第76話 ララとカロリーナ、うれし泣きをする
ユウキとララ、カロリーナの3人が学園からの帰り道、商店街の大通りを歩いていた。
「ヒルデは用事で遅くなるって言ってたんだよね」
「うん。だからフィーアとユーリカには残って待っててもらってるの」
「う~ん、商店街の賑わい見てると、誘拐事件が起こっているなんて想像もつかないけどね。一体誰が何のために起こしているんだろ」
「ねえ」
「どうしたの?ララ」
「気のせいかも知れないけど、最近、野菜やお肉の値段、少し高くなってない?」
「そう? 私は気にしたことないから、わかんないな」
「ボクも。気になるならマヤさんに聞いてみれば解るかも知れないね。いつもここで買い物しているから」
そんな話をしていると、ある集団が目についた。その集団は白いローブを頭から被った男数人が何か説話をしており、その回りに十数人の男女が集まって話を聞いているようだ。
「あれは?」
「ん、ああ、最近王都で布教活動をしている何とかっていう教団だね。信者を増やしてて、王国の正教会と対立しているという話だよ」ララがローブを被った男たちを見て教えてくれた。
「ユウキ、あいつら…」
「うん、あいつら去年ボク達に絡んできた奴らだ」
「イヤな感じ…、君子危うきに近寄らず。関わり合いにならないように気をつけないと」
「カロリーナ、ボクもそう思う。でもよくそんな難しい言葉知ってたね」
「ユウキ…。あんた、私をバカだと思ってるでしょ」
「うん!」
「こ、この女…」
家で夕飯の準備をしていたマヤに野菜や肉の値段について尋ねると、確かに以前より高くなってきているが、流通量は減ってないし、値段も高止まりしているので、これ以上悪くならないと思うとのことだった。
翌日、朝のホームルームで担任のバルバネスが身体測定があることを言ってきた。
「ようし、今日は午前中に身体測定があるからな。男子は第1会議室、女子は医務室だ」
「パンツ一丁で測るからな。お前ら、パンツにうんこ染み付けてねーだろうな。ウワハハハハ!」
「ええっ」「うそ!」「なんで昨日言ってくれないんだよ!」といったクラスメイトの抗議が上がるが、バルバネスは「忘れとった」の一言で終わらせてしまった。
(うわ、これ全く1年の時とおんなじ流れだ。セリフは下品に進化してるけど。しかも、今日に限ってちょっとエッチな下着しかなかったから、それを穿いて来てしまったボク。もう、ばかばかばか!)
女子生徒全員が医務室に入り、服を脱ぎ始める。ユウキは、恥ずかしさで中々脱げないでいた。それを見たカロリーナがニヤッと笑い、すすっとユウキの後ろに近付いてスカートに手をかけた。
「はーい、みんなちゅうもーく。只今からユウキのパンツをお披露目しまーす。えいっ!」
カロリーナがユウキのスカートを一気にずり下ろす。
「うわああああ!」
ユウキの下着は、前後の布面積が少ない「紐パン」しかも薄紫色のエロ過ぎる下着は、ちょっとエッチどころではなかった。女の子たちは「わあ」「ユウキってエグイね」「エロい、エロ過ぎる」「普段から勝負下着とは…」とか言ってユウキのパンツをガン見してくる。真っ赤になって涙目になったユウキは、「恥ずかしいけど、これも大人の第一歩」と、良く分からないセリフを言って、精一杯強がるのであった。
「ユウキって、身体測定でエロ下着を見せないと気がすまなくなってたりして…」
「さすが、エロの女王。格が違いますね」
ララとフィーアが感心したように頷き合う。
「ユウキさん、ユーリカさんどうでした」と制服を着ながらフィーアが訊ねてきた。
「ボクは164cm、50kg、B88、W56、H87でした」
「私は175cm、57kg、B96、W62、H89です。見事な安産型と言われました…」
「あそこは別次元ね。サッキュバスどもめ…」
カロリーナとララが憎々しげに巨乳娘達を見る。
「私たちだって成長したし! 75から78になったもんね」
「ねー」
「ユウキとの差も1cm縮まったもんね。(去年は差が11cmあった)」
「ねー」
「ララ!」「カロリーナ!」
2人は上半身裸のまま、ヒシ!と抱き合い、感動に打ち震え涙を流す。その姿を見てユウキは「痛々しくて見てられない」と目を背けるのであった。
学園の1日が終わり、家に帰って夕食後、家のリビングにみんなが集まって今日の出来事を話す。他愛もないことだけど、ユウキの毎日の楽しみだった。
「へえ、1年生の野外実習はなくなったんですか」
「はい。何でも昨年はゴブリンの事件があったから、アルカ山の踏破訓練は止めて、夏に1年生と2年生合同の臨海学校を行う事にしたそうです」
ヒルデが学園からの連絡事項を話してくれた。
「臨海学校か~。去年のユウキとユーリカは凄かった…」
カロリーナは、際どいビキニに包まれたユウキとユーリカの破壊力抜群の巨乳にひれ伏す男たちやユウキのブラが流されて、それを狂乱状態となって奪い合う男たちの争いを面白おかしく話して聞かせた。その巧みな話しぶりに、リビングのみんなは大笑いする。当事者たるユウキは「やめてよ。ボクをネタにするのは~」と笑いながら怒るのであった。
団らんも終わって自室に戻り、ベッドに入ったユウキは、
「あ~、久しぶりに大笑いした。楽しかったな、やっぱりみんなといると楽しい」
「いい友達がたくさんできてよかった。みんな大切な友達……。ふああ」
そう独り言を言って大きなあくびを一つすると、すぐに眠りに落ちたのだった。