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第176話 Final battle with the dark witch(Part1:死霊兵vs王国軍)

 暗黒の魔女との戦いの準備を整えたマクシミリアン率いる王国軍は、王都の中央広場に集結した。中央広場は、ユウキの魔法によって広範囲に破壊されたため、瓦礫を全て処理し、破壊された建物も片付けた結果、元の広さの数倍に広がっている。


 今ここに、王国第1騎士団及び第6騎士団の混成部隊約2万が、たった1人の魔女を討つために布陣している。さらに、第4騎士団第2大隊と冒険者を徴集した傭兵団、ユウキと戦う決意を固めた学園生徒と教員部隊も、マクシミリアン直属として配下に加えている。

 学園部隊の中には、フィーア、ユーリカ、シャルロットにヒルデ、ルイーズのほか、担任だったバルバネスやクラスメイトのヘラクリッド、フレッド、アルもいた。


「暗黒の魔女! 我々はお前と戦う決意をした。お前の望みはこの国を亡ぼす事、私を倒すことだ! 今こそ、雌雄を決しようではないか! さあ、出て来るがいい!」


 マクシミリアンは、全部隊の先頭に立つと、大声でユウキに向け、戦いを望むことを宣言した。しばらく待つと、広場の一角に魔法陣が浮かび上がり、禍々しい鎧を付けたユウキと、ゲイボルグを持ったマヤ、助さんと格さん、ダスティンとカロリーナが現れた。ダスティンは大きな戦斧バトルアックスを装備し、カロリーナは神剣「極光オーロラ」を鞘に入れて背負ってる。


 現れたユウキの姿を見て、シャルロットはあることに気が付き、フィーアたちに教えた。


「ユウキの頭を見て、ララのリボンを付けてるよ」

「ユウキさん…。ユウキさんも、ここが最終決戦の場と言うことを理解しているのですね…。ララさんのリボンは、覚悟の現れではないでしょうか…」


「マクシミリアン…、王国に属する者ども…。お前たちの最後の時だ! わたしとわたしが大切にしてきた人の悲しみと憎しみの罰を受けるがいい!」


「黙れ、暗黒の魔女! お前は余りにも多くの国民を殺した。その罪、万死に値する。私はここに宣言する。この戦いでお前の命を断つ!」


(マクシミリアン様…)


 イングリッドやユウキの友人たちは、マクシミリアンの決意に暗澹たる思いを持ったが、今ここでユウキを止めなければ、さらに多くの人の命が奪われると考え、悲しみの気持ちを切り替え、武器を構えるのであった。


「裏切り者マクシミリアン! 死ぬのはお前だ!」

 ユウキは、頭上に両手を上げて、魔法を発動する。それを見た、ゼクス団長が魔法兵に指示を出す。


「魔法が来るぞ! 魔法兵、傭兵と学園生徒の諸君、防御魔法を展開するのだ。急げ!」

 騎士団の魔法兵だけでなく、傭兵も学園生徒も防御魔法を展開する。フレッドもフィーアやヒルデも同様だ。


「メガフレア!」


 ユウキの放った爆発魔法メガフレアが王国軍側に向かって飛ぶが、幾重にも重ねられた防御魔法に阻まれ、魔法防壁の上で爆発する。それを、見たユウキは悔しそうに顔を顰めると、再度メガフレアを唱えるが、ことごとく防がれてしまった。


「はあ、はあ、今度はこれだ!」

「星々の終焉の力、全てを破壊せよ。スーパー…」

『ユウキ様、その魔法はいけません!』

「あうっ!」


 ユウキがスーパーノヴァを行使しようとした瞬間、マヤがユウキに抱き着き、無理やり魔法を止めた。ユウキはびっくりした顔でマヤを見た。


『スーパーノヴァは威力が大きすぎて、私たちも巻き添えになってしまいます。何か別な方法を試してください』


「ん? 向こうは何か揉めている様だな。よし、今だ! 弓兵前進、魔女たちに矢を射賭けろ! 魔法兵は弓兵の攻撃に合わせて、攻撃魔法を放て!」

 ビッグスがユウキとマヤの混乱を素早く見抜き、攻撃の指示を出す。最初に弓兵が進み出て、矢の雨をユウキたちに向けて降らせ、次いで攻撃魔法が使える兵や学園生徒が魔法を放った。


