ルゥルゥの結婚狂騒曲(背水之陣編)
セイレンウォーターパークは異様な熱気に包まれていた。75m×45mの巨大プールのプールサイドの一角には25組100名の水着美女たちが集結し、熱い視線をぶつけあっている。また、プールの周囲には特設の観覧席が設置されており、大勢の観客(その9割は漢)が目をギラつかせて大きな声援を送っている。その異様な雰囲気にルゥルゥとアルテナは完全に飲まれていた。
「な、なんなの? これ」
「観客席の人たち、ウルの獣人兵より怖い目をしてアルテナを見てるのだ…」
ルゥルゥが観客席を見回していると、特別観覧席にリューリィとご両親の姿も見えた。ふとカロリーネと目が合うと、じろっと睨みつけられゾクッと背すじに寒気が走った。
ここで、チーム・ルゥルゥのメンバーを紹介しよう。リーダーは当然ルゥルゥ。ボッキュンボンの超絶ドスケベムチムチボディをトラ柄のマイクロビキニで包んだだけ。露出度95%エロ姿に貧乳シスターズ(ソフィ&ティラ)だけでなく、他の参加者から嫉妬と妬みと羨望の眼差しを受け、観客席から股間をいきり立たせた漢どもの絶叫を浴び、恥ずかしくて死にそうになっている。
(カロリーネ様がこれ着ろって渡してきた水着だけど恥ずいよー!)
次の仲間はウルの姫君アルテナちゃん。一時はミュラーといい感じになったが、ロリコン疑惑を振り切ったミュラーはユウキとくっついちゃったので今はフリーなのだ。13歳になったアルテナはウルの美人姫ラサラスの妹だけあって、これまた超絶美少女に成長し、国立リベルタ女学院中等部No.1の呼び声が高い。そのアルテナは真っ白なワンピース水着を着用。大人へ成長途上のボディラインはやや幼い感じがするものの、しっかり胸もお尻も膨らんでエロっぽく、小悪魔系ロリ巨乳の素質が十分で、ここにヴォルフがいたら絶叫したであろう。そして彼女は呟く。
「うーむ、またおっぱいが大きくなったのだ」
最後の仲間はアルテナのおっぱい発言にイラつく貧乳シスターズのソフィとティラ。かつての仲間たちが次々結婚していく中、いまだ彼氏募集中のさびしんぼ。兵士として鍛え上げられた均整の取れた筋肉質のボディラインはすっきりとし、フラットな胸は僅かな小山の稜線を描いているが、隣に立つルゥルゥのオリンポス山(火星にある太陽系最大の火山)はともかくとして、中学生のアルテナ(84のC級)にも敗北を喫している。ちなみに2人ともお揃いのトライアングルビキニで、ソフィはレモンイエロー、ティラはブラック。胸にぴったりフィットして結構いい感じである。
「アルテナ様はお仲間だと信じてたのにぃ~(泣)」(ソフィ)
「大丈夫よ心の友。見て、参加者の半数は貧乳。心強い仲間たちがたくさんよ♡」(ティラ)
ちなみにチームの背番号は「13」不吉な数字にルゥルゥは不安がいっぱい。自分からお願いしたとはいえ、メンバー構成も不安がいっぱい。しかし、この勝負に勝たなければ愛する人との結婚という人生の大イベント達成が不可能になる。ルゥルゥはぐっと心に気合を入れ、仲間たちに声をかけた。
「ゴメンね、みんな。面倒ごとに巻き込んで。でもあたい、どうしても優勝してリューリィ君と一緒になりたいんだ。協力してよ、お願い!」
「まあ、他でもないルゥルゥさんの頼みですし」
「冥府魔道に生きる者として、友のために戦うのも一興」
「出るからには必ず勝つ! 成敗なのだ!」
「アルテナ様の胸も私らより勝ってますけどね…。くそ妬ましい」(ソフィ&ティラ)
そんなこんなしているうちに、司会進行の男性が大会参加者の前に進み出て競技の開始を宣言し、内容を説明し始めた。
「全国から集まった美ボディ自慢の選手の皆さん! エロスの誘惑に負けた観客席のケダモノの皆さん! 大変お待たせしました! 只今からセイレン・ウォーターパーク開設記念第1回ドキッ♡丸ごと水着♡水上悩殺武闘大会を開催します! みんな、準備はいいかーッ!!」
『ウォオオオオーーッ!!』
観客席から凄まじい応援の声が響き渡り建物が振動でビリビリと揺れ、プールの水面が波立った。しかし、参加者の女たちは歓声や振動をものともせず、自分が1番になると睨み合い、牽制し合っている。既に勝負は始まっているのだ。司会者の説明は続く。
「参加者の皆さんには10のゲームをしてもらいます。勝負は勝ち抜けやタイムアタック様々ですが、与える点数は共通です。1位は25点、2位は24点と1点刻みで得点し、最下位は0点となります。最終的に総得点が多いチームが優勝です!」
「優勝したチームには賞金500帝国マルク(5百万円相当)と魔鉱石の短剣「光輝」、リゾート温泉宿泊券4人分が与えられます! 2位と3位にも豪華賞品を用意してますので頑張ってください!」
