第25話 身体測定の格差社会
「ようし、今日は午前中に身体測定があるからな。男子は第1会議室、女子は医務室だ」
「パンツ一丁で測るからな、ションベンで汚すなよ。ウワハハハハ!」
「ええっ」
「うそ!」
「なんで前もって言ってくれないんだよ!」
クラスメイトの抗議が上がるが、バルバネスは「忘れとった」の一言で終わらせてしまった。しかし、ユウキはそれどころではない。
(しまった~、油断した~、今日に限って上も下もマヤさんお手製のめちゃくちゃかわいい下着だよ。布の面積が少ないやつだよ。いくら女の子同士とはいえ、これは恥ずかしい。な、何とかチャンスを見つけて寮に着替えに行かなければ…)
「え~、急な話って困るよね、女の子は特に。そう思うよねユウキ」
「う、うん。そうだよね。ホントに」
「あ~あ、今日の下着地味なんだよね」
(早く着替えに行かなければ。そうだ、身体測定は何時からなの)
ユウキは下着の事で頭が一杯。ララの話を聞き流し、何とか着替えのタイミングがないか脳細胞をフル回転させて考える。しかし、先生の次の一言ですべて終わったのであった。
「おう、時間だ。男子と女子、移動しろ」
「お、終わった…」
クラスの女子20人が医務室に入ると、医務官の先生が制服を脱いで下着姿になるように言ってきた。
「制服はかごに入れてね。順番に身長、体重、3サイズを測ります」
「どうしたの? 制服脱がないの?」
クラスメイトが下着姿になる中、未だ制服姿のユウキを見てララが聞いてきたが、ユウキはもじもじして脱ごうとしない。
「恥ずかしいの? 女同士で恥ずかしがってどうするのよ。脱がせてあげようか。えいっ!」
ララがユウキのスカートを一気にずり下げた。
「わあっ!?」
ユウキの超絶にエロい下着が露になる。
「わああ、ユウキの下着、凄い大人っぽい…っていうか、凄くエッチだね。誰か落としたい男子でもいるの? 何か女として負けたような気がする」
ララの一言で、みんなの視線がユウキに集まる。ユウキの穿いていた下着は、白のフリルと小さいリボンで飾られた少なめの布で前後を覆い、サイドを細い紐で結んだデザインの所謂「紐パン」だった。しかも色は黒でレース地のスケスケ。
女の子たちは「わあ」「ユウキさんっておっとな~」「エロい。エロすぎる」「プリチーだわ」とか言ってユウキの紐パンをガン見してくる。
諦めたユウキは真っ赤になりながら上も脱ぐ。下とお揃いのフリルやリボンが付いたエロ可愛いブラを見て、女生徒たちは益々きゃあきゃあ騒ぐのであった。
女生徒たちは順番に身長、体重、BWHを測定していく。
「はい、ララさんは151cm、体重40kgですね。B75、W52、H77」
「うう~、バストが全然成長していない…。もっとおっぱいが欲しい~。なんで成長してくれないの~」
「ユウキさんは、160cm、48kg、B86、W56、H87。う~ん、スタイルいいわね~」
「くっ、エロキとのバストの差がハンパない」
「誰がエロキよ! 変なあだ名付けないで!」
ユウキがララに抗議したその時、おおっという声が上がった。
「ユーリカさん、B93、W62、H88!」
「くそ~、ユウキを上回るおっぱいお化けが現れおった。もう、何を食べればあんなになるのよ~。羨ましすぎる」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
身体測定後の昼休み、ユウキとララ、フィーアがテーブルを囲んでランチを食べながら、おしゃべりしていた。
「はあ…」
「どうしたんですか、ララさん」
「いやね。身体測定で格差社会というものを、まざまざと教えられたのよ」
「ユウキのバスト86cmもあるのよ。私と11cmも差があるのよ。それに下着もエロ可愛くて、女として大敗北を喫した感じよ」
「86cmですか…、流石乳魔人ですね。なみに私は82cmでした!」
フィーアがさりげなく自慢する。
「くっ、くやし~」
「乳魔人ってひどすぎない?」
「それ以外にどう表現すれば?」
「こ、このポンコツ令嬢め。口が悪いよ」
バストの話題できゃあきゃあ騒ぐユウキたちを、少し離れた場所から眺めている2人の少女がいた。1人はユウキを上回るバストの持ち主のユーリカ。もう1人は肩までの金色の髪をハーフテイルにした小柄な美少女。しかし、小柄な子は浮かない表情をしてランチにも手を付けていない。
「あの子たち楽しそうですね」
「……」
「あの黒い髪の女の子、ユウキさんって言いましたっけ。優しそうな人ですよ。私たちの友達になってくれると思います。友達をたくさん作りたいって、自己紹介で言ってたじゃないですか。それに、ユウキさんと一緒にいる2人も良い人そうです」
「……」
「ここは故郷から離れた王都。大丈夫、新しい出会いがあなたをきっと変えてくれますよ」
「……そうかな」
「そうですよ。私は元の明るくて、可愛いあなたに戻ってもらいたい。だから、ね?」
「……うん、私も楽しい学園生活送りたい」
「そのとおりですよ。さあ、私たちもお友達になりに行きましょう。ほら、立ってカロリーナ」