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第11話 魔術薬師、その名はアリス

 マリアさんから仕事の話を聞いた後、話はトントン拍子に進み、こうして私は魔術薬師のお手伝いとして働く事になった。

 イザベラはマリアさんの伝手でそろそろ引退を考えているメイドさんが居る隠居貴族の屋敷にメイドとして働く事になっている。


 未だに心配そうなイザベラに見送られながらローラタウンの外れにある歌う森(シンガーフォレスト)と呼ばれる魔法の森に向かう。

 その森近くに私がお手伝いとして働く魔術薬師の店舗兼住居があるそうだ。

 マリアさんが言うには見れば解るって言ってたから迷子にはならないと思う。

 あと1つ問題があるとすれば。


「タマ、アンタは家で留守番って言ったハズなんだけど」


 タマが付いてきた。


『下僕の働く先の魔術薬師は美人にゃんだろ? それが本当かどうか確かめるのにゃ』


 ぽよんぽよんとお腹を揺らしながらキリッとした顔で言うタマを見てると中身は女好きのおっさんなんかじゃないかと思う。


 ローラタウンの北側に向かって歩くこと数分、目的地に着くと薄らと光る森の近くに『ポーション屋』と書かれた看板が掲げられた木造の家が目に入る。

 あの家が例の魔術薬師が住んでる家で間違いない。

 緊張しながら呼び鈴を鳴らすと。


「貴方がマリアさんが言っていたお手伝いさん?」


 黒髪の美人さんが現れた。

 キリッとした人だな、今日からは私はこの人の元で働くんだ。

 あ、挨拶しないと!


『ごろにゃん♪』


 タマ!! 私が挨拶するよりも先に甘えるんじゃない!!


「あら可愛い三毛猫さんね。貴方の?」

「は、はい、一応・・・・・・。タマって名前です」

「タマちゃんって言うのね。宜しくね」

『にゃ~♡』


 タマは撫でられて凄くご機嫌だ。

 本当に美人大好きだな~。ご飯もフードは食べないって言っておきながらイザベラがフードを出したら食べるし。

 本当に猫神なの?

 

「そういえば、まだ名乗ってなかったわね。私はアリス、アリス・ルイスよ」

「私はマリアさんの紹介で来た、メアリー・ローリエです」

「ローリエ? ローリエってあの侯爵家の?」


 アリスと名乗った魔術薬師は私のファミリーネームを聞いて、侯爵家と口に出す。

 それを聞いた私はビシリッと体が硬直した。

 自分で言うのもあれだけど侯爵家のご令嬢が此処に居るのは考えられない、それに私は家出してきた。あの人達の無関心のおかげで騒ぎになってないけど、本来なら騒ぎになるのが当たり前。

 それ以前にどうしてアリスさんは侯爵家と言ったの?


「え、あ、あの、私は・・・・・・」

「・・・・・・ごめんなさい。変なこと聞いちゃったわね。気を取り直して、早速、お仕事してもらいましょうかね」


 何事もなかったかのようにアリスさんは振る舞って、家の中に案内する。

 気を遣われちゃったな・・・・・・。


『おい、下僕!! アリスさんを待たせるにゃ!! 行くぞ!!』


 お前は気を遣え!!!!!!


――アリスの家内部。


「う、うわぁ~・・・・・・」

『こりゃあ、酷いにゃ』

「あは、はははは。ここ最近は忙しくってね、そのせいで、こんな状態なんだ」


 マリアさんが言ってたとおり、足場が無い状態だった。


 アリスさんは語る。

 冒険の国・エクスカリバーの冒険ギルドで働く知り合いからギルドで運営している道具屋と契約していた魔術薬師が引退することになり新しい契約先が見つかるまでポーションを納入してほしいとお願いされ、それを快く了承した結果。


「私が作った薬、冒険者達にすごぶる評判が良かったらしくて、買い溜めする冒険者が現れたの。それで他の冒険者達からもっと仕入れて欲しいってお願いが来てね・・・・・・」

「それで掃除とかが手に付かなかった訳ですね」

「そうなるわね。でも、そのおかげでギルドと契約出来たし私の薬が評価されたんだから万々歳よ」

「そういうものですか?」

「そういうものよ」


 忙しいけど嬉しい、そう語るアリスさんは魔術薬師の仕事が心の底から好きなんだろう。

 私もそういう仕事がいつか見つかればアリスさんの気持ちが解るのかな?


「今日は一日休みを取ったの。色々と危ないものがあるから説明しながら一緒に掃除しましょう」

「はい! 解りました!」

『じゃあ、ワガハイは寝てるにゃ~』


 そうか、ゆっくり寝ているが良い。

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