第341話 神々との戦い①
休憩所でシャワーを浴びてぬるぬるを落とし、試合用水着を洗って乾燥の魔道具で乾かしながら、次に向けて体を休めているユウキたち。
「ユウキ、次の試合見なくてもよいですか?」
「いいよ、いいよ。どうせぬるぬるバトル。戦略もくそもないからね。体を休めていた方がよっぽどいいよ」
『ユウキらしい発言じゃの。エロボディバーサーカー殿はどんな相手でも力づくでねじ伏せるからのう』
「おかしい…。わたしは純情可憐な美少女のハズ…。この大陸に来てから暴力面だけが際立っている」
「わははは、ユウキは本当に面白いな。純情可憐な美少女はそんなドスケベ水着を着て暴れたりはしないぞ」
「アンジェのいけず! だって好きなんだもん…」
「それはそうと、先ほど係員が呼びに来たぞ。決勝戦が間もなく始まるそうだ。準備をしてリングまで来てくれとのことだ」
「いよいよか…。ポポ、アルフィーネ。ここまで来たら優勝目指して頑張るよ」
「はいです!」
『おー!』
3人は手を合わせて気合を入れると、エドモンズ三世を外に追い出し、バトルコスチューム(スクール水着と激エロ水着)に着替えてリングに向かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
先に入場し、紹介を受けたユウキたち。リング下に並んで対戦相手を待つ。司会の男性が対戦相手入場をコールした。
「さあ、入場するは先のバトルで圧倒的勝利を収めた謎の美女軍団「ビューティ・ゴッド・アーミー」だぁあああ!」
「ウォオオオオー!」観客の声援が大きくなる。ユウキは入場してくる対戦相手を見て、心臓が止まりそうになるほど驚いた。
1人目は輝くような金髪をアップにして纏め、銀と様々な宝石で装飾が施された髪留めで髪を飾っている美しい女性。スタイルも抜群で、大きく豊かな胸と締まった腰から流れるように続く丸みを帯びて形の良いヒップ…。バトルコスチュームは白色の超セクシー胸開き激エロハイレグレオタード。そして、ユウキはその顔に見覚えがあった。
(エ…、エリス様~~! なんで、どうして~!?)
男たちの欲望丸出しの声援を受けて、楽しそうな笑顔を向けて手を振ってくるエリス。しかし、ユウキはそれどころではない。まさかと思って次の登場人物を見る。そして、その期待(?)は裏切られなかった。
続いて手を振りながら入って来たのは、サラサラの銀髪をツインテールにし、宝石のように青く美しい瞳、整った鼻に小さく可愛らしいピンクの唇をしたユウキにも勝ると劣らない超絶美少女。
(やっぱり~。フレイヤだぁ~)
にこにこ笑顔で入場した美と愛の女神フレイヤ登場に会場の男たちはハートをドキューンと撃ち抜かれ悶絶する。
フレイヤのバトルコスチュームはライムイエローのオーソドックスなワンピース水着。ささやかな膨らみと小さく引き締まったヒップのバランスが絶妙で、非常に美しい貧乳系女子の見本ともいうべき体型だ。
(さ、最後は誰…)
ユウキは不安そうにフレイヤに続く人物を見る。最後に入場してきたのは…。
青く透き通った長い髪をアップにした少々陰のある表情をした美人。いかにも無理やり連れてこられた感が否めない微妙な表情をしている。しかし、スタイルは中々のものを持っている。80cm台後半の豊かなバストと大きめな安産型のお尻をライトブルーのビキニで覆い、形の良い両の太ももに同色のリボンを着けてお洒落にも気を配っている。やっぱり、その顔に見覚えがある。
(ア、アクア様だぁ~。イザヴェル王宮のアクア像にそっくり…。はわ~美人だね~。でも、あの表情、きっとエリス様に無理やり連れてこられたんだね。なんかスミマセン…)
ユウキの混乱を他所にイベントは進む。司会と審判を挟んで両者が対峙する。ユウキは動揺を隠せないが、エリスとフレイヤは如何にも楽しそうな表情で見てくる。一方、アクアは少々涙目だ。
「ルールを説明します。決勝戦は順番に1人ずつ対戦し、先に2勝したほうが優勝です。引き分けの場合は主審と副審の得点合計が高いチームが優勝です。1人当たりの試合時間は10分です。10分を超えると引き分け扱いになります。また、武器と魔法の使用は禁止。水着が脱げても試合は続行します。つまり、全裸になっても負けではありません!」
審判の言葉に会場は絶叫の渦に包まれ、拳を振り上げて騒ぐ男たちを女性客は軽蔑の目で見るのであった。
「なあ、エド。ユウキ、なんか動揺してないか?」
『ククク…、これは何とも予想外。楽しくなってきたわい。女神たちの超絶バトル、この目にしっかり焼き付けようぞ…。ああ、今こそ生身の体が羨ましい』
「エドったら、聞いてる!? ダメだ、私の声なんか聞こえちゃいない」
「さあ、試合開始です。最初の選手はリングに!」
司会の宣言で大きな拍手が湧き起こり、最初の選手がリングに上る。今、ぬるぬるバトルの歴史に名を残す史上最大の戦いが始まった!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
1戦目はユウキ対エリス。黒髪の美女と金髪の美女の戦い。迫力ある巨乳の持ち主同士の戦いに早くも会場は異様な熱気に包まれている。リューベック公やレビン伯も席から身を乗り出して見入っている。リングの対角線で対峙する2人の美女。ユウキはコーナーロープを掴んで屈伸運動をしながら相手を伺い、エリスはコーナーポストに背を預け、ロープに腕をかけて余裕綽々のポーズでユウキを見ている。
審判が腕を上げて合図をし、試合開始のゴングが鳴った。同時に両者が飛び出す!