「矢の雨が来るよ! みんな集まって。アイス・フィールド!」

 カロリーナが氷の防御壁を展開し、矢の攻撃を防ぎ、続いてやって来た炎や風、水などの攻撃魔法も防いだ。


「流石カロリーナさん。たった1人で、今の攻撃を防ぐとは。王国一は伊達ではありませんね」

 フィーアが感心したように言うが、ユーリカがユウキを見て「様子がおかしい!」と警告を発した。


 カロリーナの防御魔法で、王国軍の攻撃を防いだことで体勢を整えたユウキは、マヤに従ってスーパーノヴァを使うのを止め、召喚魔法を使うことにした。


「闇の世界に封じられし、死の戦士たちよ、今ここにその封印を解く。暗黒の魔女の求めに応じ、その力を行使せよ。全ての人間に死を与えたまえ。出でよ、限界突破高位強化死霊兵オーバースペックハイアンデット!」


 ユウキの召還により、中央広場の地面に魔法陣がいくつも出現し、そこから死霊兵が大量に現れた。戦斧を持った骸骨大戦士スケルトングレーターウォーリア、巨大な両手剣ツヴァイヘンダーを持った暗黒骸骨騎士スケルトンダークナイト、そして大きな骸骨馬に乗った白骨騎士ペイルライダーが合わせて1万体以上。その凶悪な姿に、騎士団員や傭兵、学園生徒は怖気を震う。しかし、ゼクスとビッグスが彼らを叱咤激励し、士気を高めた騎士団員は武器を構え、魔法兵の支援を受けて、死霊兵に向かって行った。


 王都の中央広場では、死霊兵と騎士団兵が激しく戦っている。数は騎士団の方が多いが、戦闘能力は死霊兵の方が高い。骸骨大戦士や暗黒骸骨騎士が1体倒れる間に、歴戦の騎士団兵と言えど数人は倒される状況になっていて、広場のあちこちから、騎士団兵の怒号と金属のぶつかり合う音が響き渡っている。各部隊の小隊長から大隊長に至るまで声を枯らして、配下に指示を送る。


「モーガン! 右前面が死霊兵に押されている。お前は傭兵団を率いてそちらに向かえ!」

「了解! 直ちに右前面の増援に向かいます!」


 ゼクスの命を受けたモーガンが向かった先では、骸骨大戦士が騎士団兵を圧倒していた。騎士団兵も「くそったれ!」や「砕け散れ!」といった怒号を浴びせて1体に複数人で攻撃を加えている。


「一旦後退しろ! 小隊ごとに纏まるんだ!」


 モーガンは混乱している部隊を再編するため、騎士団兵を後ろに下げ、小隊ごとに再編させた。そして、死霊兵に対して斧やメイスといった打撃武器を中心に当たるように指示を出した。剣や槍、矢が効きにくいスケルトンは打撃武器には弱い。傭兵団は打撃武器を中心に持っており、傭兵団の参戦によって徐々に死霊兵を押し返し始めた。


 死霊兵が押し戻され始めたのを見たユウキは、再び召喚魔法を使って、死霊兵を召喚した。しかし、魔力の減少により、呼び出される死霊兵の数は少ない。しかし、それでも、再び騎士団を襲撃し始めた。


「ユウキ、大丈夫?」


 魔力を大量に消費する召喚魔法を2度も使ったユウキは、魔力をほとんど失い、その場にへたり込んでいた。カロリーナが心配そうに呼び掛ける。


「うう、少し…、休めば魔力は回復する。カロリーナ…、少しだけ、休ませて」

 そう言ってユウキは倒れてしまい、カロリーナはユウキを抱きかかえて休ませる事にした。マヤ、助さん、格さんとダスティンはユウキを囲んで、守りの体勢を取った。


 マクシミリアンは戦況の推移を見ている。高位の死霊兵は確かに強いが、連携が取れているとは言い難い。一方、騎士団兵や傭兵団は連携して1体また1体と倒して行く。


「よし…、少しずつだがこちら側が押し戻し始めた。もう少しだ、死霊兵の増援が出た時はどうなるかと思たが、数が少なくて助かった」

「召喚魔法は膨大な魔力を消費すると思われます。ましてやあの数、流石の魔女も魔力の枯渇を招いているのではないでしょうか」

 イングリッドの推測にマクシミリアンは頷くと、全軍に向け檄を飛ばした。


「これ以上の死霊兵の増援はない。全軍突撃! 魔物を押し切れ!」

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