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聖域の守護者

「ったく酷い目に合った。勘弁してほしいぜ(眼福だったとは言えん!)」


「しかし、替えの服本当にこれしかなかったの?」(スバル)

「恥ずかしい。恥ずかし過ぎです(汗)」(シェリー)

「………。(絶対ジェスに見られたくないヤツ)」(リム)


「私だって恥ずかしいけど、私達の着替えはマジックバッグに入れてて、それはラビィが持って行ってしまったから仕方ないよ。このマジックポーチは元々ユウキのモノだから、彼女の持ち物がほとんどだもの。服(下着類含む)があっただけでも良しとしようよ」


 訳の分からないバトルに巻き込まれ、全員素っ裸になってしまった女子御一同。扉の外にリシャールを叩き出し、何かないかと室内を探し回った結果、初めに見つけたのは大きなイチジクの木だった。早速はっ葉を取って胸と股間を隠したものの、クソの役に立たないだけで無く、ただ卑猥なだけだった。それでも無いよりマシと葉っぱで大事な部分を隠しながら、他に何かないかと探し回った結果、アンジェリカの服と共に飛ばされていたマジックポーチを発見したのであった。喜び勇んでポーチを漁ったものの、出て来たのは想像外のシロモノ。


 まず下着。ブラジャーは全て滅茶苦茶カワイイデザインのFカップ。合わせてみるとスバルはそのまま問題無し。アンジェリカとシェリーもパッド1枚入れれば何とかなる。しかし、リムは貧乳系のAカップ。どこから見ても体がブラに負けている。巨乳女子のにやにや目線にリムの屈辱メーターが振り切れそうになったが、偶然、本当に偶然にもセラフィーナ用のAカップブラが入っており、事なきを得た。

 次にパンツ。これはもうどこをどう見てもドギツイの一言。布面積の小さいエロス100%の紐パンばかり。しかし、これしかないので全員スッケスケの紐パンを手に取って穿いた。


「さすがに穿くのに勇気がいりますね…。これスケスケで大事な部分が見えちゃいそうですってか、見えちゃってます」(シェリー)

「やだなぁ。最近お手入れさぼってたから、毛がはみ出ちゃう」(スバル)

「フィット感が凄いですね。癖になりそう」(リム)

「私はツルツルなので、全然平気♡」(アンジェ)


 最後に服。何でこんなものがと思うような衣装しかない。アンジェリカ以外、ユウキの嗜好に不審を抱く。しかし、彼女たちには着るという選択肢しかない。各自思い思いの服を手に取った。そして唸った。


 アンジェリカが手に取って着たのは、胸の部分が大きく開き、巨乳の谷間をこれでもかと強調させたゴスロリ風萌え萌えメイド服だった。頭にはひらひらレースのメイドカチューシャをつけ、ふわっと広がるミニスカから伸びる美脚は黒レースのタイツにつつまれ、黒エナメルのハイヒールがカッコいい。これはユウキがロディニア市のメイド喫茶で数多の漢達を悩殺・篭絡したメイド服だ。


「ちょっと…恥ずかしい。でも、これでリシャール様に迫ったらどう反応するかなっ♡」

「お義姉様って、実は夜のアブノーマルプレイヤー?」


 スバルが着用したのは超絶ランジェリービキニアーマー「アブノーマル・ラブリィ・メイル(試作品)」悩殺攻撃力100、物理防御力0、羞恥心向上度数100の、古代魔法文明が生み出したドスケベ極まれりの至高の一品。巨乳女子でボッキュンボンのスバルの魅力エロスを120%引き出している。


「スバル様、もはや裸族です。エッチです。お兄様に見せちゃダメです!」

「聖女の威厳は0%だね」

「な、なんか新しい世界が開いたみたい。羞恥心より見てほしいって気持ちが…」

「アンゼリッテといい、聖女って変態の素質も必要なの!?」


 次は清楚系美少女王女のシェリー。彼女の服もまたどぎつい。胸の部分が猫の頭形に大きく空いた「胸空きセクシーニットトップス」。所謂おっぱいチャレンジ用衣装ってヤツだ。体にぴったりフィットした服は形の良い巨乳をくっきりと際立たせ、空いた部分から見える胸の谷間が超絶セクシー。さらに超ミニのタイトスカートはお尻の形が浮き出て恥ずかしく、また、歩くたびにエロパンツが見えそうになって恥かしさが倍増する。


