表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/620

第2話 巨大地震(望視点)

 緊急地震速報が鳴って数秒後、猛烈な揺れが来た!とても立っていられないほどの強烈な揺れだ。


「優季! 私にしっかりつかまって!」

「お姉ちゃん。こわいよ!」

「大丈夫、お姉ちゃんが守ってあげる!」

 

 強烈な揺れの中、収まるのを待つが、この地震はおかしい。普段の地震はすぐ収まるのに、この地震はいつまでたっても終わらない。揺れが小さくなったと思ったらまた大きく揺れてくる。

 どのくらいたったろうか、やっと揺れが止まった。優季が青い顔をして私にしがみついている。周りを見ると、公園にいた他の人たちもひきつった顔をして周りを見回している。


「お父さんとお母さん大丈夫かな……」


 優季が家にいる両親を心配している。今頃両親も私たちを心配しているだろう。スマホから電話をしてみたがつながらない。

 その時、防災無線から大音量でサイレンが鳴り響き、「〇〇市の震度6強。沿岸一帯に大津波警報が発令されました。最大予想高さは10m以上です! 市民の皆さん! 今すぐ高台へ避難してください!」と緊迫した声が流れだした。


「優季! 急いで逃げましょう!」

「こわいよ。お姉ちゃん、ボクたちどうなるの」

「とにかく逃げましょう。津波が来る!」

 優季だけは守らなきゃ。


 怖がる優季の手を引いて急いで駆け出す。地震のせいで動揺したのか、優季がふらふらしているため、あまり早く走れない。公園にいた人たちもめいめいに走り出しているが、中には腰が抜けたのかしゃがみこんでいる人もいる。防災無線は繰り返し、海岸から逃げるように呼び掛けている。


「優季しっかり!」


 私は優季を励ますが、私も誰かに励ましてもらいたい。お父さん、お母さん助けて…。


 今更ながら公園に来たことを後悔している。ここは海に近い上に、周辺に高台や高い建物がない。一番近い建物でも3~4㎞は離れている。逃げる場所がないのだ。それでも一生懸命走る。助かりたい一心で。しかし、間に合わなかった…。

 雷鳴のようなものすごい音がしている。怖くて後ろを振り返れない。

 優季が立ち止まって音のする方を見ている。


「優季!」


 私も音のする方を見た。私たち姉弟の目の前に見上げるような高さの黒い水の壁が迫ってきた。恐ろしい高さだ。以前、東北地方で起きた地震と津波の映像を見たことがあるが、皆このような風景を見たのだろうか。はっきりわかることはもう逃げられないということ……。

 

「優季!」「お姉ちゃん!」私たちはしっかり抱き合った。


 津波に飲まれる直前、私たちの周囲が一瞬輝いた気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