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第10話 仕事が見つかった

 倒れてから二日経った。


「う~んと。持って行くのはこれで大丈夫かな?」

「メアリーお嬢様、お体の方はもう本当に大丈夫なのですか?」


 出掛ける準備をしている私にイザベラは不安げに話しかける。

 これで三回目。本当に心配性なんだから。


「大丈夫だって何回も言ってるでしょ?」

「ですが、魔力の回復はポーションを飲まないと完全に回復するには時間が掛かると言われてます」

「はいはい。解ってるって、それにそろそろイザベラも準備しないと遅れちゃうよ?」


 イザベラを安心させる為に快活に笑って、荷物を纏める。

 今日、私とイザベラは仕事に向かうのだ。


 話を二日前の朝に戻そう。

 いきなり現れたイザベラは私がトム爺さんに渡して欲しいと頼んだ手紙を読み、あの屋敷を辞めてローラタウンへとやってきた。

 私は休みをもらったら遊びに来て程度しか書いてなかったんだけど・・・・・・。

 イザベラ曰く、私が突然、急に居なくなったのにこれぽっちも心配しないあの人達に仕えたくないから私を追うような形でこの町に。

 イザベラからあの人達の反応を聞いて、まあ、予想の範囲内だと思った。

 あの二人が私をこれぽっちも思ってないのは知っているから。


『ふにゃ~♡』

「うふふ、可愛い猫ちゃんですね♪ この子も一緒にこの家に?」

「うん、タマって言うの」


 イザベラがやって来た経緯を聞いてる間、タマはイザベラの膝枕を堪能していた。

 顔がふやけてる。

 それにしてもイザベラは重くないのかな?


「ごめんくださ~い」


 イザベラに撫でられるタマを見ていたら、玄関の方か女性の声が。

 この声はマリアさん?

 目が覚めたとはいえ、直ぐに起き上がれない私に代わってイザベラが出迎えた。


「ごめんなさい。朝早くから。マイケル、旦那から倒れたって聞いて・・・・・・」


 イザベラの膝からマリアさんの膝に移動したタマを撫でながらマリアさんはマイケルさんから話を聞いて心配で様子見も兼ねてお見舞いに来たと話す。

 マリアさんにも心配かけちゃってたんだな、私。


「ご心配かけてすみません」

「謝らなくていいのよ。体の方はどうなの?」

「まだ起き上がれないですけど暫くすれば歩けるようになります」

「そうなの、でも慌てきゃダメよ。ゆっくり休んでね」

「ふふ、メアリーお嬢様。マリアさんの言うとおりですよ。ゆっくりと体を休ませて下さいませ」

「はぁ~い」


 私の体調を気遣うマリアさんを見て歩ける程度に回復したらマイケルさんとロージンさんに会いに行こうと考える、目の前で倒れたから凄く心配かけちゃっただろうし。

 お茶を持ってきたイザベラがマリアさんと談笑を始める。

 どうやら、イザベラに私の家を案内したのはマリアさんらしい。


「開口一番にメアリーちゃんのメイドだって言われた時は驚いちゃったわ」

「あの時は申し訳ありませんでした。お嬢様に会いたい気持ちが先走ってしまって」

「うふふ、メアリーちゃんの事を想って来たんでしょ? はやる気持ちはしょうがないわよ」

「へえ~、しっかり者のイザベラがね~」

「お嬢様! 笑わないで下さいませ!」


 こんな感じで和やかに談笑していたら、マリアさんが行き成り、仕事が見つかったの! と言い出した。

 仕事? 誰の?


「あら、私ったら。ごめんなさいね~。ほら、昨日、メアリーちゃんが働ける場所を旦那が探すって言ってたでしょ? 覚えてる?」

「釣り場を教えてもらいに来た時ですよね? 覚えてます」

「そうそう。そしたら、お手伝いさんを探してる子が居てね」

「お手伝いさん?」

「仕事の方が忙しくって、それ以外の事が手が付けられなくて困ってるらしいのよ。特に部屋が凄い事になってて足の踏み場もないって困ってたわ」


 お手伝いさんか。マリアさんの話から掃除が出来なくて大変困ってるみたい。

 王立学園に通ってた頃、花嫁修業とか言って生活魔法・掃除術を教わってるから基本的な事は大丈夫なはず。


「あのマリアさん、そのお手伝いを探してる人はどういう人なんですか?」

「安心して、女の人よ。落ち着いた性格の子で年は19、若いけど凄腕の魔術薬師なの」


 心配そうにイザベラが尋ねるとマリアさんは詳しい事を話してくれた。

 性別は女性、年は私より3つ上の19、職業は魔術薬師。落ち着いた性格っと!


「あと黒髪の美人さんなの♪」

『美人だと!?』


 今までマリアさんの膝でゴロゴロしていたタマが起き上がる。

 コイツは本当にどうしようもないな。

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