「なお、途中でポロリして競技中断した場合は、競争中止と見なし、得点は与えられません。しかし、競技を続行した場合は順位に見合った得点が得られます」
『ウォオオオオーーッ! ウォオオオオーーッ!!』
再び凄まじい歓声が音の暴力となって響き渡る。司会者の説明にルゥルゥは青ざめ恐怖した。つまり優勝するためにはポロリしても全裸になっても競技を続けなけらばならないという事だ。改めて自分の水着を見る。少しの衝撃でぽろっと行きそうで心もとない。自分は羞恥心に耐えられるだろうか。不安な表情のルゥルゥを嘲笑うかのように笑い声が響いた。
「アーッハハハハ! 情けない顔よね。ライバルになるかなと思ったけど、これじゃあたしたちの勝利は確定ね!」
「だ、だれ!?」
ルゥルゥチームの前に現れたのは知った顔。褐色の肌をしたぼっきゅんぼんのダイナマイトボディを青と白のツートンカラーマイクロビキニで包んだ悪魔、パールヴァティだった。その後ろに居並ぶは、零れんばかりの巨乳をホルターネックブラで支えたクリスタ、そのナイスバディをジト目で見つめる花柄ワンピースを着た大貧乳アンデッドのアンゼリッテ。白い清楚なワンピース水着姿の金髪ツインテ天使アリエルだった。ちなみにチーム名は「カストル様愛し隊」、ゼッケンナンバーは4(死)。
「パ、パール! あんたたちも出るの!?」
「当然じゃない。優勝して旦那様と温泉旅行で豪遊するのよ。そしてぇ、温泉で旦那様の体を隅々まで洗ってあげるんだから♡」(パール)
「カストル様の使用済み洗濯前パンツは私のモノですから!」(アンゼリッテ)
「カストル君の股間、どんなだろう。じゅる…」(クリスタ)
「必ず勝つ! カストルとの愛の営みのために!!」(アリエル)
「むむむ。強敵ぞろい…。心してかからねば」
「大丈夫、アンゼリッテは安パイ」
「くっ、絶対に負けない」(ルゥルゥ)
「あんな淫乱どもにお兄ちゃんは渡さない!」
「今度はだれ!」
次に現れたは「カストル・ラブリー親衛隊」。アルヘナと黒ニャンコ亜人ミウのスモールバスト・エンジェルとビッグバスト・レディーのクリスティーネにフローラというバランスの取れた布陣だ。しかも、4人とも可愛らしいくもちょいエロなビキニ姿。アルヘナのささやかな膨らみを包むカワイイピンクのリボン付きブラは超絶に似合っていて、観客席に陣取るアークデーモンのメイメイが絶叫している。
なお、ミウは白地に茶系チェック柄、クリスティーネは薄いピンクのフリル付き、フローラは情熱の赤色トライアングルビキニにパレオといった格好だ。参考までに言うとゼッケンナンバーは19。
ルゥルゥとパール、アルヘナが睨み合っていると会場がどっと騒めいて観客が一斉にプールサイドの出入口に注目した。一体何事かとルゥルゥ大会参加者たちも目を向けると司会が入口を指し示して魔導マイクの音量を上げて叫んだ。
「皆さんお静かに! 只今より特別参加メンバーが入場します。では、御入場ください!」
室内が暗くなり、スポットライトが入口を明るく照らした。観客席は静まり返り、大会参加者のごくりとつばを飲み込む音が聞こえる。そして、現れた人物を見て観客席から割れんばかりの歓声というか絶叫が響き渡り、音圧で建物全体が揺れプールが一層波立つ。
「えっ!?」(ルゥルゥ)
「ウソでしょ」(ソフィ)
「そうきたか…」(ティラ)
スポットライトを浴び、右手を上げてにこやかな笑顔で入って来たのは皇太子妃のユウキ様。着用するは白の超セクシー胸開き激エロハイレグレオタード。上は大きな胸の先端部のみ隠し、下はハイレグカットの際どいパンツ。クロスしながら上下を繋ぐのは細い紐。艶やかな黒髪をアップにした破壊力抜群のぼっきゅんぼんの超絶美女が露出度95%のどエロい姿で現れたのだ。ユウキが軽く手を振ると会場内が狂騒に包まれる。特別観覧席からミュラー皇太子と帝国兵からなるユウキ親衛隊の面々が「ユウキちゃーん!」と絶叫している。
「やっほー。みんなでユウキを応援してねーっ♡」
ユウキに続いて現れたのは長く美しい金髪を後ろでまとめ、黒いリボンで結んだ貧乳美女のエヴァリーナ様。着用している水着は胸の先端を三角形の布で隠しただけのマイクロビキニで、パンツも布面積が超絶に少ない悩殺紐パン。露出度は脅威の98%。貧乳でお尻が大きいエヴァリーナの魅力を十分に引き出している。ただし、当の本人は恥ずかしさで真っ赤な顔で身悶えているが。
「ユウキさんに騙された…。無茶苦茶恥ずかしい。死にたい」
