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第86話 女の子の水着談義

 冒険者組合での出来事から暫く経ち、ユウキ屈辱の期末試験(3点差でカロリーナに負けた)が終わって、夏休みになった。今年は夏休み最初の週に学園主催の1年生と2年生合同の臨海学校が開催されることとなっている。いつものごとく、ユウキたちはリビングに集まって、「しおり」を確認しながら持ち物を準備していた。


「いや~、思い出しても期末試験の結果発表時のユウキの号泣は凄まじかったわ」

「ホントですね。あそこまでの号泣は見たことがありません。よほど悔しかったんですね」

「周りの生徒たちドン引きしてたもんね」


「うう、もう言わないで。ボク、今回は自信あったのに…、カロリーナよりバカだなんて、屈辱…」

「あんた、栄養が全部おっぱいとお尻に行ってるからよ。少しは頭に回しなさいよ」

「カロリーナはいいよね。栄養、全部頭に回るから」

「ユウキ、表に出ろ。巨乳と貧乳の戦いに決着を付けてやる!」


「はいはい、落ち着いてカロリーナ、その話は終わりよ、終わり。臨海学校に持って行く水着の話をしようよ」

 ララがカロリーナの頭をポンポンと叩きながら、話題を変える。


「ユウキは今回、どういう水着持っていくの?」

「ボクは、去年と同じにしようかな。実はあのレモンイエローのビキニ、気に入ってるんだ。へへ」

「ああ、あれは可愛いよね。いいと思うよ」

「ありがとう。ララに褒められると自信が出るな~」


「ユーリカさんはどうするのですか」

「うん、私は新しいの買おうかなって思ってます。サイズが大きくなったので。ただ、ホルターネックビキニじゃないとおっぱいを支えられないんですよ。ですから、デザイン重視で決めたいと思います」

「何を言ってるかわからない」(ララ)

「地の底まで垂れるがよい」(カロリーナ)


「ホレ、第3の巨乳女、ヒルデは準備できてるの?」

「第3の巨乳女って…、カロリーナさんは巨乳に何か恨みでも?」

「巨乳は人類の敵だと思ってる」

「そうですか…。わかり合えないんですね。それは置いといて、私、水着を持ってないんですよ。ですから、買いに行こうかと思ってます」


 その時、ドタタタタとマヤが2階から降りてきて、ヒルデの前に水着を何着か出してきた。


「ナニコレ、すっごいエロいデザインね。上は乳首、下はアソコしか隠れないじゃない。ヒルデ、これにしなさい」

「い、イヤですよ。恥ずかしいですよ、こんなの…」

「大丈夫よ、ユウキも着るから。一緒なら平気でしょ」

「ボクだって着ないよこんな危ない水着。もし、ずれたら目も当てられないよ」


「あ、これはブラジル水着だね。ボク知ってる」

「へー、不思議な名前の水着ね。しかし、これ…」

「デザイン的に、おっぱいの先端だけ隠して水着全体をお股と肩で支える形ですね」

「結構エグイね、でも男たちの注目を浴びるわよ。砂浜の女王よ」


「ヒルデ、こっちにする?」

「強烈ですね。これを着た私を想像すると…、ダ、ダメ、恥ずかしすぎる」

「もう、わがままね」

「そ、そういう問題でしょうか…」


「もうひとつは、うげ、何よコレ、貝殻水着? 貝殻で乳首とアソコだけ隠すって…」

「しかも、貝殻以外は細いチェーンですよ。お股とお尻に食い込んじゃいそうです」

「なんか、新しい自分を発見しそうよね。後戻りできなさそう…」

「これ、ヒルデには似合いそうだよ。どう? チャレンジする?」

「しませんよ! こんなの着たらただの痴女ですよ、痴女!」


「これが最後ね。赤地に白の水玉模様のビキニ。オーソドックス過ぎてつまんないわ」

「普通でいいんですよ、普通で。私これがいいです」

「ダメね、エルフは保守的すぎる。攻める姿勢が足りないわ」

「いや、前の水着は攻めすぎですよ。じゃ、カロリーナさんが着たらいいのでは」


「あんた、これを着た私を想像してみなさいよ」

「(想像中…)、すみませんでしたー!」

「わかればいいんだけど、なんか、納得できないわね」


「フィーアはどうするの?」

「私、昨年は白のビキニで結構頑張ったんですけど、ユウキさんとユーリカさんのおっぱいが強烈過ぎて、誰も見てくれないという悲劇を味わいましたので、今回はオーソドックスにピンクのワンピースにしようかと」

「あら、お嬢様らしくていい感じね」

「うん、想像するといい感じ。いかにも清楚なお嬢様な気がする」


「気がする…って何ですか。私はユウキさんやユーリカさんと違って清純派なんですよ」

「聞き捨てならないね。ボクとユーリカはなんだっていうの?」

「学園のエロ代表ですよ。それ以外に何があるって言うんですか」

「こ、このポンコツ令嬢……」


「ララとカロリーナは?」

「私は、白地にお花の模様を描いたワンピースにする。胸にリボンを付けて、腰にパレオを巻けば結構おしゃれだと思うんだ。実はもう買ってあるの」


「おお、ララさんにはいいかもですね。想像しただけで可愛いです」

「ありがとう、ユーリカ。えへへ」


「私は青地に白の縞模様ビキニ。あまりどぎつくないやつ」

「意外と保守派なのね。そうだ、去年の学園祭でユウキが着たメイドビキニにしなさいよ」

「凹凸の起伏に乏しいカロリーナに、巨乳の装いをしろと? うぷぷ…」

「結構鬼畜ですね、ララさん」


「凹凸が乏しいって何よ! ちゃんとあるわよ、若干だけど…。あと、ユーリカは笑いすぎ!」

「まあまあ、みんなそのくらいにしてあげなよ。ボクはビキニいいと思うよ、カロリーナ可愛いし」

「どっちのビキニを言ってるの。メイドビキニだったら殴るわよ」

「当然、メイドでしょ」


 わいわい話をしているとあっという間に時間が過ぎる。マヤがお風呂が沸いたことを知らせて来たので、全員で入ることにした。


「さあ、ヒルデ、お風呂に行くわよ。アソコをつるつるにしてあげる」

「ひえぇ、な、何故」

「水着のためよ。我慢しろ!」

「さあ、これで全員つるつる仲間ですね」


 両サイドをがっちりホールドされ宇宙人のように連行されるヒルデだった。


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