第70話 美少女コンテスト(中編)
「さあユウキ、次だよ。心の準備はいい」
「う、うん。この衣装大丈夫かな…。パンツ見えそうなんだけど…。しかも、今日に限って黒のレースのセクシ-パンツ…。透けて見えそう」
「予想どおり出場者はみんな可愛いドレスだね。こりゃ、ユウキのインパクトは桁違い。目立つこと間違いなしだわ! この勝負もらった!」
「カロリーナのテンションがMAXなんだけど」
「いや~、まだ2人ですけどレベルが高いですね~。さすが今年は美少女豊作と言われるだけあります。さあ、次は1年Cクラスユウキ・タカシナさん! おっと、早くも黒髪の美少女の登場だー!」
「ユウキ様ー!」貴賓席からかわいい声援が飛んできた。
ユウキが舞台の袖から出ると、観客席から「おおー!」というどよめきが起こった。舞台に現れたユウキはバッチリメイクに髪はアップにして赤い大きなリボンでまとめている。服は大きく胸の開いた白いブラウスとぴっちりしたミニの黒いタイトスカート。歩くたびにユウキの際どい下着が見えそうになる。靴は黒のハイヒール。手には指示棒。所謂「女教師」スタイルだ。
ユウキは正面に立つが、恥ずかしさでもじもじしている。その姿が男たちを一層興奮させる。
「おおっと、これは何とも言えない妖艶さ。今までの美少女コンテスト出場者とは一線を画すスタイル。いや~素晴らしい。あの胸のぱっつんぱっつん度はかなりの破壊力ですね。どうですか、マクシミリアン様」
「……」
「マクシミリアン様? どうやらマクシミリアン様はユウキさんに見とれて声も出ないようです」
「ううむ。あれは中々いいな」
「お父様?」
「あ、いや、何でもない」
「どうですかマヤさん。マヤさんの手作り衣装、完璧ですね」
『素晴らしいです。私、もう死んでもいい!』
「ぷっ、あはははは! ナイスですマヤさん! マヤさんはジョークのセンスも一流ですわ」
「さあ、自己PR文読みますね」
(そういえばPR文、ボク書いてない。あれは誰が書いたの? い、イヤな予感…)
「えーと、ユウキ・タカシナ15歳。好きなものは自分のでっかいおっぱい。嫌いなものは妬み全開でからんでくる貧乳女。趣味は際どい下着を穿いて鏡の前でのポージング。ついたあだ名は「学園のサッキュバス」。アルバイトのメイド喫茶では、ドジっ子、ボクっ子、おっぱいと3属性を兼ね備え、ナンバー1の大人気。運んできたお水を客の股間にこぼしておさわりする率100%。何とマクシミリアン様の股間もタッチ済み。そんなボクでも恋や恋愛には奥手なの。みんな、よろしくね」
「あの、これ何ですか…」
コレッタが困惑して聞いてくる。ユウキは開き直って、
「それ、ボクが書いたんじゃありません! 犯人はそこのフィーアっていう性悪令嬢とあそこの陰にいるカロリーナっていう貧乳女です! 何でみんなばらしちゃうのかなー。恥ずかしいよー、もおー」
ユウキの自爆に会場内はどっと笑いで包まれた。見ればマクシミリアンも国王もフェーリスお腹を抱えて笑ってる。それを見たユウキは恥ずかしさでいっぱいになり、顔を真っ赤にして袖口に戻ろうとした。
「あっと、ユウキさんお待ちください。まだ、終わってませんよ」
「へ?」
「自分の言葉で美少女PRが残ってます。さあ、会場に向かってどうぞ!」
「こ、この雰囲気でやれっていうの…。無茶すぎる」
「さ、ユウキさん。後がつかえてますので、お早くお願いします」
「わ、わかりました」
ユウキは覚悟を決めた。ここまで来たら何でもありだ。
ユウキは、腕を伸ばして指示棒を会場にピッと向け、少し足を開いて胸を見せつけるポーズを取った。そして、指示棒と反対の手を胸の谷間付近に置き、真っ赤な顔をして、
「あなたたち! ボクを見てどう思う。ボクいい女でしょ。でも、ボクを落とすのは簡単じゃないよ。キミたちのボクを目は欲情に溢れてるから。ボクはそんな目で見てくる男は大嫌い!」
「でも…、キミたちが男を磨いて紳士になって現れたら、もしかしてキュンってしてしまうかも…」
「ホ、ホントに、もしかしたらだからね! 期待はしないでね!」
何とか頑張ってそう言うと、客席を見ず、駆け足で袖口に戻った。会場は男どもの歓声がものすごい渦を巻いている。
「ツンデレだ。ボクっ子ツンデレだ!」「お、おれキュンときた」「萌え死ぬ」
「皆さん! お静かに。さあ、次の女の子の番ですよ」
ユウキ以降の女の子たちは、ユウキのあまりのインパクトに「なんか、出て行きずらいわね…」と言って、顔を見合わせるのであった。
「やったわね、ユウキ! 掴みは完璧よ!」
「カ・ロ・リ・イ・ナー! やってくれたわね!」
「く、苦しい、ユウキ、首を絞めないで」
「ユウキさん! そのまま、そのまま首の骨を折るのです!」
「ユーリカ! 私たち親友のはずよ。そうでしょ、ユーリカあああ。助けてぇええ」
午前の部が終わり、ユウキとカロリーナ、ユーリカが控室でお弁当を食べている。
「あ~死ぬかと思った。首周りに手の後がくっきりとついてるよ」
「自業自得でしょ。全く、ボクをおもちゃにして」
「ユウキさん、午後は水着審査ですから、あまり食べないでくださいね」
「それがあった…。もう帰りたい」
「ユウキ様!」
「フェーリス様! マクシミリアン様も」
「フェーリス感動しました! ユウキさんのカッコ、凄く良かったです。きりっとしてて、あんなにスタイルがいいなんて羨ましいですね」
「それとPR文。あんなに笑ったの久しぶりです。お父様もいっぱい笑ってくれました。お父様の笑い顔久しぶりで、フェーリス嬉しくなりました。ユウキ様、本当にありがとう」
(くっ、カロリーナのどや顔がうざい)
「はは、喜んでくれて嬉しいです」
「ユウキ君。あのPR文、どこまで真実何だい。全部冗談なんだよね」
「マクシミリアン様、当り前じゃないですか」
「全部真実です」
「え、ホントかい。カロリーナ君」
「はい、真実です。今も超どぎついセクシーエロパンツを穿いてますよ。見てみますか」
「カロリーナ! マクシミリアン様、見せませんからね!」
「ということは穿いてるんだ…」
「さすがですね、ユウキ様。フェーリスはまだお子ちゃま下着なんです。いつか、大人の女性についてご教示くださいね」
(うむ。フェーリス様は私の側ね)
(カロリーナが良からぬことを考えている…)
「あと、最後の「ツンデレ」ですか、凄く盛り上がってましたね。今日は勉強することがいっぱいで楽しいです。午後も楽しみにしてますね。お父様も午後が一番楽しみって言ってました」
(フェーリス様、それは言ってはいけないことだったのでは…)
そして、午後の部、勝負の本番「水着美女の狂宴」が始まる。