リング中央でユウキとエリスが「がっし!」とお互いの肩を掴んで力比べを始めた。2人が動くたびに両者の巨乳がフルフルと躍動してとってもイヤらしく、ポポとフレイヤが羨ましそうに見ている。
「エ、エリス様。何やってんですか。貴女は!」
「だってぇー、ユウキたち面白そうな事してるんだもの。見てるだけじゃつまらなくって」
「そんな理由で、至高神が…、神様たちが地上界に出てきていいの!?」
「いいのよ。たまには私たちだって、息抜きが必要だもの」
「なんてノリの軽い…。出会った頃の威厳はどこに…。あっ!」
「うふふ、足元がおろそかよ!」
ユウキの気が散ったのを見逃さず、エリスが素早く足払いを掛ける。バランスを崩してマットに仰向けに倒れ、跳ね上がったローションでユウキはぬるぬる塗れになる。
「わっぷ…。わあ!」
「たぁっ! ゴッド・ビッグバスト・プレッシャー!」
リングに倒れたユウキめがけて、コーナーポストの上から飛び上がったエリスが大の字になって飛んできた。ナイスなボディが逆光を浴びて神々しく輝きながら迫ってくる。直撃されればユウキを上回るビッグバストに押しつぶされてしまうだろう。
「うわぁあああ!」
「えっ、きゃあっ」
ユウキは踏ん張って立ち上がり、空中のエリスを抱き抱えると、そのままマットに投げて押し倒し、お腹の上に跨ってフォールの体勢を取るが、エリスもまた、ユウキの手に自分の手を合わせて力技で押し返す。
「むぐぐ、さすが神様、パワーが半端ない…、押し返される…」
「う~っ、エロボディバーサーカーめ~。ゴッド・体返し!」
「わあ!」
エリスの体捻りによって、今度はユウキが下になり、エリスが覆い被さってきた。露出度95%の激エロハイレグレオタードを身に着けた豊満ボディの美女同士が、ぬるぬるローションを激しく波立たせて上下に体を入れ替えながら、必死に有利なポジション争いを繰り広げる。ローションで敏感になった肌に触れる度に悩まし気な声が飛び、顔を紅潮させて身悶える。初っ端からの美女の痴態に会場はシーンと静まり返り、男たちは股間を押さえる。
「このままじゃ埒が明かない。体全体を使って押さえつける!」
「勝負に来るわね、ユウキ。ならこっちも。くぅ…っ」
残り時間も少ない。ここが勝負どころと見たユウキとエリスは、上半身を起こしてペタンコ坐りになると、相手の肩を押さえつけるため、手を伸ばした。が、マットのぬるぬるで踏ん張りが効かずつんのめり、お互いそのまま抱きついた。
女同士とはいえ、巨乳の「むにゅん」とした感触に恥ずかしくなり、なんとか体勢を立て直そうと2人が動いた瞬間、お互いの体に纏わりついたローションで手が「ズルッ!」と滑っておでこ同士を激突させた。
「ぎゃっ!?」
「たわらば!」
「ゴチン!」と会場に響き渡るほどの鈍い打撃音が響き、ユウキとエリスはビクンビクンと痙攣してマットに沈む。2人が戦闘不能になったと見た審判は両手を交差して試合終了を告げ、カンカンカンとゴングを鳴らした。
「ユウキ選手とエリス選手戦闘不能! よって引き分け!」
額にでかいコブを作り、港に水揚げされたチョウチンアンコウのように口から泡を吹き、だらんとした恰好でタンカに載せられ退場していくユウキとエリス。そこには狂戦士や至高神としての威厳も何もないのであった。
『さすがユウキじゃ。儂の期待を裏切らなんだ。豊満ボディの狂演は今までで一番エロかったのじゃ。うむ、余は満足じゃ。儂、エリスのボディに包まれたい。そしたら死んでもいいっ!』
「エドは真のエロジジイだな。そのブレない姿勢はある意味尊敬するぞ。しかし、凄まじい勝負だったな。ユウキは大丈夫かな」
『大丈夫じゃろ。お、次はポポたんか』
「相手は、フレイヤという子か。凄い美人だな」
『ロリータボディ対貧乳美少女か。これも期待できるのう』
「アンタは本当に最低だな」
アンジェリカとエドモンズ三世が見守る中、第2試合ポポ対フレイヤの熱きバトルが始まる。




