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第340話 炸裂! トライアングル・アタック

 リング右翼のほぼ中央でユウキとラオミが対峙している。ラオミの背後にはリエレッタが控え、隙を窺っている。黒の超セクシー胸開き激エロハイレグレオタード姿のユウキと発達した大胸筋に申し訳程度に装着したブラと筋肉モリモリの臀部とモッコリ股間を包むビキニパンツ姿のラオミ。エロさ勝負ならユウキの圧勝。とっくに決着がついている。


 ぬるぬると足を少しずつ滑らせながら、必殺の間合いに近づく。ユウキが相手の足元を見ると裸足で滑り止め等は装着していないようだが、足の指をアンカー代わりにしてコケないようバランスをとっている。


(やるわね。かなりの使い手と見た…)


 必殺の間合いに入ったと見たラオミは、一気に手のひらをユウキに向け、剛腕を繰り出して来た!


「奥義、激壁爆裂掌!」


 ユウキに向かってラオミの拳が迫る。余りの速度に空気が振動し、マットに敷き詰められたローションが左右に割れる。しかし、そのお陰でマットの摩擦係数が戻ってきた。拳がユウキの顔面を捉えようとした時、思い切り腰を下ろしてジャンプし、迫るラオミの腕に手をついて一回転して飛び越え、背後をとった! ユウキの動きに合わせて大きなおっぱいが躍動し、足を開いた瞬間に輝くヒップから太ももにかけての美しいラインに観客の男たちは大絶叫する。


った! ハイパワー美少女キック!!」


 無防備に背後を晒したラオミの背にユウキのキックが「バシィイン!」と景気の良い音を立てて炸裂した。しかし…、


「効かぬわ!」


 ラオミは全くダメージを感じさせない素振りで素早く振り向くと、キックを放った右足の足首をつかむと、思いっきり上に向かって放り上げた。


「ひゃああああ!」

「終りだ、沈め! 奥義、一粒万倍拳!!」


 高速で放たれる拳が残像によって数えきれない程の数になって迫ってくるように見える。空中にいるユウキは躱すことができない。それでも直撃を避けようと、何とか体を捻る。


「ユウキ、危ない、躱せー!」

『おっ、今ユウキの水着に掠ったように見えたぞ。こりゃお約束の展開か、うひょひょ』


 アンジェリカが必死に声援を送る。なんとか、直撃を避けたユウキがローションを飛び散らせながらマットに着地した。


「はあ、はあ…。危なかった。直撃は避けたものの、何発か掠ったよ…。えっ、あっ、ひゃああああん!!」


 立ち上がって構えをとったユウキだったが、はらりとブラが前に垂れ下がり、大きなおっぱいが丸出しになってしまった。慌てて両腕で隠すが時すでに遅し。会場のユウキが正面を向いている側の男性客にしっかりと双丘を見られ、大きな歓声が上がる。一方、背中側の客からは一斉にブーイング。「こっちにも見せろと」怒号が飛ぶ。


「誰が見せるか! わあっ、ち、ちょっとタンマ!」

「ウハハハハ! 見事なおっぱいに感謝を。だが、勝負は終わっておらぬ。岩破斬!」


「くうう~。やってしまった…。超絶に恥ずかしいよぅ~。なんとか隙を見つけて水着を直さなきゃ行動が制限されちゃう。ポポたちは…、ダメだ。向こうも手一杯だ」


「ユウキがピンチだな。両手が塞がれてしまった」

『手を放して戦えばいいのに。そしたら、ぶるんぶるんの生おっぱいが見放題じゃ。ぐへへ…』

「エドって最悪に最低だな。乙女の柔肌は簡単に見せていいものではないぞ」

『ククク…、エロ水着を着ていたお主がそう言うか…。そして、悪役令嬢からの蔑みの視線。ゾクゾク来るわい。甘露甘露…』


 ユウキは一気にピンチになっていた。ラオミの容赦ない攻撃が間断なく迫ってくる。幸いリエレッタが、参戦するタイミングを見失って右往左往しているので、ラオミだけに対処出来るのは有難かった。


(くそっ、両腕が使えないから機敏な動きができないよ。それにラオミの攻撃が激しくて…。どうする、どうすればいいの? なんとかチャンスを待つしかない)


