幸せな日常とユウキの宝物
ユウキとミュラーが結婚して15年が経過した。ミュラーは40歳、ユウキは35歳になり、二人とも壮年の域に達しているがユウキは相変わらず若々しくて美しく、年齢を重ねて威厳が増したミュラーとも仲睦まじく過ごしている。
そのミュラーは一昨年、皇帝フリードリヒの退位に伴い、皇帝に即位した。これにより、ユウキも皇太子妃から皇妃になった。フリードリヒは60台後半で元気であり、突然の退位宣言に国民や周辺諸国は驚いたが、後日教えてくれた話によると、元気なうちに孫といっぱい遊びたい。できれば、孫と一緒に冒険の旅に出たいというのが理由で、その話を聞いたミュラーとユウキを脱力させた。
ポカポカ陽気が気持ち良いある日の午後、日当たりの良い皇宮のテラスでお茶を楽しんでいたユウキ。大人になって落ち着きと色香を増した専属メイドのミウが空になったカップに紅茶を注ぐ。その対面にはバツの悪そうな顔をしたノゾミが座っていた。
ユウキの娘、ノゾミ。年齢14歳となった彼女は美形の両親から生まれただけあって、超絶美少女に成長していた。また、母親の遺伝をしっかり受け継ぎ、胸も大きくEクラスに膨らんで、将来が楽しみだと日々エドモンズ三世らを喜ばせている。ただし、お転婆すぎるのがユウキの頭痛の種となっている(自分もそうだったのは忘却の彼方だ)。
「全く…。皇女の癖に何をやってんだか」
「だって…。あいつらが悪いんだもの…」
「だからって、やりすぎです! 同級生を魔法でぶっ飛ばすバカがどこにいますか! おまけに護衛に貸し与えた暗黒骸骨騎士をけしかけてボコボコにするなんて。大怪我させたらどう責任を取るつもりだったの!?」
「でも、お母様。あいつら、同級生女子を陰でずっといじめてたのよ。私、どうしても許せなかったんだもの。だから…つい…」
ユウキはため息をついて、項垂れる娘を見た。この正義感の強さと弱い者を守ろうとする意志は、かつての自分そっくりだと思う。自分だって、その場にいたら同じことをしただろう。そう思うとこれ以上怒るに怒れない。ユウキは娘を許すことにした。
「わかったわ。ボコボコにした後に治癒魔法で治してあげたって事だし、不問にしましょう。なに、親が文句を言ってきたら、わたしがぶっ飛ばしてあげるわ」
「お母様。ありがとう。(ってか、この世界でお母様を相手にケンカを売る人いませんって)」
「ノゾミ、お友達は大切にね。そして、友達を…大切な人を助け守るという気持ち、いつまでも持ち続けるのよ。母との約束です」
「はい!」
優雅にお茶を飲む母。母はいつも優しく朗らかで、いつも人としての生き方を教えてくれる。ノゾミはそんな母が大好きだった。ただ、怒らせると滅茶苦茶怖いが…。
(お母様のような生き方って素敵だな。自分もそうありたい。お母様は私の目標だもの。お母様、大好き!)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ここにいたのか」
ユウキとノゾミがおやつのショートケーキを楽しんでいると、テラスに入ってきた人物に声をかけられた。
「陛下…と、エロモン」
『いい加減名前を覚えろ。それに、ミュラーのついでみたいに言うんじゃないわい』
「お父様! エドモンズのおじ様!」
「よお、ご一緒しても良いか?」
『儂もー』
ミュラーはユウキの隣、エドモンズ三世はノゾミの隣に座った。メイドのミウがミュラーの前にコーヒーを置き、恭しく礼をして下がった。
皇妃となったユウキには4人の従魔がいたが、現在はアース君とアルフィーネだけの2人だけになっている。エドモンズ三世は契約を解除され、ユウキの希望で現在はノゾミの従魔となった。
ユウキは、ノゾミにはいずれ旅をさせたい。自身がそうであったように旅の中で悩み、道に迷う事もあるだろう。その時、優しく導いてくれる親のような存在が必要になるからと理由を話し、エドモンズ三世は喜んでそれを受け入れたのだった(ノゾミが超絶巨乳美少女であり、おっぱいの成長を見届けたいのも理由のひとつであることは秘密だ)。
「ここはノゾミだけか? ほかの子供たちはなにしてるんだ?」