「こ、これわ…。本当にユウキ様はコレを着てたんですか…。滅茶苦茶恥ずかしい」

「私は何度か街中で着ていたのを見たことある。ユウキの後ろに息を荒くした漢どもが長蛇の列をなして続く光景は凄かったな。正にエロの堕天使って感じで」


「エロの堕天使…」

「シェリー、兄はモーレツに感動している。成長したな、特に胸が」

「お兄様のドスケベ!!」

「裸の上に鎧を着ただけの変態に言われたくないよね」


 最後に残ったのは元暗殺者で密偵のリム。闇に生き闇に消える非情の女。しかし、今の姿はその片鱗を微塵も感じさせない。その姿はというと…。


 髪をサイドテールに結び直し、結び目に鮮やかな緑色の大きなリボンを結びつけ、両手首には黄色と赤色のリボンを巻いている。また、衣装は胸元が大きく開いた淡い黄緑色した肩出しレオタードと花びらの形状をしたデザインのスカートで、ふわっと広がったスカートから伸びる足の形も美しい。さらに、服と同じ色のブーツは踝の上で折られ、白地に薄紫色の刺繍が施された内側がスカート同様、花のように開いていた。そう、これは美少女コンテストに出場するシャルロットのためにマヤが丹精込めて作り上げた衣装だった。ただ、なぜユウキがこれを持っていたかは謎である。


「くっ…屈辱…。あたしに合うサイズの衣装がこれって…。しかも、下着穿いちゃダメな奴じゃない。お、お股からお尻にかけてのラインがくっきりしてるし…」

「ぷっ、くくっ。リム、良く似合うよ、その衣装。くすくす」

「ダメ、あまりのギャップに腹筋崩壊しそう。痛すぎる。痛々しすぎる。ぷくく…」

「死にたい…」


「アンジェリカ様とシェリー様も人の事笑えないと思うけど」

「スバルもな。お前が一番酷い」

「リシャールゥ、ひどーい♡」

「や、止めろ、くねくねするな。目のやり場に困る!」

「嬉しいくせにぃ~♡」


 目の前でくねくねする露出度98%の豊満美女から視線を反らしたリシャールは、物凄い形相で睨んでいるアンジェリカと目が合い、震え上がるのであった。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


「ここが最後の扉だな。この先は行き止まりだ。ここに手掛かりがあれば良いのだが」

「しかし、リシャール様。今の私達ってどう見ても探索隊っていうより、コスプレ変態集団にしか見えないんですけど」

「アンジェリカの認識は正しい。だが仕方ない。我々は進むしかないんだ。服は関係ない」

「セリフはカッコいいんですけどね。如何せん衣装が気になって仕方ないです。スバル様なんて裸同然だし」

「いやぁ~ん。もっと見て♡」

「痴女…」

「…いいか、開けるぞ」


 リシャールはハンドサインでリムに指示をした。リムは妖精の衣装をひらひらさせながら扉を調べる。特に罠の存在は確認できない。リムは取っ手を持って、ゆっくり静かに押した。

 開いた部分から内部を伺う。中は10m四方の広さで、何の変哲もない作りになっていた。壁の上部、四隅に魔術的な技術で作られたと思われるランプが光を灯しており、室内は薄暗いながらも見通せる状態になっていた。


 リムは扉の外に手招きすると、リシャール達はぞろぞろと中に入ってきた。


「特に何もないようだな」

「だけど、なんだか怪しい雰囲気。強大な魔力のプレッシャーを感じるわ」

「確かに。室内に入ったと同時に重苦しく感じる」

「お義姉様もですか? 実は私もです」


「魔力の無いオレは何も感じないな。リムはどうだ」

「魔力ではないですが、何者かがじっと見ているような気配を感じます」


 全員で慎重に室内を見回し、観察していると、不意に部屋の中央の空気が揺らぎ始めた。


「見て、あそこ!」


 揺らぎの中に何かが実体化してきた。リシャールとリムは剣を抜いて構え、二人の背後でアンジェリカ、シェリー、スバルが魔法の杖を手にしていつでも魔法を放てるように準備する。やがて、部屋の中央奥、一段高くなった場所に見事な装飾がされた大きな椅子が出現した。そして、その椅子に着座していた者は…。


暗黒騎士アンデッドナイト…」


 金色に輝くフルプレートを着こみ、鋼鉄製の兜を被って巨大な両手剣ツヴァイヘンダーを逆手に置いた暗黒騎士がリシャール達を悠然と見下ろしていた。暗黒騎士が静かに言葉を発した。


