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第51話 メイド喫茶開店!(夏祭り1日目)

 ホフマンの掛け声で、メイド喫茶が開店した。3人のメイドの戦いが今始まる。そして、「メイド喫茶ってどんな店なんだ」と言いながら最初の客がやってきた。

 3人は、誰が最初に行くか顔を見合わせるが、カロリーナが意を決したように先陣を切った。


「いらっしゃませ、ご主人様。遅かったじゃないの。待ってたんだからね!」

「ホラ、こっちよ、こっちのテーブル。早く来てよね、ノロマなんだから!」

「はいメニュー、さっさと決めてよね。もう!」


「じ、じゃあコーヒーセットひとつ…」

「コーヒーセットぉ、もうちょっと高いの頼みなさいよね。まあいいわ、待ってて」


「はいお待たせ! べ、別にアンタのために急いで持って来たんじゃないからね。さあ味わって飲んでよね。い、一応、心を込めて淹れたんだから、か、感謝してよね…」


「つ、ツンデレ…。ツンデレだ…。うおおおお! ツンデレメイドさいこおおおお!」 


 カロリーナのつんつんからデレまでの流れるようなセリフを目の当たりにして、ユウキとユーリカは言葉を失う。


「す、凄い。あの流れるような演技、ボクにはできない…」

「カロリーナの意外な一面が見られました。では次は私の番です。ちっぱい女なんかに負けていられません。ここで負けたら『ユーリカが勝てるのはおっぱいだけだね』と言われてしまいます」


「あ、次のお客さんが来ました。ユーリカいきまーす!」


 次には入ってきたのは、冒険者風の2人組。


「いらしゃいませ~。ご主人様ぁ。お待ちしてました~」


 甘えるような声を出して、2人の男性客の前でユーリカがお辞儀する。前かがみになったユーリカの豊かな胸の谷間が男たちの目を釘付けにする。


「さ、こちらにいらして」

 男性客がテーブルに着席すると、水とメニューを出して、男たちの正面に立ち、


「はい、メニューです。高いもの頼んでくれるとぉ、ユーリカ嬉しいなっ!」

 あざとく笑いながら、両肘で胸を挟んで男たちの目の前で左右に揺らす。


「お、おお、じゃ注文だ。俺たちはそこのミルク…、じゃなくて、ステーキセットを頼む」

「はぁい、特選肉のステーキセットふたつ承りましたぁ。少し待っててねぇ」


(ユーリカ、ただのステーキセットをさりげなく、高い特選肉に変えた。しかもお客はユーリカの胸に釘付けで気づいてない!)

 ユウキはユーリカの悪どさに驚嘆する。


「何、あの女。これ見よがしに胸を見せびらかしやがって…、許すまじ!」

「カロリーナ…、顔が怖いよ」


「さあ、次のお客が来たわよ。さあ、ユウキの番よ、行きなさい」

「わ、わかったよ」

(うう、覚悟を決めろ。ボクは女の子…、ボクは女の子…)


 ユウキが接客する事になった客は、大人しそうな若い男性だった。


「いらしゃいませ、ご主人様…」

 顔を赤くして、はにかみながら男性をテーブルに案内する。


「は、はい、水をお持ちしました」と水を運んできたが、緊張から足がもつれて、「アッ!」と小さい悲鳴を上げると、男性客のズボンに盛大に水を零してしまった。


「わああああ! ごめんなさいー。い、いま、布巾を持ってきますー」


 ユウキがあわあわしながら、布巾を持って来て、男性客のズボンをゴシゴシ拭き始めたら、「おうっ」という男性客の声とともに、股間を力いっぱい拭いていたことに気づいた。しかもユウキが男性に覆いかぶさっていたため、おっぱいの谷間が丸見えで、客の股間が大きくテントを張って、固くなっている。


「きゃあああああ、ご、ゴメンなさいいいい。ああっボクったら! コレ雑巾だったー!」

「ドジっ子だ…。うおおおお! ボクっ子のドジっ子美少女メイドだあああ」


 ユウキ怒涛の連続攻撃に、店の客は大いに盛り上がるのだった。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


「いや、今日は初日なのに凄い売れ行きだったよ。ツンデレ、癒し、ドジっ子と見事に属性が分かれて、お客も大興奮だったね。また、明日も頼むよ。はい、今日のバイト料」


 ホフマンがニコニコとバイト料を渡してきて、一人銀貨1枚ずつもらった。


「今日は楽しかったねー。男どもめ、私の魅力に気づいたかー。胸がなくても生きていける! また明日も頑張ろう」


「カロリーナは元気ですねー。私、おっぱいしか見てもらえませんでしたよ」

「その隙をついて、高いものに注文を変更してるでしょ。悪魔か、アンタは」


「ところで、そこのボクっ子ドジっ子メイドは大人しいね」

「いや、ユウキさんは凄いですよ。わざとドジを踏むんじゃなくて、全て天然のなせる業ですからね」


「しかも、男性のあそこを起立させ、力いっぱいにぎにぎするなんて…、ユーリカもまねできません。ユウキさんエロいです!」


「起立させてないし、握ってません! 布巾…、いや雑巾で拭いていただけです。もう、泣きたい! ああ、もう明日と言う日が怖い…」


 家に戻ったユウキは、マヤに泣きつき、目いっぱい癒してもらうのだった。


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