「マコト(長男12歳)は朝からバルコムおじさんの所に勉強に行ってる。ん? 戻ってきたみたいよ」
ベランダの一角に魔法陣が浮かび上がり、漆黒の闇が巻き上がった。その中から出てきたのはぶ厚い本を抱えた男の子。母親似のイケメンで年齢の割に背も高い。基本文系なのだが、意外と運動と剣技も得意で訓練も欠かさないので体付きもしっかりしている。また、髪の毛は母親似の黒い髪をしている(ちなみに、ノゾミも同じく黒髪)。
「あ、父上、母上! これを見てください!」
「どうしたの? そんなに興奮して」
「お、エロ本でも見つけたか? ぐっはぁ!」
ユウキのアッパーが皇帝陛下の顎にクリーンヒットした。顎を押さえてテーブルに突っ伏し、ビクンビクンと痙攣するミュラー。世界最大最強国家の皇帝陛下をいきなり殴るユウキも凄いが、ミュラーも全然懲りないし、周りは誰も気にしない。護衛騎士は見ないふりをし、皇帝付きのメイドたちはくすくす笑っている。皇帝になっても全然変わらない気さくさで接してくる父親もノゾミは大好きだった。
「お父様、大丈夫?」
「いてて…。大丈夫…だ」
「全く、マコトに変な事教えないでよね」
『………。(儂、余計な事言わなくて良かった。自制した自分を褒めてあげたい)』
「あはは…。バルコム様の図書室で古代魔法文明における魔法技術の研究解説書を見つけたんです。凄いですよ、国会図書館にもないです、こんなすごい本!」
「そう、よかったね。マコトは魔法の勉強大好きだもんねー(本好きは日本にいた頃の自分に似たのかな。もしそうなら嬉しいわ)」
ユウキは椅子から立ち上がってマコトの頭をなでなですると、マコトは嬉しそうに笑った。マコトは子供達の中で魔法の才が突出して高い。しかし、それはこの世界の理の中でのこと。だから世界で唯一、生者で暗黒魔法を使うことができる母をマコトは尊敬している。だから、優しい笑顔で母に褒められると嬉しく、もっとガンバロウと思うのだった。
マコトがユウキに頭をなでられていると、漆黒の闇の中から魔物の少女とリッチーのバルコムが現れ出てきた。
「もー、先に行くなんてヒドイですよー、マコト様ぁ」
「あはは、ごめんねサーシャ」
「もうー。ぷんすかなのですよー」
サーシャと呼ばれたのはラミアの美少女。彼女はイザヴェル王国の王子ジャンとラミアのカリンとの間にできた子供なのだが、魔物慣れしていない王国ではサーシャの生活がままならないということで、アンジェリカがユウキに相談したところ、帝都の人々はエドモンズ三世を始めとするユウキの従魔やオーガの里等の影響で、人々に危害を加えない魔物は受け入れる寛容さを持っていることから、サーシャを帝国への留学生として受け入れ、皇室で面倒を見ることにしたのだった。
ちなみに、サーシャの年齢は12歳でマコトと同い年。中学校も一緒で同じクラスだ。また、容姿も美形の両親のいいとこ取りで彼女も街を歩けば10人が10人とも振り返る程の美少女。胸も年齢の割に大きく、将来性を十分に感じさせる。ただし、おヘソから下は見事な蛇体。当然、学校に転入した際は非常に驚かれたが、見た目も性格も良い子なので、マコトのフォローもあって、直ぐにクラスの仲間として受け入れられたのであった。
『マコトは本当に本が好きなのだな。頭も良いし魔法の才能もある。儂としても教え甲斐があって楽しい』
「バルコム様に褒められると嬉しいです」
「バルコム様、わたしは? わたしは褒めてくれないんですか?」
『ははは。サーシャも魔法の才がある。お主は風系、マコトは炎系。相性も良い』
「ヤダ、相性がいいって…」
サーシャがポッと頬を染めた。ユウキは見てて微笑ましくなる。
『マコトの魔法の才は本物だ。魔力量だけならユウキにも匹敵する。既に古代の破壊魔法エクスプロージョンまで習得した。何より、炎系だけでなく、相反する系統である水系魔法も使いこなす。人間でありながら2系統を使いこなすとは、さすがユウキの子だ』
バルコムは相好を崩してマコトの頭を撫でる。ユウキも「凄いわ」と褒めてギュッとした。マコトは、はにかんだ笑みを浮かべる。魔法が得意なマコトは、母から褒められたい一心で一生懸命勉強に精を出そうと心に誓う。
