ルゥルゥの結婚狂騒曲(愛と欲望の宴編)
会場内に響き渡る大歓声の中、ついに最終決戦「女尻相撲」が始まった。この勝負に勝たなければ幸せは得られない。しかし、司会者から発せられた言葉でルゥルゥは絶望のどん底に突き落とされた。
「尻相撲は全員一斉参加のバトルロイヤル! そして、優勝者のチームには一気に250点が与えられます。つ・ま・り、最下位チームにも一発逆転の可能性があるということ、どうだ! ヤル気が出たか欲に塗れたアマゾネスたちよ!!」
『ウォオオオーーッ!!』
参加者の美女たちだけでなく、観客席からも大きな歓声が上がった。観客席の漢たちは気に入った「押し」の女の子の名前をコールし、ガンバレと声援を送る。しかし、現在トップを走るチーム・ルゥルゥのメンバーはそんな歓声など耳に入るどころじゃない。
「ち、ちょっと! なんなのさ、騎馬戦で勝って安泰だと思ってたのに!」
「運営め、やってくれましたね。場を盛り上げるとは言え、なんて悪辣な…」
「試練こそ冥府魔道を行く女に相応しい…。ちなみに彼氏も欲しいww」
「尻相撲ってお尻とお尻を打ち合うのか? や、やだぁ。エッチなのだ」
一方、刺客たるユウキ率いるゴージャス・レディースは歓喜していた。これに勝てばメイド長の地獄の折檻から逃れられる。否が応でも気合が入る。
「よっしゃ! 天は我々を見放さなかった。エリス様ありがとう!」
「勝たなければ…。これに勝たなければ恥辱の宴が待っている。それだけはイヤ!」
「フランは絶対負けない。特に巨乳巨尻女には!」
「ヤバいわ。このギリギリ水着じゃ、ちょっとの摩擦でズレ落ちちゃうよ。公衆の面前でお股が全開になったらどうしよう…。もし、見られたら恥ずかしくて死ぬ」
参加美女たちの様々な思いが交錯する中、司会者と審判員2名が進み出てきた。まず、司会者がルールの説明を始めた。
ルールはこうだ。まず、各チームから1人ずつ出て浮き板に乗る。位置取りは自由。スターターの合図で一斉に尻をぶつけ合い、相手を浮き板に転がすか、プールに落とせば勝ち。これを最後の1名になるまで行う。これをメンバーを変えながら全4戦行い、最終的に4名の勝者が準決勝に進むのだ。準決勝からはトーナメント戦で行われる。
続いて審判が進み出て注意事項を説明した。参加者は互いに背を向けてスタートの合図の後、尻同士をぶつけ合い勝利を競う。ただし、『尻をぶつける時に足を動かす』、『手や腕を対戦相手の体に触れる』は反則とし、反則負けを取る場合もあると説明した。
ルールや注意事項の説明を聞いていたルゥルゥは内容の割に結構本格的だなと思った。当然である。尻相撲はエロいだけのスポーツではない。相手の動きを読み、尻を空振らせて体勢を崩し、その隙に押し出すといった駆け引きの要素もあり、中々に侮れないシロモノなのだ。
「それではー! 第1試合を開始しますーっ!」
司会者の宣言で最初の選手たちがプールサイドから渡し板を使って浮き板に渡り始めた。
「最初は、あたいが行くよっ!」
「ルゥルゥさん。その意気や由です。頑張ってください!」
仲間に手を振って浮き板に乗ったルゥルゥ。ライバルチームの姿を探すとアンゼリッテとカロリーナの姿を見つけた。体の全てが大きい自分の敵ではない。ルゥルゥは心の中でほくそ笑んだ。最後の選手が渡り終えたのを確認した司会者は係員に合図すると、係員は渡り板を外した。それを見たスターターがピストルを上に掲げ、パーン!と鳴らした。それを合図に浮き板上の美女、美少女は一斉にケツを突き出して相手に向かって突撃した。
