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第19話 森を出て・・・・・・

「沁みると思うけど我慢してね~」


 森から出て、今はアリスさんの家でサスケさんの怪我の治療をアリスさんがしているところだ。

 時刻は夕暮れではなく、私が入ってきた時刻と同じままだった。


 魔法の森の時間は止まっていて出てきても外の時間は進まないとアリスさんが教えてくれた。

 出てきたとき、一日経ったのかと驚いた。


「怪我の治療をこんなもんかしら? どう痛みはない?」

「ええ、痛みはありません。大丈夫です。クズノハの治療もありがとうございます」

『ものすご~く苦い薬を飲まされたでありんす』


 クズノハさんは体力が減っているということでペット用に作った苦い薬を飲まされ、隅っこで丸くなって拗ねている。

 その姿が拗ねた子供のように見えて、少し和む。大人びた雰囲気を持つクズノハさんだから余計かな。

 タマはヘソ天で寝てます、相変わらず自由です。


「貴方達はこれからどうするの? 色々と疑ったからね、詫びがしたいの」

「ボク達は此処を出て海洋都市・オリヴィエに行くつもりです。

 詫びは大丈夫です。あれは仕方ないと思います。アリスさんはこの森の番人なのですよね? 疑うのも仕事の内ですよ」

「そう言われると余計に罪悪感が・・・・・・。そうだ! これを持って行きなさい!」


 アリスさんはサスケさんにある紙を渡した。

 どうやら、ある薬屋のチラシみたい。


「これは?」

「オリヴィエに私の友人が経営してる薬屋があるの、このチラシを見せたら安くしてくれるわ」

「良いんですか?」

「いいのいいの。同じ薬師の私が持ってても勿体ないしね」

「それなら、ありがたく頂きます。それじゃあ、ボク達はこれで」

『はい、主さん』


 クズノハさんがサスケさんの肩に乗ると立ち上がり、サスケさんは出て行こうとする。

 もう旅に出るらしい。私は慌ててサスケさん達に駆け寄った。

 まだちゃんとした御礼をしてないから。


「サスケさん!」

「メアリーさん?」

「あの時の御礼まだちゃんとしてないので、あの、もし、良かったらご飯を、ご飯をご馳走させてください!! 美味しい魚のパイ包みを作る食堂があるんです!!」


 自分で言っておいて顔が熱くなる。

 異性をご飯に誘うなんて初めてだし、どちらかと言うと私は異性から誘われる方だ(相手は私の家に近づきたい人ばかりだったけど)。

 サスケさんに会って間もないのにご飯に誘うなんてはしたないって思われそう。

 顔を真っ赤にしてる私にサスケさんは穏やかに笑った。


「メアリーさんのその気持ちだけで十分です」

「だ、だけど・・・・・・」

「もし、また会ったら、その時に。それじゃあ」

『さよならでありんす』


 穏やかな笑みのまま、サスケさんとクズノハさんは出て行った。

 また会えたときにか・・・・・・。

 これって遠回しに拒否された?


『上手く躱されたにゃ、下僕』

「うるさい!」


 ヘソ天で寝ていたタマがいつの間にか私の隣でニヤニヤと笑っていた。

 また会えると良いな・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・


 アリスの家を出、海洋都市・オリヴィエへ向かう道をサスケは歩いていた。


『折角、見つけた《《お仲間》》の誘いを断ってよかったでありんすか?』


 暫く歩いているとクズノハがメアリーの誘いを断ったことについて追求する。

 サスケは歩みを止め、深い息を吐いた。


「今更、その事を言うのか。メアリーさんとタマさんは間違いなくボクとクズノハと同じだ。だからと言って、親しくするのは・・・・・・」

『まあ、わっちらの境遇を考えれば、魔法の森以上の事に巻き込まれる可能性はありんすね』

「・・・・・・解ってるじゃないか」

『ふふふ、解っているから聞いたでありんすよ』

「それに、もう会わない。ううん、会えないよ」

『そうかえ? わっちはあの子らとはまた会う気がするでありんす』


 クズノハは空を見るように遠くを眺める。

 何を考えているかは相棒であるサスケには解らないが適当に言っていない事だけは解った。


【見つけた~!!!!!!】


 再び歩き出そうとした時、小さい何かがサスケの頭に乗っかった。

 頭の上に乗った正体を見てサスケは驚きの声が上げる。


「き、君はあの時の妖精じゃないか!?」

【うん、そうだよ! あの後、お母様と喧嘩して出てきちゃった】

『あらまぁ、喧嘩したでありんすか?』

【だって、お母様は人間は恐ろしい、番人以外の人間を信じるなって言うんだよ!! ボクの話なんて一切聞いてくれないし、ボクを二度と外に出さないように監禁しようとしたんだ!!】

『それは喧嘩して当然やね』

「そ、それで、君はこれからどうするんだい?」


 サスケは恐る恐る訊ねると妖精はニッと笑って。


【ボクは君達に付いて行くよ!! ボクの名前はクオン! よろしくね♪】


 こうして、サスケとクズノハに新たな旅の仲間が増えたのだった。



「そうそう、メアリーちゃん。あの妖精ちゃん、サスケくん達の後を追って森を出たみたいよ」

「え・・・・・・?」


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