おまけに彼は母親似の超絶美少年。しかも、男女問わず気配りもできるいい男。当然学校でもモテモテな上、皇宮内でもショタ系オタ系のメイドを中心に隠れファンクラブが出来ているという。なので、マコトにほのかな恋心を抱いているサーシャは気が気ではない日々を送っているのであった。
「マコト様、バルコム様。テーブルでお話ししましょう」
メイドのミウから紅茶とケーキを載せたお盆を受け取ったサーシャが、ユウキ達の隣のテーブルに二人を誘った。両親に礼をして移動するマコトの背中を見ながらミュラーがボソッと呟いた。
「あいつ、本当に俺の子供か? 俺があのくらいの頃はもっと腕白だったぞ」
「腕白っていうより悪ガキだったんでしょ。お義母様から随分と苦労したって聞いてるよ。バカでスケベで、城のメイドさんのスカート捲りばかりして大変だったって。マコトはわたしの子供の頃にそっくり。似ないでよかった。心からそう思うわ」
「母上め…。余計な事を」
「ふふっ、ノゾミとマコトはわたしに似たけど、アスカは陛下そっくりじゃない」
「そういえば、アスカはどこだ?」
「ジェイナス君と剣の稽古をしてるはず。ヴォルフが張り切って指導してるわ」
「そうか、ヴォルフもすっかりアスカを気に入ったようだな」
ミュラーとユウキの間には3人の子供がいる。末子の名はアスカ。10歳の女の子だ。そのアスカが、ぷんぷん怒りながらテラスに入ってきた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「もー、今日もジェイ君から一本も取れなかった! 悔しいなぁ、もう…お父様、慰めて!」
アスカはパタパタと走り寄ると、ぽすんとミュラーの胸に飛び込んで悔しそうに頭を振った。ミュラーは優しく娘を抱きしめた。
「なんだ、また勝てなかったのか? なあに、直ぐにもっと上達するさ。アスカはお父さん似で頑張り屋さんだからな」
「ほんと!? アスカ、もっと強くなれる?」
「ああ、なるとも」
「よーしアスカ、もっと頑張る。ありがとう、お父様。大好き!」
アスカがミュラーに甘えていると、テラスに15歳前後の美少年とデュラハンのヴォルフが入ってきた。
「ジェイ君だ! ジェイ君、アスカ、今度は絶対に勝つからね!」
「あはは。何度でも返り討ちにして差し上げますよ、アスカ様」
「くぅ~、余裕の表情…。悔しい~!」
『ファーッハッハッハ! アスカは負けず嫌いだな。その意気や由! 吾輩が見るにアスカには剣の才能がある。今の努力は必ず実を結ぶはずだ』
「ホント!? ヴォルフさん」
『間違いない。お前は天下随一の剣士になる素質がある。オマケにロリ系美少女、今はまだ小さいが、年と共に成長が期待される胸! 間違いなく母親並みになると予言しよう。つまり、「気が強系ロリ巨乳美少女」に育つ素質が十分なり! 全力で我が剣技の粋を授け、吾輩好みの美少女に育て上げてやるわ! ワーハハハハハ!』
「ヴォルフ…。あんた、娘に変な事を教えたり、手を出したりしたらどうなるか、わかってるでしょうね…」
興奮するヴォルフに、それまで黙って聞いていたユウキがひんやりとした声で言った。たちまち震え上がるヴォルフ。
『も…勿論じゃないですかー。冗談ですよ冗談。アンデッド・ジョークってヤツ。イヤですなぁ、このデカ乳エロスケベ奥様は』
「誰がエロスケベじゃ!全く…。真面目に教えてよね」
ヴォルフとユウキのやり取りにアスカとジェイ君が苦笑いする。アスカは三姉弟の中で最も強くミュラーの血を受け継いでいるためか、唯一魔力を持って無く、魔法が使えない。この事実を知った時、アスカは大きく落ち込んで数日間は自室から出てこなかった程だった。そんな時、ヴォルフがアスカの部屋に無理やり侵入し、落ち込む彼女に諭した。
『アスカ、確かにお主には魔法の才が無い。しかし、姉と兄には無いものをお主は持っている』
「………。アスカしか…持ってないもの…?」