選手たちは大声を上げながら、美しい肢体を悩ましくくねらせ、胸を上下左右に激しく揺らしながら、ビタンビタンと尻をぶつけ合う。「キャー」とか「砕け散れ!」といった怒号が飛び、「ヤダ、感じちゃう!」といった声も上がるが、当の本人たちは必死に尻を振る。ケツ圧に弾き飛ばされて悲鳴を上げながらプールに落ちる選手たちの健闘を称え、彼女たちに盛大な拍手が観客席から送られる。そして、ルゥルゥも今大会No.1の巨大バストを激しく躍動させて何人もの相手を水中に屠ってきた。そして…、
「見つけたわよ、アンゼリッテ! 覚悟ーッ!」
「ゲッ、何とか逃げ回っていたのに、ここにきて最悪の敵が来ちゃいました!」
「うりゃああ! ルゥルゥ・ヒップ・アターック!!」
「ふんぎゃ!?」
ルゥルゥの肉付きの良い、パツンパツンの尻がアンゼリッテの尻を捉えた! パァアアーーン!と景気の良い音とともに、強大なケツ圧でアンゼリッテの尻を弾き飛ばす。超スレンダー体型で尻肉の薄いアンゼリッテでは圧力を受け止めることが出来ず、衝撃をまともに受けて数mも吹き飛ばされ、高々と水柱を吹き上げて水中に沈んだ。
「よっしゃ!」
ガッツポーズを決めるルゥルゥ。ビッグバストがぶるんと揺れて存在を主張し、観客席の漢どもは目を奪われ絶叫する。ちなみに、ライバルチーム、ゴージャス・レディースのカロリーナはというと、初っ端からパンツの紐が切れてツルツルのアソコを漢どもにさらけ出してしまい、大歓声を受けながら早々と戦線を離脱してしまっていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
女たちの激しい戦いは続いた。チーム・ルゥルゥのメンバーたちも戦いに身を投じるが、並みいる強敵を前に善戦空しく水中の露と消えた。ソフィはパールの悪魔的な美尻に、ティラはエヴァリーナの巨尻に屈し、アルテナの青い果実はユウキの熟れた果実に飲み込まれ、あえなく爆沈したのだった。
そして、激しく熱いバトルを勝ち残った最強の女闘士4名がプールサイドに立っている。
威風堂々とした美しくも凛々しい姿に観客席から大声援が送られている。司会者が4名の脇に立ち、魔導マイクを手の中でくるくると回した後、パッと口の前で止めてジョジョ立ちポーズにて選手の紹介を始めた。その激しいパフォーマンスに大きな拍手が沸き起こる。
「只今よりー、女尻相撲準決勝を開始しまぁーすっ! それでは選手紹介ー!」
「1番ーっ! 皇太子妃でありながら何故にこのイベントに出場したのか全て謎。だが、我々にとっては超眼福のボッキュンボンのエロボディ! 揺れるバストに目が釘付け! エロボディバーサーカーの二つ名は伊達ではない! 世界で唯一、尻相撲の女傑の称号を持つ女、ユウキ・カルディア様ーっ!!」
どっと笑いに包まれる会場に向かってユウキは憮然とした表情で手を振った。
「2番ーっ! お淑やかが売りだったのは過去のこと、誰が呼んだかサヴォアコロネの熊殺し! 森林の殺し屋グレイトグリズリーを笑顔で斃した狂戦士! 胸は貧相お尻は豊満、そのアンバランスさが魅力的。巨大なお尻で並みいる敵を薙ぎ倒す! Grizzly bear killerエッバリィイナァーッ!! 様」
「なんで、様を取ってつけたように言うんですの? てか、熊殺しはやめてぇ~!!」
「3番ーっ! 魔族の美少年に恋い焦がれ、尻を追っかけストーカー! その実態はボッキュンボンのナイスバディで悪魔の癖に良妻賢母! たわわなバストに陥落寸前の美少年! 乳魔の淫力は絶大だーっ! 女子力全開巨乳悩殺、おっぱい悪魔パールバティ-ッ!」
「酷い言われようだけど気にしない。旦那様のために必ず勝つ!」
