殺試合
一度死んで、甦っても所詮死を恐れる人間に過ぎない。
俺は、人間を超える
ジャックのナイフを右手で押さえたまま、俺の能力を自分に試そうと考えていた。
まずは脳‼︎
人間の脳は精々10%しか使われていないと聞いたことがある。
やり方などわからない、とりあえず左手を後頭部に当て成長しろと念じた。
「おかしな右腕に助けられたらなザハハハハッ‼︎」
「だがもう終わりダゼェェ‼︎」
ジャックは持っていたナイフを手放し、新しいナイフに手をかけた。
だが俺には、彼の動作はあまりにも遅く見え彼が次にどう動くかも予想出来てしまう。
即座に刀に手をかけ刀を俺は、抜いた。
この時はまだ
自分の能力が、反映されている事に、
俺は、気づいていなかった。
「いつの間に刀を抜きやがったんダァァ?」
「まぁいいこれで終わりだゼェェ‼︎」
「お前は、俺にナイフを突きつけられ恐怖を感じた、その時点で、負けていたんだゼェェ‼︎」
「ジャックレイン‼︎」
全身に仕込んだナイフをジャックは、シドウめがけて投げつける
ジャックの能力は恐怖を与える事で発動する
一度の恐怖に一度、足の裏が地面に固定され逃げる事が出来なくなる。
ジャックのナイフがシドウめがけて飛んでくる、全身に鈍い音を立てナイフが突き刺さる。
「ワァー‼︎」と歓声が鳴り響くと同時に「ジャック‼︎ジャック‼︎」と観客が声をあげる。
俺は、観客がいた事にその時気づいた。
ナイフの痛みはなく、俺の死を見たがる観客と、このわけもわからぬ殺試合をさせる、神に対する怒りで胸がいっぱいだった。
刀を突き立てジャックをめがけて、走り出したと思ったら、俺の刀は彼の心臓を射抜いていた。
自分でも何が起きたかわからなかった。
ただわかるのは、じわーっと血が滲みだし、ジャックが横たわり瀕死という事だった
観客は黙り息を呑む、ふと観客の中央をみると、ホッとした笑顔で見つめる妻マリアと、涙目の息子オッティがいた。
それだけで、戦った意味があった。
3人だけが通じ合える、愛がそこにはあると確信すると同時に、身体にナイフの痛みが伝わり始めた。
出血も大してして無く、ナイフも全て浅く刺さっていた。
きっと20%まで成長させた脳の力なのだろう…
そして妻と子の後ろには
黒いローブの右腕を無くした死神らしき者の姿があった、そいつが心に話かけてきた。
「私の右腕の能力は、与える力だ、その右腕で、何度も死を与えてきた‼︎」
「私の力を使うがよい‼︎」
あぁ…
こいつが俺達をこの世界に死のレールで連れてきた、死神と認識した。
そしてトドメを刺せと言わんばかりに観客のコールが「シドウ‼︎シドウ‼︎」と変わる
「俺様を、殺ゼェェ…」
瀕死のジャックも俺を煽る
俺は、彼に右手を当て
与える能力の力を試してみた…