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第458話 秘宝! ぷっしーちゃんのたわわな実り

「ここが秘宝館…」

「王子、イヤらしいです」

「なぜだ?」

「えっ、だって秘宝館って、男性のナニとか女性のアソコとかを模ったモノを展示する博物館のことですよね」

「良く知ってるな」

「何回か見に行ったことがあって…って、何言わせるんですか!」


「お前さん方、話を進めていいかのう」

「すみません…」


 ラインハルトたちが移動したのは、ダンジョン・コア本体が置かれていた部屋と同じような場所だった。


「ご老人、ひとつ聞きたいのだが、ここには邪龍ガルガに関するモノが隠されていないか?」

「邪龍ガルガ? なんじゃなそれは。ここにはそんなもの無いぞい」


「無いのか…。外れたな…」

「王子…」


 落胆するラインハルトにサラが心配そうに寄り添う。見るとカストルやアルヘナ、クリスタも同様に落胆していた。


「お主らが何を求めてここまで来たか分らんが、ここにある秘宝の一部は渡そう。感謝の気持ちじゃ」

「そうか、そうだな。有難くいただこう。して、何を渡してくれるんだ?」


 気を取り直したラインハルトにダンジョン・コアの具現体はクリスタを杖で指し示した。


「おっぱいちゃんの剣と鎧、装飾品はそのまま差し上げよう。特にあのアブソリュート・ゼロは古代魔法文明の最高傑作のひとつで、神々の作り出した武器に匹敵する強力な剣じゃ」


「これ、そんなに凄いものだったんだ…。ありがとう、おじいちゃん」

「ほっほっほ、なんのなんの」


「そこの女悪魔には巨乳女子専用ビキニアーマー「ヴァルキュリア」じゃ。紅魔鉱石製の逸品で、おっぱいちゃんと対になっているものじゃ」


『わあ、ありがとう。わたし、防御が不安だったから単純に嬉しいわ』

「次に、そこの役立たずの天使」


『失礼ね。役に立ったじゃない』

「お主は二刀流じゃな。よって、この対の剣を授けよう。ミモザとポラリスといい、ミモザは炎、ポラリスは氷の魔力を持つ魔法剣じゃ」


『凄い力を感じる…。ありがとう、クソじじい』


「口が悪い娘っ子じゃのう。まあよい、アークデーモンにはこれじゃ」

『ん? オレ様にはコレがあるから別にいいぞ』


 メイメイは貧乳剣アルヘナソードを見せるが、具現体の老人はふるふると首を振った。


「その剣は大分傷んでおる。耐久度も限界じゃ、素直に受け取れ。ミスリル鋼製の魔法剣、星王剣じゃ。強度も切れ味も並の剣の比じゃないぞい」


『ほう…。では有難くいただこう』

「よかったね、メイメイちゃん。わあ凄くカッコいいよ!」

『おお…マイ・スモールバスト・エンジェルが喜んでくれている。この笑顔、守りたい…。よし、この剣はアルヘナちゃんを守る剣「超貧乳剣スーパーアルヘナソード」と名付けよう!!』

「なぜだろう。あんま嬉しくない…」


 その後、カストルとアルヘナは魔力を強化する「マジックリング」を、サラは力を大幅に上昇させる「パワーリング」をもらった。また、コアの老人はラインハルトに魔法剣を渡そうとしたが、ラインハルトはその申し出を固辞した。


「私にはガリアン王が遺したロングソードがある。気持ちだけ受け取っておくよ」


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


「さて、最後にこのダンジョン最大の宝物を渡そう」

「最大のお宝!?」

「わあ、なんだろうねお兄ちゃん!」

「きっと凄いモノなんだろうな」


「ほっほっほ。これじゃ」


 老人はサッと杖を振ると、床の一部がガタン!と音を立てて床下側に開き、下から金属製の台がせり上がってきた。台の上には3冊の書物が置かれている。


「古代魔法文明の英知が記された書物じゃ。貴重じゃぞ」

「ほう、それは期待できるな。邪龍ガルガに関するものでは無いのが残念だが、古代文明の知識は我々の文化水準を向上させる貴重なものだからな。有難くいただこう。その前に中身を確認しようか」


 ラインハルトは1冊の書物を手に取って開いた。古代文字と一緒に皿に載せられた様々な料理の挿絵が掛かれおり、料理ごとにレシピらしい注釈が記されていて、それが全ページ続いている。