「4番ーっ! 己が幸せのため絶対優勝を心に誓いて大会に臨む修羅の虎! 我命我ものと思わず結婚の儀あくまで叶えるものとさすれば、己れの器量をもって御下命いかにても果すべし。尚死して屍拾う者なし。死して屍拾う者なし…。今大会No.1のわがままボディ! ミリオンバストクイーン、ルッゥルゥーーッ!!」
「なんか、あたいの紹介だけ変じゃない?」
選手紹介を終えると司会者は試合開始を宣言した。
「只今よりー、準決勝を始めまぁーす!! 第1試合、熊殺しエヴァリーナ対ミリオンバスト・ルゥルゥーーッ!!」
大歓声の中、ルゥルゥとエヴァリーナは1枚にされた浮き板に乗った。すぐに渡り板が外される。お互いの仲間たちから応援の声が飛んできた。また、観客席からは「ポ・ロ・リ! ポ・ロ・リ!!」という大合唱が聞こえて来る。
「両者背中合わせに」
審判の声でルゥルゥとエヴァリーナは背中合わせとなった。ルゥルゥが視線を上に向けると特別観覧席にいて、心配そうに自分を見つめるリューリィと目が合った。ルゥルゥは大丈夫だと笑顔で頷くと、ちらと背後のエヴァリーナを見た。
(ルゥルゥさんと私とでは体格差がありすぎます(特に胸)。なので、ここは速攻で決めます。相手の体勢が整う前に必殺技で倒す。私が勝つにはこれしかないです!)
(む、あの目と姿勢は…。エヴァリーナ様、開始と同時に仕掛けるつもりだ。これは受け身を取ったら負ける。なら、こっちも受けて立つ! 心配しないでリューリィ君、必ず勝つから)
「両者、尻を向けあって…、スタート!」
ついに準決勝が始まった! 試合開始の合図と同時にエヴァリーナが尻を突き出して突っ込む。ルゥルゥも負けじと尻を突き出した。布面積の少ないTバックの巨美尻に会場の漢どもは大興奮。しかし、当事者たちは勝利のため、必殺の技で勝負を挑む。
「必殺! ビッグヒップ・プレッシャー!!」(エヴァ)
「迎え撃つ! 大回転激壁背水尻!!」(ルゥルゥ)
ルゥルゥ目掛けて全身全霊を込めたエヴァリーナの美尻が一直線に飛んできた。この必殺の技が当たれば並みの女子は簡単に吹き飛ぶであろう。しかし、ルゥルゥは違う。今大会No.1のわがままボディは伊達ではない。エヴァリーナよりも大きいお尻を高速グラインドさせながら、エビのように後ろに飛び、エヴァリーナの尻が最大威力を発揮する前に距離を殺して迎え撃った!
「殺ッたぁーっ!」
「えっ…!? きゃああっ!」
エヴァリーナの尻は高速で回転するルゥルゥの尻に絡め取られ、揉みくちゃになって威力を減衰させられ、ついでに姿勢も崩された。たたらを踏むエヴァリーナにルゥルゥは再度尻を叩きつけた! 凄まじい威力の打撃を受け、「バッチーン!」という肉が打ち合う音とともに強烈な尻圧に押されたエヴァリーナは、逆「く」の字になって吹き飛び、どぼーん!と水柱を上げてプールに落ちた。
「ぷはぁーっ」
浮き上がったエヴァリーナの目の前に何かが浮いている。何だと手に取ってみると、三角形の布に左右後ろに紐が伸びたもの。小首を傾けしばし考え、「はっ」と気が付いて慌てて股間をまさぐると、そこにあるべき布が無いことに気づいた。
「きゃああああーーっ!」
会場内にエヴァリーナの絶叫が響き渡り、「ごちそうさまでした!」と彼女が水没する瞬間、美しい股を目撃した一部の観客席から感謝の声がかかる。そんなハプニングにも動揺せず、審判はルゥルゥの勝利を宣言した。
「第1試合勝者、ルゥルゥーッ!」
「よしやった! 勝ったよリューリィくーん!」
手を振るルゥルゥにリューリィも手を振り返してきた。その顔は本当に嬉しそうで、必ず決勝も勝って彼と結婚するんだと気合を入れるルゥルゥであった。
(でも、お姑さんがアレかぁ…)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「続いて第2試合―っ! ぼっきゅんぼんのエロボディ同士の対決だぁーっ! 愛とは何かを知った女悪魔、世紀末覇者パールヴァティーーッ!!」
