選ばれし命
死んでも終わりでは無い命は繰り返すそんな言葉を、生きているとどこかで耳にしたものだ…
早くに親となり、どんな苦境も好んで生きてきた。
周りからの理解もなく、変わり者と指を刺される事がどこか嬉しかった。
久しぶりの休みに、愛する嫁と子を車に乗せ隣町に出かけるいつもと変わらぬ休日のはずだった…
「本日○号線で、居眠り運転をしていたトラックと乗用車がぶつかり、乗用車に乗っていた家族3名が死亡する事故がありました。」
「次のニュースです、川で遊びに来ていた小学四年生の男の子が流され川下で遺体が発見されました。」
あまりにも虚しい終わりだと思っていた。
ここに輪廻転生するまでは…
【エデン】響きはいい、天国の別名そんなイメージだった。
だがそこは神の遊び場
神の庭にすぎなかった…
各神が、自分の領土で死者をエデンに転生させ育て、転生した者同士を戦わせる。
あまりにもくだらない世界だった
そしてエデン死神村
死んだ子供が、転生される村
俺は、そこに転生されシドウという名を与えられた。
村の名の通り、死神が村をとりまとめている。
死神いわく子と一緒に死んだ命は、死神に所有権があると
そして俺はボロボロの街に妻と子の姿を見たと思った瞬間
映画で見るような、壁には武器が立てかけらている、ローマのコロッセのような所に連れ出されていた
死神の姿は見えず、声だけが聞こえて来る
「シドウ戦え‼︎死神村の大人は、お前とお前の嫁のマリアだけだ‼︎」
「子を守りたいのであれば目の前の敵を殺すのだ」
「お前の能力は成長か…
期待できない能力だ…
特別だ‼︎
一つほしい能力を与えようでは無いか‼︎」
子を苦しめたい親などいない
何が何だかわからないそんな苦境など前世で腐るほど味わった。
むしろ吐き気がするくらいだ
そして私は、この理不尽で苦境な世界に、興奮し笑っていた。
「貴様の右腕をくれよ死神‼︎」
「俺が貴様の右腕になってやるよぃ‼︎」
少し間を開け、死神が鼻で笑ったのがわかった。
「面白い人間だ‼︎私もあとがないシドウお前にかけようではないか!」
「壁にある武器を一つ選び目の前の通路を突き進め‼︎」
俺の腕が、ずぅぅうっと右腕が重くなり、黒く鉄製の腕へと形が変わっていった。
俺は、目の前の日本刀を手に取り、平成の大和魂を見せてやると言わんばかりに、強く歩み始めた。
「今回久しぶりに、弱者村から試合にエントリー‼︎」
「シドウ‼︎」
「対するは無敗の喜神国‼︎」
「切り裂きジャックで有名な‼︎」
「ジャック・ザ・リッパー‼︎」
全身にナイフをぶら下げた小柄な男がつまらなそうな顔で俺睨みつけていた
「チッ、俺は女か子供を殺すのが好きなんだゼエエ‼︎チンカス野郎は瞬殺だぜエエ‼︎」
刀を抜く暇も無く距離を縮められ首元にナイフを突きつけられ
鉄の右腕が無かったら、俺は即死だった…