「んん? これはなんだ?」

「王子、何が書かれているんです? あれ、これってお料理?」


「ほっほっほ。これは、その名も「世界名物料理列伝究極完全版」じゃ。世界中の伝統料理や各都市国家の最高級レストランから街角の定食屋の名物料理まで、調べに調べつくした究極のグルメ本じゃ。どうじゃ、凄いじゃろう」


「ま、まあ、そうだな」

「今、私たちに絶対必要かものかと問われれば、微妙な答えしか返せませんね…」

「美味しそうではあるがな」


「あ…、あはは。こっちは何だろう。わあっ!」

「どうしたの、お兄ちゃん…って、きゃあ! お兄ちゃん、見ちゃダメ!!」


 料理本に困惑するラインハルトたちの次に本を手に取ったのはカストル。手にした本を見て思わず声を上げ、真っ赤になる。ただ事でない様子にアンゼリッテ、パールも本を覗き込み、思わず唸った。


『こ…これはまた…』

『なんなんですか、もう! ボッキュンボンの女の人ばかり。それも全員素っ裸!!』


 本の中身は古代技術で撮影された写真集だった。しかも、20歳から30歳くらいの女性ばかり集めたフルヌード写真集だ。本の中ではいずれ劣らぬ美女たちがたわわなボディをこれでもかと見せつけている。当然、アソコもバッチリ見えている。また、一部には男性との絡みもあって超絶にいやらしい。


「ほーっほっほ。それはな、幻の発禁本「ぷっしーちゃんのたわわな実り」じゃ。その本はの、あまりのイヤらしさに当局が公序風俗を乱すとして発禁したものじゃ。だが、世の漢たちのスケベ心は尽きまじ。一部は闇市場に流れた。それはそうした一冊。正に古代の希少品!」


「サイッテー」(アルヘナ)

「(カストル君が巨乳女子を食い入るように見ている…。よし!)」(クリスタ)


 カストルは丁寧に本を閉じると、黙って自分のバッグにしまおうとしたが、鬼の形相をしたアンゼリッテが本を奪い取った。


『これは私が預かります。良いですね、カストル様』

「えっ…でも…」

『良・い・で・す・ね!』

「はい…」


『旦那様も男の子よねー。よーし、この任務が終わったら、わたしの体で慰めてあげようっと』

『そんなぶよぶよボディより、アリエルの均整の取れた体の方が満足させられる。乳だけ悪魔はお呼びじゃないの』


『へ~え、ケンカ売るってのぉ』

『カストルの隣は私の指定席。邪魔者は排除する』


 ドタバタギャーギャーとケンカを始めたパールとアリエル。あまりにも煩いため、メイメイは首根っこを掴んで、部屋の隅にポイと投げ捨てた。そんな喧騒を他所にクリスタは最後の本を手に取った。そこには様々な数式や複雑な方程式、何かの機械の構造図らしきものが記されているが、古代文字のためにクリスタは読めない。


「これは何ですか? 凄く難解な方程式が書いてあるけど、全く分らないです」

「ふむ。これは儂にも分らん。何かの解説書じゃないかと思うのじゃが…」


「あら、ここだけ読めるわ。えーと、「ルナ」と記されているわね。なんの意味かな」

「サラは良く読めるな。ルナ…か、暗号でもなさそうだが…」

「でも王子、貴重な本みたいですし、前2冊よりはよっぽどマトモです。いただいていきましょう」

「そうだな。ラファールか帝国の研究機関で調べてもらおう」


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


「さて、ご老人、色々と宝物を分け与えてくれてありがとう。我々は地上に戻ります」

「なんの、儂こそデビルズ・アイを倒してもらって感謝するぞい。そうじゃ、儂が地上まで転送してやろうかの」


「ホントですか! 助かる~」

「良かったねお兄ちゃん!」

「あ…ああ。そうだね…」

「もう! まだ本を諦めてないの!?」


「最後にもう一つお主らに頼みがあるんじゃが」

「頼み?」

「そうじゃ。お主らのお陰でもう危険な魔物もいなくなったのでな、大勢の人にダンジョンを楽しんでもらいたいのじゃ。1階層の結界は消しておくから、地上の人々に伝えてくれると有難い」

「その願い賜りました。必ず伝えます」

「感謝感激雨あられなのじゃ」


 ラインハルトを中心に仲間たちが集まった。ダンジョン・コアの具現体を名乗る老人はサッと杖を振ると、足元の床に大きな魔法陣が浮き出てきた。


「サヨナラじゃ」


 魔法陣が眩しく光り輝き、ラインハルトたちは光の粒子になって飛んだ。クリスタは最後にこのダンジョンに倒れた仲間に別れの言葉を告げたのだった。


(リザード、ルツミ君、ポチ、さようなら…)

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