表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/109

第17話 番犬

 沢山の木の怪物に囲まれて大ピンチだったのをサスケさんが火の魔法を使って一気に倒してくれたお陰で乗り越えられた。

 今、そのサスケさんが・・・・・・。


「ぐ、ぐぅ・・・・・・」

『ガルルルル!!』


 犬? 狼? のような怪物に襲われている。


『彼奴は犬の妖精・クーシー!!』

「タマはあの犬みたいな怪物を知ってるの!?」

『彼奴は妖精の住処を守る妖精達の番犬にゃ! 妖精を襲う奴らから守るのがクーシーの役目、それなのにどうして妖精を襲ってない奴を襲うにゃ!?』


 サスケさんの肩に噛みついてる怪物の名はクーシーという犬の姿をした妖精らしい。

 タマが言うには妖精の番犬であるクーシーは妖精に悪意がある者しか襲わないという、それなのにサスケさんを襲った。

 嫌な想像を思い浮かべる。


「もしかして、サスケさんは・・・・・・。ううん、あの人はそんな事はしない、私達を助けてくれた人が・・・・・・」

『下僕、安心しろ。あの男からは妖精の気配はしないにゃ』

「本当?」

『ワガハイが保証するにゃ。だから、クーシーが彼奴を襲う理由なんてないのにゃ』


『主さんから離れろ!!!!!』


 私とタマが話し込んでいたらクズノハさんが助けようとクーシーに体当たりをする。

 だけど大きな爪で弾かれてしまい吹き飛ばされてしまう。

 でも、クズノハさんが攻撃したお陰で隙が出来、その隙を使ってサスケさんは覆い被さっているクーシーに蹴りを入れ、体制を立て直すが。


「ハーハー・・・・・・」


 噛まれた肩を抑えながらヨロヨロと立ち上がる。

 満身創痍だ。

 それでも、サスケさんは腰に差していた短剣を取り出し身構える。満身創痍でも戦う気なんだ。

 私は見ている事しか出来ないの? いや、何か出来るはず。今は猫の手がある。


「た、タマ、猫の手で回復とか出来る?」

『出来る事は出来るにゃ。だけど、杖の先にある手の肉球を怪我した箇所に触れなきゃ回復出来ないにゃ』

「そんな!?」


 回復は出来るけど近づかないと無理だなんて。

 今、私とサスケさんには距離がある。近づくにしてもクーシーをどうにかしないと。

 それにサスケさんを助けようとして吹き飛ばされたクズノハさんも助けなきゃ。

 どうやって・・・・・・、そうだ!!


「招き猫の力発動!! サスケさんとクズノハさんよ、私の元に来い!!」


 肉球マークが浮かび上がる右手をサスケさん達に向け、声に出して強く念じる。

 右手に力が集まるのを感じる、これなら助けられる!!


――ブチッ!!


 糸が切れたような音と共に発動していた招き猫の力が切れた。


「え・・・・・・?」

『どうやら、ワガハイの力に干渉した奴がいるみたいにゃ』

「干渉? つまり、邪魔したって事?」


 こういう大事なときに! いや、大事なときだから邪魔したのか!

 でも、一回ぐらい邪魔されたからって!! 諦めつもりなんてない!!


「もう一度!! 招き猫の力発動!!」


 また力を発動する。

 だけど、また糸が切れたような音と共に切れた。

 何度発動しても邪魔してやるって事?


『チッ!! 何度使っても邪魔してやるって感じだにゃ』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねえ、タマ。招きの猫の力は魔力は多く消費するけど見えないモノも招くことが出来るんだよね?」

『下僕!? お前、まさか!?」

「クーシーの敵意よ!! 私の元に来い!!」


 クーシーに右手を向け、念じる。

 サスケさんに向けている敵意を私の方へ!!


『グル!! グルルルル・・・・・・』


 今度は私達に有利ではない事だから干渉は入らなかった。

 睨付けるクーシーを見て、大量に魔力を消費した私は負けじと睨付けながら膝から崩れ落ちる。


「は、はは、や、やった」

『下僕!! お前にゃんて無茶を!!』

「だっ、て、これ、しか、ほう、ほうが・・・・・・」


 酷い眠気に襲われる。

 だけど、サスケさんをこれで助けられた。


『ガァァァァァァ!!!!!!』

「メアリーさん!!!!!!」

『げぼくぅ~!!!!!!』


 クーシーが私に襲いかかってくる。

 少しは役に立てたかな?

 来るであろう痛みに備えて目を閉じた。


『ギャアアアアア!!!!!!』


 目を閉じて、数秒もしないうちにクーシーが悲鳴を上げ、倒れた。

 クーシーの腹には一本の矢が刺さっていた。倒れた原因はこの矢みたい。

 一体、誰が矢を。

 眠気を必死に抑えて状況を確認しようとしたら。


「大変ことになってるみたいね」


 聞き覚えのある声が耳に入った。


 ザクザクと足音を立てながら私に近づいてくる人物は。


「大丈夫じゃなさそうね。立てる?」


 弓矢を持ったアリスさんだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