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第47話 夏休みの始まりとアルバイトの誘い

 ユウキがフレッドの家を訪問して数日後、学校は終業式を迎え、1ヶ月半の長い夏休みに入った。

 なお、ユウキは体操と剣技以外あまり良くない成績表をもらって、フィーアたちにからかわれた。終業式が終わった学園からの帰り道、ユウキがみんなに夏休みの過ごし方を聞いてみた。


「そういえば、夏休みはみんなどうするの。ボクはオヤジさんの店の手伝いをしようと思ってるけど」

「私は、夏休み一杯、実家に帰りますわ。お父様お母様との約束なので」とフィーア。

「私は一旦実家に帰るわ。8月半ばの夏祭りには帰ってくるつもり。ユーリカも一緒に帰るでしょ」

「はい、私もそうするつもりです」


「あれ、カロリーナとユーリカは同郷なの?」

「うん、私たち西の国境の町ハウメアー市出身なの」


「私も一度ラナンの町に帰るわ」

「はいはい、ララはどうせアルと一緒に帰るんでしょ。はいはい、いってらっしゃい」

 カロリーナが手をひらひらさせて、適当に返事をする。


「もう、なんか私の扱い酷くない?」

 ララがぷんすかしてカロリーナに文句を言う。ユウキはそのやり取りが面白く、思わずくすくすと笑ってララに睨まれた。


 終業式から何日か経って、それぞれが実家に帰省した翌日の朝、ユウキが朝食を食べていると、『静かになりましたねえ』「そうだな」とマヤとダスティンが話しているのが聞こえてきた。ユウキはなんだか、そのやり取りが可笑しくて、思わず笑ってしまった。


 朝食後、ダスティンの工房に入ったユウキは、夏休みの間、店の手伝いをしたいと申し出た。


「オヤジさん。夏休みの間、お店番手伝うよ」

「いや、お前は、自分のやりたいことをやってればいいんだぞ」

「ううん、お手伝いしたいの」


「そうか、では店番をお願いしよう。実は、侯爵家からの依頼がまだ終わってなくてな」

「そうなんだ、任せて。勉強は苦手だけど計算だけは得意だよ」


 ユウキが店番を始めて数日が過ぎた。無骨な武器屋で美少女が店番をしているという噂が広まり、店はユウキ見たさの客が多く入り、売り上げが伸びている。この状況にダスティンは「なんだかなぁ」とため息をつく。


 今日も今日とで、ユウキはお腹のあたりで結んだシャツとホットパンツのへそ出しルック。胸が強調されてはちきれんばかりだ。ユウキが「開店」の札を店の入り口に掲げていると、「よお、ユウキちゃん」と声をかけられた。


「あ、レオンハルトさん。また来たの?」

「また来たのはねえだろ。お得意様だぜ、俺は」


 レオンハルトはユウキが王都に来るときに連絡馬車の護衛をしていたCクラス冒険者だ。以前からダスティンの店に出入りしており、ユウキが店番をしてからは頻繁に来るようになった。


「それで、ご贔屓様はなんの御用ですかぁ」

「そんな冷たく言うなよ。しかし、今日も可愛いねぇ、特に胸のあたりが…」


「このスケベ!」


「ハハハ、わりぃわりぃ。今日はなユウキちゃんにいい話を持って来たんだ。アルバイトしねえか」


「ヤダ!」


「はええな、即答かよ。まだ何も言ってねえじゃねえか」

「イヤな予感しかしないからヤダ!」

「そう言わずに話を聞いてくれよ。実はな…」


 レオンハルトの話は、夏祭りに商店街でもそれぞれの店で工夫を凝らした企画が計画されていて、最も盛り上がった企画が表彰される。贔屓にしている食堂から、この企画に参加するので、夏祭りの期間だけ働いてくれる女の子を探してきてくれないかと頼まれたということであった。


「期間は3日間、バイト料は弾むという話だ。悪くないだろ」

「やっぱり、イヤな予感しかしないんだけど…」


「なんとか頼むよ。俺の顔を立てると思って、な」


「う、う~ん、わかったよ。絶対変な事じゃないよね。エッチなのは嫌だよ」

「当たり前だろ! 商店街の企画だぜ。よ~し、決まった。なあ、ユウキちゃんの友達であと2人くらい都合つかねえか」

「みんな実家に帰ってるよ。あ、でもカロリーナとユーリカはお祭り前に帰って来るって言ってたな…」


「おっ! じゃその2人にも声をかけてくれよ。よろしくな!」と言って、レオンハルトはさっさと店を出て行った。


「あっ、ちょっと! もう、本当に大丈夫なんでしょうね…」


 何故か不安な気持ちで一杯になるユウキであった。


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