス達は今ほど心を痛める事なかったのかもしれない。

 でもそれは、プロムスの気持ちを楽にする為に、ドロールとの楽しかった時間すら否定する事だった。そんなの、絶対に嫌だ。


「……わりぃ」


「謝るのは、私にじゃないわ」


「ああ、わりぃ、ロー。……ごめんな」


 ギュッと頭を抱いて顔を隠してくれたから、プロムスを遠慮なく涙を流し、親友を(しの)べた。キャルの背中でアミーの腕の中じゃないと、絶対に無理だっただろう。


「だからソフィ様は教えてくださったのよ? 最期までずっと大切な友人だと思っていたって」


「オレも、リムもそうだった。……馬鹿だなぁ、オレは。でも、ローだって馬鹿だ。死んでなかったのなら、もっと早く会いに来いよ。最期は全然、話せなかったじゃねえか」


 最期に言葉を交わしたのはミクスという子供に擬態した姿で、遺言はソフィアリア越しなんて、友人だと思っていたわりには随分と薄情ではないか。たとえどんな姿でも受け入れてやるから、直接伝えに来いと悪態をつく。

 二回も死ぬなんて、酷い奴だ。二回も同じ友を失う羽目になっただろうがと、文句は尽きない。


 けれど、ドロールは最期の瞬間まで、プロムスの親友で居てくれたのだ。それを知れただけで、まあいいかと許す事にした。寂しいが、何か姿形が変わっている以外の理由があるのかもしれない。

 優しいドロールは、でもそれ以上に勇敢で、不義理な奴ではなかったのだと、知っているから。


「……短い間だったけど、ローの親友(ダチ)やれて、本当に楽しかった」


「うん、あの頃のロムは毎日楽しそうだったわね」


「ああ、いい思い出だ」


 当時を思い出し、くつくつと笑う。もう辛過ぎて思い返せないなんて言葉は撤回だ。


 この日は夜通し、最愛二人と触れ合う温かなこの場所で、ドロールとの思い出に浸り、時にはアミーにも聞いてもらいながら、気持ちの整理をした。

 全て片付け終えたら心地いいこの場所から抜け出して、同じく王鳥とソフィアリアのもとで整理を終えているだろうオーリムと、思い出話に花を咲かせにいこうか。胸につっかえるものは、もう何もない。ドロールと共に過ごした時間はもう、幸せなだけの思い出話に昇華出来るだろうから……それを、笑って語り合えるから。



 

 ――じゃあな、親友。いつかまた、たとえ全員姿形が変わっても、三人で仲良くしような。




プロムスとドロールの出会いを中心にした番外編でした。駆け足気味な所は、別の番外編で書く予定です。


既婚者なのでちょっと甘え方がアダルティックですが、なろうさん向けの健全なお話です。多分……。

オーリムもですが、プロムスもドロールの事は引きずりまくるだろうなと。なので珍しくネガって、アミーに世話を焼かれています。たまにはこんな日もあっていいよね。だって夫婦だもの。


ドロールがミクス姿でプロムス達に会いにこなかった理由など、本編で判明しているところをプロムスが知らないのは、まだソフィアリアから全てを聞いた訳ではないからです。大ホールで別れたきりなので、話す余裕がソフィアリアにはありませんでした。それでも一番大事な事は話してあるので、まあいいのではないかなと。


書けば書くほどドロールがいい人過ぎて、なんて惜しい人をとしくしく胃が痛みます。彼の番外編が、第二部番外編の〆になるかな。


そういえば、キャルが初めて人の言葉で話す姿をお披露目しました。

アミたん……?

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