『そうだ。吾輩が見た(デュラハン・アイ)ところ、お主には誰よりも高い剣の才がある。その才を伸ばし、姉や兄の足りない部分を補え。確かにノゾミやマコトは魔法の才があり優秀だ。しかし、剣術や槍術の才能は高くない。それがあるのはアスカ、お前だ』
「剣や槍の才能がアスカにはあるの?」
『うむ。間違いない』
「…わかった。アスカ、頑張る。一生懸命練習して剣の使い手になる。そして、お姉ちゃんやお兄ちゃんを助ける!」
『そう。それでいい。お前に吾輩の技術を全て教えよう』
それ以降、アスカはヴォルフに師事して剣や槍の訓練をしている。ユウキはアスカを元気づけてくれたヴォルフに感謝し、たっての願いでアスカの従魔になってもらった。さらに、1年前にリシャールとアンジェリカの長男、ジェイナス(通称ジェイ君)が帝国に留学してきた。彼の剣の才能を見抜いたヴォルフに一緒に訓練をしないかと声を掛けられたことから、ジェイナスも一緒に訓練に参加するようになった。
なお、ジェイナスは年齢14歳、年の割に大人びた感じの高校1年生で、美形の両親から生まれただけあってかなりのイケメン。しかも、剣の腕も立つときてはモテないはずがない。かくゆうアスカも思春期のお年頃。ジェイ君のことが気になっていて、彼から一本取ったら告白しようと思っており、尚更必死に稽古に励んでいるのだ。そんな彼女を思春期美少女大好きのエドモンズ三世は秘かに応援しているのだった。
アスカとジェイナスはノゾミを誘ってマコト達がいるテーブルに移動し、稽古で疲れた体を甘い紅茶とケーキで癒しながら、姉や兄達とその日の出来事を話し合い、楽しく盛り上がる。
午後の暖かな光の中、子供たちの笑い声がテラスを包む。ユウキは紅茶を楽しみながら空を見上げた。彼女の前にはいつも愛する夫の笑顔があり、周りには可愛い子供達の笑い声、エドモンズ三世やヴォルフの変態トークがある。この世界で得た大切な友人たちもいる。ユウキはこの優しく楽しい世界がいつまでも続いてくれればいいと思う。
「どうした、ユウキ」
「ふふっ、幸せだなあって思ってた」
「そうか、よかったな」
ミュラーが優しく笑う。ユウキも笑顔を返した。子供達がユウキの周りに集まってきて、ぎゅっと抱きついてきた。ユウキは大きく手を広げて3人の子供たちを抱きしめる。その暖かい光景をバルコム、エドモンズ三世、ヴォルフが優しく見守っていた。
お・わ・り
これでユウキの物語は完全に終りです。長きに亘り読んでいただき、ありがとうございました。最後にユウキの友人達のその後を紹介しましょう(主な人物のみ)。
まずはクライス家。当主ヴィルヘルムは帝国宰相としての辣腕ぶりは健在。ヴァルターは主席秘書官として日々その任に精励し、後継者として誰もが認める能力を発揮している(ただし、宰相府の女性職員に張られた「女にだらしなくて巨乳好き」というレッテルは消えてない)。
親友エヴァリーナは10年ほど前にロディニア王国に開設された大使館の初代大使として、夫のレオンハルト(帝国軍准将:駐在護衛官長)と二人の子(1男1女)と共にロディニア市に赴任している。
帝国皇室関係では、セラフィーナは有力貴族家に嫁入りし、冒険の仲間であったガンテツは冒険者に戻り、メルティは帝国親衛師団のコーネフ少佐(現在は大佐)と戦争後に恋仲になり、10年ほど前に結婚した。
レオルド・アレクサンダーと結婚したラピスは帝国軍参謀本部勤めの夫を良き妻として支えている。二人の間には3人の子供がいて、マーガレットは誰を地下闘技場の戦士にしようかと思案しており、アレクサンダー退役大将の頭痛の種となっているとのことだ。
ミュラーの親友であるリューリィは父の跡を継いで皇帝付きの執事長となり、妻のルゥルゥは小さな孤児院を開いて、親を失った子供たちの保護・養育に携わっている。
なお、リューリィとルゥルゥの間には1人の女の子がおり、両親に似て美形であることから、子供モデルとして活躍している。
冒険者ギルドのオーウェンは相変わらずギルド長をしており、リサはアラン・ベイツ中佐(現帝国陸軍少将:第4師団長)との結婚を機にギルドを退職して家庭に入った。