「終りだ。お前の全裸を白日の下に晒す! 究極奥義、女体神秘開帳拳!」


 ラオミの雄叫びとともに全身が闘気オーラの光に包まれ、おっぱいを隠して動きの鈍ったユウキめがけて振り下ろされる。


「うらあああああ!」

「アンタ、本当に女? 股間が一層「もっこり」してるんだけど! こうなりゃヤケだ!」


 ズアアアアア!と風を巻いて飛んできたラオミの拳を、体を屈めてコンマ0.1秒のタイミングで躱したユウキ。攻撃の勢いでラオミは目の前に来ている。ユウキは膝のバネを利用して勢いよく立ち上がると、右ひざでラオミの股間を蹴り上げた。その瞬間、女ではありえない「ごりっ」とした感触とともに、ラオミはビクンと体を震わせて動きを止める。


(なに、今の感触? 玉袋っぽい。でも今がチャンス!)


 ユウキは素早く背後に回ると、加速をつけてロープに背中を預け、その反動を利用して勢いよく飛び出すと、両足を揃えて動きの止まったラオミの背中に再びキックを放った。


「キラキラ美少女・ダブルキーック!」

「ごわぁっ!」


 美少女キックの衝撃で蹴とばされたラオミ。踏ん張りが効かなくなった足がローションで滑り、バシャンとうつ伏せに倒れると、そのまましゅるるーっと滑って場外に落ちて頭を打ち、気絶した。


「ラオミ選手、場外落下により失格!」

 すかさず審判がラオミの敗北を宣言する。これで、残るはリエレッタだが、コーナーポストの近くにペタンと座り込んで落ちたラオミを見て震えている。


「今だ。今のうちに水着を直そう」

 ユウキはリエレッタの背中とコーナーポストを上手く使って、コソコソと水着のブラを直すと、すっくと立ち上がり、リエレッタの背中を蹴飛ばして場外に叩き落とした。リエレッタは踏みつぶされたカエルのような声を上げて床に叩きつけられた。


「ふぎゃっ!」

「リエレッタ選手、場外落下により失格!」


「よーし、やったぁ!」


 両手を上げてぴょんぴょん跳ねて喜びを表すユウキ。その可愛らしい笑顔と小さくジャンプするたびに悩ましげに揺れるおっぱいに、会場の男たちのハートは鷲掴みされる。見ればレビン伯が股間を押さえて、席を外そうとしていた。


「ユウキは、あんな可愛い顔をしているのに情け容赦ないな」

『アンジェリカよ、勝つためには手段を選ばず。時には卑劣な手段も使う。それがユウキの常勝不敗の秘訣よ』

「ユウキ、恐ろしい子…。しかし、リエレッタは何のために出てきたんだ? 思わせぶりなコスチュームなんか着て出てきたのに」

『数合わせじゃろ』


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 一方、リングの左翼側ではポポとアルフィーネがデューク・サイゴウと一進一退の攻防を展開していた。


「ポポたん、頑張れー! スクール水着バンザーイ!」

「アルフィーネちゃーん! おっぱい!おっぱい!」


 真性ロリコンと巨乳お姉さん好きの観客から声援が飛ぶ。しかし、2人とも声援に応える余裕がない。全身からローションが滴り落ち、太陽の光で体がてらてら光って艶めかしい。


「アルフィーネ。そろそろユウキから授かった策を試すのです。ポポが背後に回るです。ヤツは必ずポポを迎え撃つためにアルフィーネに背を向けるのです。背を向けたら…」

『はい。全力でアルフィーネがキックを放ちます』

「そう! そして怯んだところでタコ殴りです!」


「行くです!」

『ゴー! ポポたん』


 不敵な態度でリングに立つデューク・サイゴウに向かってポポが一直線に走る。「特攻か…」デュークはボソッと呟くと冷静に間合いを図り、左右のフックで迎撃してきた。


(バカめ…と言ってやれなのです。フックを放つため、足が開いているのです)


 高速の左フックが直撃する寸前、スライディングでデュークの足元に飛び込んだポポ。ローションのお陰で速度を保ったまま、するりと潜り抜けると素早く立ち上がり、デュークの背中に連続パンチを叩きこもうと構えを取った。背後を取られたことで、反射的にポポに向かって体を回転させるデューク。しかし…。