次に大きな声援と共に現れたはちょっと小柄の貧乳系金髪美女2人。フラン&カロリーナの異色コンビだ。フランはレモンイエローの生地にマリンブルーのラインが入ったビキニ。均整の取れたしなやかな体にささやかな膨らみを覆う水着はバッチリ似合っていて貧乳好きの男たちのハートをがっちりつかむ。人妻という点も高評価。
カロリーナは金髪ツインテの髪型にやや気の強そうなツンデレ系の顔立ちの美女だ。水着はメイド風デザインのマイクロビキニ。頭にもメイドさんのカチューシャをつけているのがポイント高く、控えめに存在を主張する胸と丸みを帯びたお尻にビキニがピッタリフィットして、ユウキとは違ったエロスが漂っている。
「ヴァルター様を堕落させた巨乳の者ども。このフランが全員地獄送りにする」
「久々のイベント出演ね。自由貧乳同盟最高評議会議長の力、思い知らせてやるわ! でもあまりにも水着が危険すぎる…。ユウキが用意したものだし、着ないという選択肢はないのだけど、ポロリしたらどうしよう」
ユウキは他の参加者を睥睨し、エヴァリーナは羞恥心で死にそうになり、フランは巨乳女子を殺意のこもった目で睨みつけ、カロリーナはポロリの心配をしながら参加者の列に並ぶ。チーム・ルゥルゥの前を通るとき、ユウキはニヤリと笑みを浮かべて話しかけた。
「ルゥルゥ、あなたがこの大会に出場した理由知ってるわよ。何故なら、わたしたちはメイド長から直々に依頼された刺客。ルゥルゥ、あなたの幸せ、簡単にはつかませないわよ。だって、メイド長怖いもん」
「あーっはっは!」と笑いながら歩き去るユウキたち。見送るルゥルゥの闘争心に火がついた。しかし、仲間たちは皇太子妃や帝国宰相家の御令嬢さえ手駒に使うメイド長に呆れるのだった。
「くっそー、あのババア。どこまであたいの幸せを邪魔しようっての。絶対に負けない!」
「ユウキ様たち、あれ絶対に出場を強要されたんだよ。恐るべしメイド長」
「さすがカルディアの女豹。皇太子妃を顎で使うとは…」
「エヴァ、なんで私までっていう顔してた。ちょっとかわいそうなのだ」
参加者の思惑はさておいて、ルゥルゥと愉快な仲間たちは円陣を組んで気合を入れる。
「必ず勝つよ!」
「おおーっ!!」
人生の幸せをつかむため、ルゥルゥの戦いが今始まった!!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
参加者の前で司会進行の男性が説明を始めた。プールには1.5m四方の浮き板が紐で30cm程の間隔で数珠繋ぎに並べられたものが縦に5列設置された。
「最初のゲームは「ぽよよん♡浮き板渡り。非情のタイムアタック!」でーすっ!! 出場は各チーム1名。最も短い時間でゴールに到達したチームには25点。その後は到着順位別に1点ずつ減点します。また、浮き板から落下したらその場でゲーム終了。距離に応じて順位を決めていきます! なお、ライバルの妨害行為OK! 相手のブラを剥ぎ取ってもパンツをずり降ろしても、水中に叩き落としても勝てばいいのですっ!」
『ウォオオオオオオオーーーッ!!』
説明の最後を聞いた観客は怒号にも似た歓声を上げた。その、音声衝撃波はプールの水面を波立たせ、ただでさえ不安定な浮き板を左右に揺らし、参加者は「ごくり」とつばを飲み込む。
「サイテーだね。でも、勝たないとリューリィ君と結婚できない。がんばる」
「ルゥルゥさん、私らチームは誰が行きます?」
「ここは…、アルテナ様かなぁ」
「むふふ、早くも出番が来たのだ。頑張るぞ!」
チーム・ルゥルゥの先陣を切るのはアルテナ。身軽で軽量、運動神経抜群の狼系亜人(美少女)の選択はこのようなゲームの選手として理にかなっている。見ると他のチームも背が小さめでスレンダー系の女の子を選んでいるようだ。
「アリエル、頼んだわよ」
「カストルのために必ず勝つ! 勝者の前に道はあり、敗者の前に道はなし!!」
「このゲーム、さすがにあたしやパールじゃ重心的にきついわね」
「クッ…。クリスタさんのさり気無い巨乳自慢が妬ましい…」(アンゼリッテ)
「ミウ、親衛隊の掟斉唱!」
「生死を超越し一意任務の完遂に邁進すべし。カストル様の愛に応えられぬ時は、生きて虜囚の辱めを受けず!」
「よし逝け。勝利の栄光を我に!」
「はいなの!!」
「フランちゃん、頼んだよ」
「任せて。勝ってヴァルター様の愛を取り戻す!」
「私、何故ここにいるのでしょう…」
「エヴァは諦めが悪いわねー」
思惑は様々あれど、思いを胸に戦いに赴く美女たち。早くも強敵の出現にルゥルゥたちは身が引き締まる。司会者の笛が鳴った。今、女たちの熱き戦いが幕を開けるのだった!




