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第64話 学園祭開催!ユーリカの決意

「いよいよ今日から学園祭だね。今朝の訓練は軽めにしとこうね、ユーリカ」

「ユウキさん。私のために本当にありがとうございます」

「何言ってるの? ボクたち友だちでしょ、当然だよ」

「はい! そう言っていただけると、私嬉しいです」


「おい、ユーリカこっちこい」

 朝練を終えて家に戻ると、ダスティンが声をかけてきた。ユーリカとユウキが工房に行くとララも一緒に作業をしていた。


「できたぞ。ほら、ユーリカ専用の武器だ。バルディッシュという戦斧だ」


 ダスティンが渡してきたのは、2mほどの鉄製の柄に三日月状の曲線を持った60㎝ほどの鋭い刃の斧頭が付いた戦斧だった。よく見ると、柄と斧の接合部と柄の一番下の石突の部分に赤い魔法石が付いている。


「へへ、この上の魔法石はね、武器の威力を増す力があるし、刃に熱を纏わせて、敵を焼き切る効果を持たせているんだよ。下の魔法石はね、戦斧の重量を軽減する力を込めてるんだ。私が作ったのよ」


 ララが胸を張っていう。ダスティンはもう1本、全く同じものを持ってきた。


「こいつは、今日の大会用だ。刃入れはしていない。大会が終わったら練習用にでもすればいい。大会用だから重量軽減の魔法石しか付けてないぞ」

 ユーリカがバルディッシュを持って軽く振ってみる。


「す、すごい、持った瞬間手になじんで…。それに軽い。ダスティンさん、ありがとうございます! 気に入りました」


「ほれ、これは予備武器だ。持っとけ」

「ダガーですか。凄くかっこいい。私、感謝の気持ちでいっぱいです」


「そうか、次は防具だ。こっちの方が時間がかかったぞ。向こうに準備しているから、朝飯食って着替えたら着けてみろ」


「はい!」


 ユーリカが、ダスティンの作った防具を着て、ユウキ達の前に出てきた。


「わあ、凄い! カッコいい! いいな~、オヤジさんボクにも作ってよ」

「ホントですね。とてもよくお似合いです。ユーリカさんじゃないみたい」


 金属製のショルダーパッドに大きな胸を守る白銀に輝く胸当て。胸当ての真ん中に菱形に加工された魔法石が埋め込まれ、右胸の上にバラの花の意匠が施されている。


「魔法石は防御力強化。意匠は俺の趣味だ」

「胴回りは3枚の金属板。両脇は曲線を付けて動きの邪魔をしないようにしている。両脇のチェーンと胸当ての前と左右に付いている留め金で金属板を固定するようにしているぞ」


「このプリーツスカートですけど、少し丈が短いような気がしますが…」

「ユーリカは、太ももの肉付きがちょっといいでしょ、だからミニスカートが似合うよ。スカート用のベルトのバックルに魔法石が付いているよね。それに防壁の魔術が込められているから、下半身の防御は完璧だよ」


「そ、そうですか? ありがとうございます。私の足、そんなに太いですかね…」


「ブーツは、魔物の皮を重ねて作っている。意外と防御力も通気性もいいぞ」

「魔法石作り、楽しかったけど、ダスティンさんに何回もダメだしされて、心が折れそうだったよ。でも、そのおかげで自信作になったよ」


「ありがとうララ、ダスティンさん。私、本当に嬉しいです」

 ユーリカは、みんなの気持ちが嬉しくて、泣きそうになった。


「でも、コレ、このまま着て学園に行くわけにはいかないね。どうしようか」

「ホレ、このマントを羽織って行けばよい。試合の時に脱げばよかろう。戦斧は布で覆ってけ」


「よ~し! 準備できた? では学園に向けてしゅっぱーつ!」

 ララが元気よく号令をかける。いつの間にか仕切っているララに、ユウキたちは苦笑いしながら学園に向かうのであった。


「私は、クラス販売に行くから。ユーリカゴメンね、午後は見に行けるから」

「私もここで失礼します。つまんないクラスの出し物ですが、午前中の係なのです」

 カロリーナとフィーアはそう言うと、学園の中に入って行った。


「カロリーナったら、あの大きな荷物なんだろうね。売り物なのかな」

「だと思いますよ。毎晩マヤさんと遅くまで何か作っていたみたいです」

「…何も考えないようにしよう。多分、ボクに関係ある。絶対」

「ふふっ、いいじゃないですか、武術会場に行きましょう。応援頼みますね」


 武術会場に着くと既に大勢の観客が集まっていた。観客の多さにびっくりしていると、ヘラクリッドが来て、


「いやー、凄い人ですな。騎士団も来てますぞ。この武術大会は優秀な人材を見つけるために開催するとも言われてますからな。順番が来るまで対戦相手がわからないのも不気味です。しかし、この筋肉の前には何物も敵ではない!」


「ふふ、気合入ってるね。ボク、応援するからがんばってね」

「おお、ユウキ殿が応援してくれるなら百人力ですぞ。ウム、筋肉が震える!」


「おおい、ユウキちゃん、ユーリカちゃん」

「あっ、モーガンさん、来てたんですか」

「ああ、人材探しも仕事のうちだからね。別な師団からもスカウトが来ているよ」

「へえ、そうなんだ」


「ユーリカちゃん、がんばれよ。訓練の成果は、君を裏切らないからな」

「はい! ありがとうございます。私、何もできない自分が悔しくて。でも、皆さんに鍛えてもらって、応援してもらって、少し自信が付きました。どこまでできるかわかりませんが頑張ってみます!」


「うん、その意気だ」

「頑張ってねユーリカ!」


「お集まりの皆さん! 只今より学園祭恒例、武術大会を開催します。選手の皆さんは呼ばれたら指定のリングに上がってください。試合は1対1のトーナメント方式です。勝負は相手を倒すか「降参」と言わせれば勝ちです」


「なお、武器防具の使用は自由。ただし、武器の刃は入っていないものに限ります。また、魔法は防御魔法以外使用禁止です」

「それでは、試合を始めます。Aリング第1試合、1年Bクラス、アル対1年Sクラス、マルムト様、Bリング第1試合……、Cリング、1年Cクラス、ユーリカ・マリス対2年Sクラス、ブルーノ・ノワール!」


「ユーリカとアルは最初の試合か。アルの相手は…、マルムト王子!?」


 ユウキは、国王の話を思い出し、アルの対戦相手をもう一度見るのだった。


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