『チャーンス! フラワー・タイフーン(ただのドロップキック)! たぁりゃああ』

「おごおっ!!」


 アルフィーネのドロップキックが炸裂した。威力は小さいものの、丁度腰のあたりに命中したため「ギクッ」という鈍い音とともにデュークがビクンと痙攣して唸り声を上げて仰け反り、そのまま四つん這いの姿勢になった。


「アルフィーネ、お見事なのです。コイツはギックリ腰になったです」

『キャー! やったわー! アルフィーネが決めました』


 ぴょんぴょん飛び跳ねて嬉しがるアルフィーネだったが、あんまりはしゃぎ過ぎてマットのぬるぬるに足を取られてズルっと大股を開いて転倒し、頭をガツンと打った。観客からチューリップのように開かれた股に盛大な拍手が送られる。


「何やってんのよ。アルフィーネったら」

『あ…、ご主人様ぁ…』


「ユウキ!」

「ポポ、頑張ったね。あっちは片付けたよ。後はこの殺し屋もどきだけ。さあ、止めを刺すわよ。みんな集まって」


 ユウキがポポとアルフィーネに作戦を耳打ちする。頷いた2人はそれぞれコーナーポストに移動し、その上に乗った。


「一体何が始まるんだ?」

『必殺技か何かじゃろうか。しかし、ユウキは面白い事考えるのう』


「さあ、最後の大技、いっくよー」


 腰の痛みで動けないデュークの手を取って無理やり立たせたユウキ。激痛に完全に腰砕け状態のデュークをぐるぐると回転させる。摩擦係数0のぬるぬるマットにより、通常の倍の回転速度を得たユウキは、ポポたちと反対側のロープに向かってデュークを力いっぱい投げ飛ばした。

 デューク自身の体重と回転速度が合わさり、受け止めたリングロープがギューンとたわむ。そして強力な反発力を得てデュークはリング中央に無防備状態で投げ出された。そこに、少し遅れて同じロープに飛び込み、反発力を得たユウキがデュークの背中にドロップキックの体勢で飛び込む! それを見たポポとアルフィーネはタイミングを合わせてコーナーポストから飛び上がり、デューク目掛けてキックの体勢をとる。


「とうっ」

『たあっ』

「3人合わせて…」ユウキの合図と同時に3人が叫んだ。


『トライアングル・アターック!!』


 ローションでぬるぬるになったエロい体を輝かせながら、綺麗な三角形を描いて美女が飛び、最後の敵に前から2本、後ろから1本のドロップキックが突き刺さる。

 凄まじい打撃と衝撃がデュークの全身を撃ち貫き、ギックリ腰で踏ん張りの効かない体に大ダメージを与えた。戦闘不能になったデュークの体がゆらりと傾くと、


「…男は黙って帝国…ビール」


 謎の宣伝文句を残し、白目を剥いてバシャンと倒れた。倒れた相手を見下ろしたユウキはぼそりと呟いた。


「やっぱり、こいつも男だったじゃないのよ…」


「ユウキ!」

『ご主人様!』


 振り返ると満面の笑みを浮かべたポポとアルフィーネ。ユウキも笑顔で返し、パアンとハイタッチで勝利を喜ぶ。嬉しさのあまりキュッと抱きついてきたポポを抱きかかえて肩車する。大勢の観客に向かって手を振るポポを見て観客の真性ロリコンどもは「尊い…」と呟くのだった。

 一方、アルフィーネはマットのぬるぬるローションにダイブして滑って遊んでいた。何度も滑って遊んだお陰で、水着の肩紐がほどけてお腹の辺りまでずり下がっていた。それに気づかないアルフィーネが立ち上がると、大きなおっぱいがバイーンと露になり、観客席から絶叫とともに、おっぱいコールが響きわたる。


『やん♥️、いやーん♥️』


 身悶えするアルフィーネの可愛らしさとおっぱいに大きな声援がいつまでも送られるのであった。



「おめでとうユウキ、ポポ、アルフィーネ。次も頑張れよ」

『はてさて、次の相手はどんなかのう。儂としては思春期少女と巨乳美少女が希望なのじゃが。巨乳同士のくんずほぐれつが見たいのう』

「アンタは本当にアンデッドなのか…?」


 アンジェリカの疑問を他所に、いよいよ次は決勝戦を迎える。どんな相手が来ようとも絶対に負けないと誓う3人であった。

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