第16話 出口を探そう
「閉じ込められた!?」
「遠くを見ようとすると、まるで何かが阻むような感覚がしたんだ。もしかしたら、ボク達の周りには見えない壁があって、それがメアリーさんが言っていた家の屋根を隠しているのかもしれない」
そう言われ、遠くを見るように見てみる。
遠くの景色がぐにゃりと曲がって見えた。
サスケさんの言うとおり、見えない何かによって隠されたと思っていいかも。
『その透明の壁は帰り道を隠すだけでにゃく、ワガハイ達を閉じ込めていると?』
「そう考えて良いかもね。クズノハ、ボク達を囲っているのは何か解る?」
『生憎、わっちには解りませんでありんす。だけど、わっち達を閉じ込めたのはこの森だと言うのは解るでありんす』
「森? 森が私達を閉じ込めたって事?」
クズノハさんは状況的にそうとしか考えられないと言った。
クズノハさんの言うとおり、状況から考えると魔法の森が私達を閉じ込めたと考えるしかない。
でも、そうなると森が私達を閉じ込める理由は?
私とタマは薬草を採りに来ただけだし、サスケさん達は話を聞く限り、迷って森の中へ入ってしまっただけ。
閉じ込められような事はしてない・・・・・・はず。
「ねえ、タマ。私達、どうして閉じ込められたんだろう」
『それはワガハイにもわからん。今言えることは閉じ込められた理由を探すより出口を探した方がいいにゃ』
「メアリーさん。タマさんの言うとおりだよ。先ずは出口を探そう」
タマとサスケさんの言うとおり、今は出口を探した方がいい。
先ずは見えない壁がある所を見てみることにした。
サスケさんが石を投げて弾き返された場所へ向かう。
一見、何も無いように見える其処を手で触れようとすると。
――バチッ!!
「いたっ!」
触れた瞬間、指が弾かれた。
弾かれた指先を見る、怪我はないだけど少しビリビリする。
「メアリーさん、大丈夫?」
「大丈夫です。まだちょっとビリビリするけど」
『ふむ。これは壊せそうににゃいにゃ』
「壊すつもりだったの!?」
『フフフ、冗談にゃ』
キリッとした顔で冗談を言うな!!!!!!
でも、壊せそうにないのは確か。
招き猫の力で壊すのも無理そう。それ以前に招き猫の力で壊せるのか? あとでタマに聞いてみよう。
う~ん、ダメ元でも一度やってみるか。私は持っていた猫の手を構え。
「ちょっとどいて! 炎の爪!」
見えない壁に向けて炎の爪を撃つ。
すると、見えない壁は炎を吸収した。
やっぱりダメだったか。
「吸収されちゃった」
「時間はかかるけど見えない壁に穴、通れる場所がないか見てみるしか・・・・・・・・・・・・」
「サスケさん? どうかしましたか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「サスケさん?」
「メアリーさん!! 危ない!!」
急に黙ったサスケさんに思いっきり後ろに引っ張られる。
その次の瞬間、スレスレに何かが振り落とされ、地面を強く叩く音がした。
見覚えのある攻撃に恐る恐る攻撃した相手を見ると其処には見覚えのある存在が。
『また現れたのにゃ!!』
タマがあらしをふいて威嚇をする。
タマが威嚇する相手、それはあの時と同じ木の怪物だった。
「チッ!! 此奴ら、何体いるんだ!?」
『主さん!! 大変でありんす!! 囲まれてはるわ!!』
「なんだと!?」
辺りを見渡すと木の怪物達が私達を取り囲んでいた。
いつの間に沢山の怪物達がいつ私達を取り囲んだの!?
「あれをやるしかないか・・・・・・。クズノハ、力を貸してくれ!!」
『了解でありんす!!』
サスケさんは手を組み、深くを息を吸い込んだ。
すると右手に肉球マークが浮かび上がる。私とタマの契約の証にとても似ていると思った。
「火遁の術!!!!!!」
深く吸い込んだ息は火となり木の怪物達を襲う。
火は怪物達から怪物達へと燃え広がり、怪物達は声を上げながら燃えていった。
す、凄い。
「ハー、ハー。やったか?」
サスケさんが息を切らし、膝を地に着けた頃には怪物達は只の燃えカスになっていた。
「凄い!! 凄い!! サスケさん凄い!!」
余りのすごさに私はピョンピョンと跳びはねた。
あんな凄いワザを見せられて驚く人居ないよ!!
「アハハハハ、クズノハがボクに力を貸してくれたおかげだよ」
サスケさんは嬉しそうだけど照れながら、立ち上がろうとした時。
「グアッ!!!!!!」
『ガルルルル・・・・・・』
犬のような何かに襲われた。