『お前達は何者だ。何の為にここに来た』


 リシャールが1歩前に出て答える。


「オレ達はオフィーリア大聖堂から来た者だ。地下墳墓奥にあるという「聖域」を探している。聖域について知っていたら教えてくれ」


 暗黒騎士は暫し沈黙した後、再び問いかけて来た。


『……聖域を探してどうする』


「聖女の魂の力を得たいの。私の妹の歪んだ性根を浄化し、真っ当な一人の人間として成長させたいの。決して私利私欲のためではないわ。本当よ」


『その妹とやらは誰だ。そこの緑色か?』

「緑色ってあたし!? 違うわ!」

「妹はここにはいないわ。途中ではぐれちゃったの…」


「はぐれた中にはオレの弟もいる。聖域もそうだが、できれば弟達も探したい。他に通路等があったらそれも知りたい」

「あの、聖域は本当にあるんですか?」


『……聖域はある…』

「ウソ! ほ、本当に!?」


 暗黒騎士の言葉にリシャール達はどよめいた。


「聖域はどこにあるんだ! 場所を教えてくれ!」

「お願いします。本当にあるなら、私達そこに行きたいんです!」


 暗黒騎士はゆらりと立ち上がり、ツヴァイヘンダーを持ち上げ、胸の前で立てた。


『聖域に行きたくば我と戦え。我は聖域の守護者。戦って我に力を示せ!!』


「皆、覚悟を決めろ。退路を断たれた我々には進むしかないんだ」

「背水の陣ってヤツですね」

「ジャン達と再会するためにも戦います!」


『戦うか。その意気や由! さあ来い、ハレンチな者ども。我が名はアイギス! 暗黒大将軍アイギスなり!!』


「暗黒大将軍なんて、随分と仰々しいわね」

「スバル様はドスケベ大将軍ですね」

「(/ω\)いやん♡ それを言うならシェリー様もリムちゃんもエッチだよぉ♡」

「いやぁーん♡」


「ふざけてないで、まじめにやれ!」


『ワハハハハハ! 面白い奴らめ、さあ我の力受けてみよ! 出でよ冥府の業火、ダーク・カース・バーァニングッ!!』

「気をつけろ、ヤツは暗黒魔法を使うぞ!」


 聖域の守護者、暗黒大将軍アイギスが冥府の業火で攻撃してきた。アンジェリカは氷の防壁を展開して防御する。リシャール達は聖域への道を開くとともに、自らの生き残りをかけて、強敵との戦いに身を投じた…はずだった。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


『ひ…卑怯だぞ。全員で一気にかかって来るとは…。反則だ反則』


 リシャール達は、全身からブスブスと煙を立てて床に横たわり、悔しそうに文句を言う暗黒騎士アンデッドナイトのアイギスを見下ろしていた。アイギスは既に戦う力を失っている。ちなみに、戦闘開始から終了まで1分もかからなかった。


「全く卑怯ではない。正義の味方は1人の悪に対し複数人で戦うのが鉄則。要は勝てばいいのだよ勝てば。勝利こそ正義なのである!」

「お兄様、そのセリフはもろに悪人です」

「そうか?」


「お前、暗黒大将軍とか聖域の守護者とか、思わせぶりな事言ってた割に、私達の胸やお尻をエロい視線でガン見してただけじゃない」(アンジェ)

「最初の魔法だけでしたね。その後はスバル様や、わ、私の身体を嘗め回すように見てただけでした。おっぱいの谷間をガン見されて恥ずかしかったです」(シェリー)

「お尻触られた」(リム)


『だって、おっぱいもお尻もあまりに激しく揺れ動くんだモン。漢なら目が行くに決まってるだろ! 躍動する熟れた果実にむしゃぶりつきたくなる衝動を抑えるなんて、漢には無理だってばよ~!』


「まあ、その気持ち分からんでもない」

『そーだろ!』

「リシャール様!」

「す、すみません、失言でした!!」


「全く…。ねえ暗黒大将軍、私達勝ったんだから聖域への道を教えてよ」

『う…む。約束だからな、道を開こう。しかし、この数百年、何度か聖域を目指した輩が来たことがあったが、我に勝利して道を開いたのはお主らが初めてだ。褒めて遣わそう。天晴!』


「もう威厳も何もない。エドかヴォルフと話してるみたい」

「変態大将軍。こいつに負けた人たちって、メンバーに女の子がいなかったんだろうね。カワイイ女の子がいれば絶対に勝ててたよ」


 暗黒大将軍アイギスは、むぐぐ…と軋む体を起こして床に向かって魔力を放つと、床が光り輝き、大きな魔方陣が出現した。


「魔方陣?」

『これが聖域への入り口だ。我に勝ったお主らには聖域に入る資格がある』


「実力で勝った気はしないがな」

「私達の色香に負けただけでしょ。ドスケベ」

『まあまあ、それよか早く乗らんかい』


「一つ聞いてもいいか?」

『なにかな?』


「聖域に行った後、帰還するにはどうしたら良いんだ?」

『そんなことか。聖域には帰還の魔方陣がある。それを使えば地上に戻れるぞ』


「そうか。それを聞いて安心した。では、みんな行こうか」

「おー!」


 リシャール達は全員手を繋いで魔方陣に乗った。アイギスが魔力を魔方陣に送ると、魔方陣が一層激しく輝いた。


「おおっ!」


 次の瞬間、魔方陣の光と共にリシャールやアンジェリカ達の姿が消えた。

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