「対するは全国民のアイドル、尻相撲では絶対負けない覚悟で臨む! 鉄の尻を持つ女、皇太子妃ユウキ様―ッ!!」
「なに? 世紀末覇者って、失礼ね」
「鉄の尻って…、わたしの美尻は超キュートで柔らかいのが自慢なのよ、全く」
一層大きくなる歓声に押されながら、ユウキとパールが浮き板に乗った。お互いの仲間たちから応援の声が飛んでくるが、観客席からの「ポ・ロ・リ! ポ・ロ・リ!!」という絶叫に近い歓声にかき消される。
「両者背中合わせに」
審判の声でユウキとパールは背中合わせに向かい合った。スターターの合図で試合が開始される。すぐさまパールががグイとお尻を突き出してぶつけて来た。重量感のある尻をユウキは下腹に力を入れて迎え撃つ! パーンといい音がして尻がはじけ合い、2人は浮き板の外側に向かってたたらを踏んだ。その際、上下に揺れたバストの素晴らしさに観客の漢たちは大感激し、大きな声で「もっと! もっと!」とコールする。
「うわお! 結構きつい当たり。やるわねパール!」
「一度で崩れないとは、さすが皇太子妃。でも!」
ユウキとパールは再び尻をぶつけ合う。パーンと音がしてパールがよろけた。ユウキは間髪を入れず尻を突き出して体勢が整わないパールに向かってバックジャンプで尻をぶつける。しかし、百戦錬磨のパールは下半身に力を入れ、ユウキの尻を迎撃してきた。ユウキとパールの尻が再び激突し「パアーン!」といい音がして今度はユウキが弾き飛ばされる。
「うわっとと…」
「さあ、これで終わりよ!」
体勢を崩したユウキにえぐいTバックパンツを身に着けたパールの巨大な尻が迫って来る。その迫力は凄まじい。
(正面から迎え撃ったら力負けする! ここは受け流して相手の体勢を崩す!)
ユウキはパールの尻がぶつかる寸前、自分の尻を斜めにして滑らす様に受け流した。斜めに受け流されたパールは大きくよろけてお尻から力が抜けた。ユウキはすかさずパールのお尻に自分のお尻を当てて「えいっ♡」とケツ圧で浮き板外に押し出した。
「勝者、ユウキ様―!」
ユウキは浮き板の中央で腕組みをして仁王立ちし、浮かんできたパールを悠然と見下ろす。その佇まいは勝者の威厳に満ち溢れている。そして、パールはというと、勝負に負けた悔しさと愛する人と一緒に温泉に行く夢を叶えられなかった悲しさでグスグスと泣き始めた。
「う…うぐっ…。負けちゃった…。悔しい、悔しいよぉ。ごめんね旦那様…。ごめんね、みんな…。ぐすっ…ふぇえええん…」
「驚いた。あのパールさんが泣いてます」(アンゼリッテ)
「パールが泣くところ初めて見た。泣き顔、ちょっと可愛い」(アリエル)
「パールって実は乙女チックだからね。でもま、よく頑張ったよ」(クリスタ)
「うんうん」(一同)
仲間たちはプールに入ってしくしく泣くパールを優しく抱いて退場させる。その姿を見ながらユウキは右手の人差し指を高らかに天井を指し示し、大きな声で叫んだ。
「目指すは…天!!」
「ウォオオオオオオオーーーッ!」
ユウキはルゥルゥに顔を向け、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。その笑みは「お前なんか敵ではない」とも「絶対に幸せを邪魔してやる」とも言っているようであった。メラメラとルゥルゥの闘志に火が付いた。
「決勝戦、絶対に勝つ! そしてリューリィ君と夫婦になるんだ!」
「ルゥルゥ、絶対に勝たせないわよ。なぜなら、メイド長が怖いのよ。マジで」
長い! 話が長いよスレッガーさん!!




