中世ヨーロッパみたいな世界に転生した男
「ギャアアアアア!」
仕事から帰り飯を食べ風呂に入りベッドに入り寝る。
何事もない日常を過ごしていたはずなのに起きたら暗くて生暖かいものに囲まれた場所に居た。
そして、いきなりその生暖かいものが体を押し出し始めやたら狭い出口から強引に押し出そうとしていた。当然頭が引っかかり猛烈な痛みが俺を襲ってくる。あまりの痛みに叫んでいるといきなり目の前が明るくなった。
しばらく叫んでいたが痛みも治まってきて周りを見る余裕が出てきた。だが、なぜだか目が見えにくい。耳も聞こえにくくなっている。俺は一体どうなっているんだ、、、再び生暖かいものに包まれているうちに眠気が襲ってきた。夢なら覚めてほしいと思いながら俺は意識を失った。
結論から言おう。俺は転生をしたらしい。
目が覚めていきなり目の前に薄汚れたやたらデカイ白人がいると思ったらそれが俺の両親だった。
とりあえず定番通り赤ん坊のふりをして過ごそう。
服装とかからしてあまり文明レベルは高くないようだ、大体中世ヨーロッパみたいな感じだろうか。
しかし最近流行ってる小説みたいな事が俺の身に起きるなんて。
やっぱ魔法とかあるんだろうか?もしあれば俺が持ってる現代知識と合わせて無双ができる!
まあ無くても俺の知識を使えば楽しい生活が送れそうだ。
そのためにはまず両親に俺が天才だと言うことを理解されないとな。
どうも聞いているとスペイン語にそっくりの言語を使っているようだ。
大学の必修で取った外国語がこんなところで役に立つなんて。これなら俺でも喋れる。
だがあまり早く喋りすぎてネグレクトされたらたまらない。
ネット小説をいっぱい読んでいる俺は知っているんだ。
とりあえず2歳位までだーだー言って3歳位から少しずつ喋ろう。
あれから8年経った。俺は死んだ。
農作業の効率化をしようと千歯扱きを作ろうとしたら悪魔憑きだと言われそのまま村を追放されたのだ。
日本人時代の価値観が取れずにここで信じられているキリスト教っぽい宗教をあまり熱心に信じてなかったのも状況を悪化させた。
本気で信仰心を持っている人しかいない中で装っては見たものの一人だけ浮いてしまっていたのだ。
両親も俺が次男だったせいで庇ってくれることもなかった。むしろ食い扶持が減って助かると言われた。
中世に8歳で家、村という共同体を放逐されれば待っているのは死だけだ。
まさその通り普通に飢えて俺は死んだ。
まあそらそうやね。