31歳となり、美青年に磨きがかかったカストル君は国に戻り、実家の子爵家を継いで領地の運営を任されている。例のハーレム四天王は健在で、そのうちのパールとクリスタとは子を成し、皆で幸せに暮らしている。
アルヘナちゃんは独身のまま。高校卒業後、何故か冒険者の道に入り、従魔のメイメイと一緒にガンテツにくっついて世界各国を巡りながら冒険をしている。ちなみに大人になっても胸は全く成長していない。本人は悲しく、メイメイは歓喜。
ラファール魔族国の筆頭貴族アルテルフ侯爵家の御嫡男であるレグルスと結婚したポポは、子宝にも恵まれ幸せに暮らしている。昨年、父である侯爵の逝去と共に跡を継いだレグルスを公私共に支え、魔族国貴族界一のおしどり夫婦と有名である。
レドモンドとエドワードもレグルスと共に魔族国に戻り、引き続き侯爵家の護衛騎士隊長として任務についている。騎士団員の羨望の的である二人の美人妻は、夫の任務を家庭生活の面で支え、二人の働く活力の元だ。
ラインハルト王子は従者のサラと結婚した。結婚式の時、サラは子供の頃からの想いが実り、感極まって大泣きしたという。その二人は現在、帝国大使として帝都で任に就きながら仲良く暮らしている。
イザヴェル王国ではグレイス女王が王位を退き、ジョゼット王女が新たな女王となった。万人に優しく美しい女王は国民に愛され、政務を支える優しい夫とともに国を導いており、イザヴェルは益々発展していく事だろう。
王国軍の重鎮リシャール王子は第1夫人アンジェリカと第2夫人スバルに振り回される日々を送っているが、両者との間に子供も生まれて幸せそうだ。このうち、アンジェリカとの間に生まれた二人の子のうち、長男ジェイナスは高校生になったと同時に帝国に留学し、アスカに振り回されている。
シェリー王女は余りのブラコンぶりに怒ったグレイスが、王国の有力貴族の男子と無理やり結婚させた。当初不満たらたらのシェリーだったが、結婚した相手も義両親もとっても良い人でシェリーを大切にし、いつしかブラコン気質は消え、生まれた子を溺愛する良い母となった。
ジャン王子はラミアのカリンと結婚した。カリンとの結婚に当たってグレイスは相当悩み、結婚するに当たり、王国の政治・軍事さらには王室行事に関わることはさせないと誓約させ、東方の山間地(中心都市サンエリル)を治める辺境伯に任命した。しかし、深く愛し合う二人にはそんなの関係ない。男の子(人間)と女の子も生まれ、仲睦まじく幸せに暮らしている(女の子のサーシャは帝国に留学)。
なお、ジェスとリムはジャンの世話役として付いて行き、ラビィは王室庭園の管理を任され、アルラウネ達の面倒を見ている(庭園の庭師と結婚済み。ただし、専業主婦の夢は叶わなかった)。
フォンス伯爵と結婚したカロリーナは神剣「極光」を封印し、妻として母として幸せな日常を送っており、たまに遊びに来るバルコムと茶飲み話をするのが楽しみになっている。伯爵は今度こそ子育てには失敗しないと言って、一人息子に愛情を一杯注いで子育てに頑張っており、屋敷の使用人達は微笑ましく見守っている。
フェーリスは、王国宰相レウルスと帝国宰相ヴィルヘルムが相談して決めた帝国の有力貴族の男性を婿に迎え入れた。その男性は重度の貧乳マニアッカーで、フェーリスとの結婚を物凄く喜んだという。当の本人は微妙であったが…。おまけに女王でありながら、仕事より淫乱闇精霊のルーナと女性恐怖症の白虎に振り回される日々で、フェーリスの嘆きは止まらない。
リースはというと、仲良くなったニーナと一緒にロディニア市内にオーダーメイドの服屋兼アクセサリーショップを経営している。従魔である高位不死体のアリスはその技能を生かして次々と新しい服を作り出し、妖精のリルルは店のマスコットとして大人気だ。リースの店の隣には、ロディニアに永住を決めたルミエルが花屋を開いた。こちらはアルラウネのカトレアが店員さんとして働いており、超絶美少女魔物のカトレア目当てに来る客も多い。
以上の通り、ユウキに直接、間接的に関わった者達も皆それぞれの人生の道を歩んでいます。夢を叶えた者、伴侶を得て幸せを掴んだ者、相も変わらずの生活を送っている者等、様々な人生模様を刻んでいます。皆さんお幸せに!




