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番外編2 リースの決意

 ユウキさんは魔女となって王国を破壊した。お兄ちゃんは学園生徒部隊として戦いに行き、わたしはお父さんやお母さんとリーズリットの親戚のお家に避難した。リタちゃんたち一家と一緒に。


 戦争が終わって王都に戻ってみると、そこは酷い有様だった。リタちゃんのお家は何とか無事だったけど、わたしの家や見知った広場、商店街は跡形も無くなっていた。


「これ…本当にユウキさんがやった事なの?」

「ああ、そうだよ。ただ、これだけは忘れないで欲しいんだ、リース。ユウキさんはね、あまりにも純粋な人過ぎたんだよ。この国の人々の悪意が強すぎてユウキさんには耐えられなかったんだ。本当に悪いのは僕たちなのかも知れないんだ。だから、ユウキさんを恨んじゃいけないよ」


「うん、わかってる。あの、お兄ちゃん。ユウキさんはどうなったの?」

「死んだよ…。カロリーナさんも、マヤさんも、ダスティンさんも死んだ…」


 お兄ちゃんから悲しい答えを聞いて、わたしは大声を上げて泣いてしまった。あの優しかったユウキさんやマヤさんにもう会えないと思うと、悲しくて悲しくてどうしようもなかった…。


 わたしたち家族は住むところを失った。国はそういう人たちのために仮設の住宅を建てて割り当ててくれているけど、お兄ちゃんとユウキさんのお友だちだったフィーアさんが無人となったダスティンさんの家を買い取り、わたしたち一家に貸してくれた。

 お父さんとお母さんは喜んで受け入れ、工房を利用して魔道具作りをするといい、お兄ちゃんも手伝うことになった。


 その後、しばらくして家族でダスティンさんの家に引っ越した。お父さんとお母さん、お兄ちゃんは1階の部屋を使うと決めたので、わたしは必然的に2階を使うことになった。


 わたしは2階の部屋を探検することにした。2階は5部屋ある。マヤさんがいた頃、いつも着替え遊びをするため来ていたから勝手知ったる…だ。


「どこをわたしの部屋にしようかな…。ユウキさんが使っていた部屋はここ…」

 ユウキさんの部屋はいかにも女の子らしい飾りのある部屋だった。大きな姿見もある。


「いつも、この姿見でエッチな下着をつけて見ていたのかな…?」

 その様子を思い浮かべると、なんか可笑しくなって、噴き出してしまった。


 ユウキさんの向かいの部屋に入る。ここは確かカロリーナさんの部屋だ。中を見回すが特に変わった物はない。ベッドに腰かけてみると、不自然な座り心地にハテナ?となる。不思議に思って敷布団を捲ってみると、おっぱいの大きい女の人の裸の絵が描いてある紙束を見つけた!


「う、うわあ…カロリーナさんってこんな趣味が…。んん? よく見ると女の人の顔、カロリーナさんに似ている…」


 想像するに、カロリーナさんは自分が巨乳になった絵をかいて、自分を慰めていたんじゃなかろうか…? その様子を思い浮かべたら、なんか悲しくなってきた。紙束を1枚1枚見ていると、中にはユウキさんとユーリカさんと思われる絵も見つけた。いずれも、おっぱいがおばあちゃんのようにダラーンと垂れている絵だ。わたしは益々やるせない気持ちになってしまった。


「この紙束、わたしがあずかって封印しよう。うん、そうしよう」


 ユーリカさんの部屋には鉄製の筋力を鍛える道具が転がっていて、持ち上げようとしたら重くて持ち上がらなかった。おまけにタンスに入っていたブラジャーはとても大きくて思わず恐怖してしまった。


 フィーアさんの部屋には「ユウキさん悪戯手帳」というものがあった。ぺらぺらとめくって見てみると、ユウキさんに対する数々のイタズラの計画らしい内容が書いてあった。あの人、本当にお嬢様なんだよね? 後で届けてあげよう。


「最後はマヤさんの部屋…」


 マヤさんの部屋に入る。机の上には大きな裁縫箱があった。開いてみるとたくさんの針と糸、ボタンやホックが入っている。可愛い布切鋏もあった。

 部屋の中を見回すがタンスの中には何もない。誰か持ち出したのだろうか…。私は少し残念に思った。何かないかなと、部屋の中を見回し、ふと思いついてベッドの下を覗いて見た。そこには箱が1つ。


「あ、箱がある。何だろう?」


 ベッドの下に潜って何とか箱を引っ張り出す。


「うわあ、埃だらけになっちゃった…。あ、箱に何か書いてある、なになに…「リースちゃんの服」って書いてある」


 わたしは逸る気持ちを抑えて箱を開いてみる。中にはたくさんのワンピースやブラウスなど可愛い服がたくさん入っていた。また、際どい下着もいっぱい…。ほとんど紐みたいなのもある。


「可愛い服がいっぱいだ。あ、素敵な水着もある…」

「え…、これ貝殻の水着? ヤダ…、おっぱいとアソコを隠す貝殻が小さいし、紐は鉄の鎖だ。お股に食い込みそう…。凄くエッチだよコレ、さすがに無理過ぎる」


「でも、マヤさんわたしにも色々作ってくれてたんだ…。嬉しいよー。ありがとうマヤさん」


 わたしは服が入った箱と裁縫箱をユウキさんの部屋に運んだ。


「今日からここが私の部屋。ユウキさんとマヤさんの意思を継いでわたしは綺麗になる。王国一の美少女になるんだ。マヤさんが言ってた。わたしは光る原石だって」


「わたしは何もできない女の子と自分で思ってたけど今日からは違う。マヤさんの裁縫箱でたくさんの可愛い服を作る。そして、自分を磨くんだ」


「ただ、外見だけ磨いてもダメ。内面も磨かなきゃ。ユウキさんのように、誰にでも優しく、大切な人を守る気持ちを持とう。わたしがあの2人の意思を継ぐんだ」


 早速、ほとんど紐みたいな下着を選んで手に取った。ハッキリ言ってとっても恥ずかしい。これも大人の第一歩と覚悟を決めて穿いてみた。


「うう…ん、何かお股がむずむずする…」

「この下着、エッチすぎる…。ハードルが高いよ、ユウキさんは凄かったんだな…」

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― 新着の感想 ―
[一言] ダスティンの家に残されていたのは思い出でしたか。 切なく読み進んだら、いやはやユウキ、君って奴は… 後にこの家は仕立て屋か下着屋になってるのでは?と妄想。
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