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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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生贄の少女と悪魔

作者: *bank*

 ふふん。

 俺が村近くの森に居着いて数日、中々に物分りのいい村人どもは生贄を寄越してきやがった。

 それもまだ幼いガキだ。見た感じそうだなぁ……十にも届いてなさそうだな!


 「……」


 しっかし、悪魔であるこの俺を前にして泣きもしねえし命乞いもしねえなんざ気に食わねえな。

 俺もまだ生まれてからちょっとしか経ってねえから人間のことなんざよく分からねえが、普通こういう死にそうな時ってのは鼻水垂らしながら泣き叫んで命乞いするもんじゃねえのか? 俺はてっきりそんな姿になると思ってたんだけどな。

 やっぱりガキってのは悪魔がどれほど恐ろしいかを知らねえから命乞いしなきゃなんて発想が浮かんでこねえのか? だったら、泣き叫びもしねえでボーッとつっ立ってんのも納得だぜ。自分がこれから食われるなんざ微塵も思ってなさそうだもんな、この汚ねえガキ。


 ……だとしたら面白くねえ。

 俺はこれから自分が食われるって分かってる奴が必死に命乞いをしてくるのを眺めてから食いたいんだ。

 こんな何も分かってないガキを食ったって俺の悪魔生最初の食事は全然満足しねえぜ。

 ほれ、とっとと帰って親にでも悪魔の恐怖を教えてきてもらえ。

 そんで夜も眠れないほど恐くなってからもう一度来い。そうしたら泣き叫んでる顔を眺めながら食らってやるよ。

 ほらほら帰った帰った……なんだ手なんて出してきやがって。握手はし……ね……―――



 ―――お、おお……うおおおおおお!?



 な、なんだこのガキ!? 汚ねえ手で何をしやがった!? 体がどんどん吸い込まれてくぞ!

 おおおお……ッ! こちとらまだ悪行をやってねえ真っ白な悪魔だぞ? このまま殺されちまったらあっちの世界で後から来た奴らに馬鹿にされちまうだろうが!

 ぐぬぬ! 絶対に吸い込まれてたまる……―――うああああ!!






 ◆






 「あ、帰ってきた」


 「ってーことは、悪魔は居なくなったってことか」


 「はー良かった。あんな恐ろしい悪魔が住み着いてたんじゃおちおち山菜採りにも行けなかったよ」


 「さーて仕事の続きすっかぁ!」


 「俺は飯でも食うかねえ」


 森に居着いていた最強最悪の恐怖の悪魔を吸収したガキが帰ってきたってのに村人どもはいつも通りの生活を送ってやがった。

 俺の想像だと村の数少ないガキを生贄に出してしまって村全体が重苦しい空気の中、ガキの親が泣きながら蹲ってるとかじゃねえのかよ。こんなにあっさりとした雰囲気でいいのか? ガキも何も言わねえし。

 お、家に向かってるのか? こりゃあもしかして親が他の奴等に気を使わせねえよう外では明るく振舞って家の中で泣いてる感じだな。そうだよな、生贄が出されたってのにこんなに村が明るいはずがねえ。このガキの親に気を遣ってあんな雰囲気だったんだな。

 さーて、どんな重い空気が家の中にあるのか見ものだぜ!






 「……ただいま。パパ、ママ」


 人形に挨拶してんじゃねえよ!!

 なんでこのボロボロの村の端にある家には親が居ねえんだ! 普通自分の娘が生贄に出されたら仕事なんかほっぽりだして家の中で泣いて落ち込んでろよぉ!

 というか、なんだって? 人形がパパとママ? 頭おかしいのかこのガキ……。


 って、おいおい。飯も食わねえで寝るのかよ? ……あ、目を閉じちまった。

 これじゃあ俺も何も見えなくなったじゃねえか。ったく、コイツは体の中に俺を取り入れてるって自覚はあるのかね。


 いや、ねえだろうな。どうせこのガキの頭の中じゃ俺様を喰ったとでも思ってるだろうし。

 消えてく時とかまるで死んでいくようだったし……そりゃそう勘違いもするよな。俺も殺されちまうもんだと思って焦って……ねえけど、うん。焦ってねえけど。

 ま、ガキ自身は吸収する体質だなんて気づいてねえみたいだけどな。


 『ヴぉヴぉヴぉヴぉヴぉ……』


 『あヴぇあヴぇ、ヴぇヴぇ』


 『ぇっぁお……』


 だから、こんな気持ちのわりい悪霊みたいな奴等も取り込んじまってるわけだし。

 一体、二体……沢山いるな。

 こりゃあ入れ物になってるこのガキの体の方にも影響が出てきてもおかしくねえな。どいつもこいつも単体じゃそれほど強くねえが数が集まりすぎてる。取り込んだ側がやられるなんて可能性も十分あるぜこりゃ。

 まあ、俺としても偶然見つけた腹の減らねえ居場所をみすみす壊されちゃたまらねえからな。

 これからよろしく頼むぜ、先輩ども―――。






 ◆






 「あー! 化物が起きてきたー! 気をつけろー!」


 「あんまり見ちゃダメよ。呪いが感染っちゃうわ」


 「いけー! やっつけろー!」


 「……ッ!」


 お、石なんて投げてきやがったぞあのバカ共。

 こっちも行け、ガキ。やっつけてやれ!


 「あは、ははは……」


 な、何笑ってんだコイツ。

 石投げられてんだぞ? どこに笑うところがあるんだよ。

 人形のことパパとかママとか言ったりしておかしいとは思ってたけど、やっぱりこのガキは頭おかしいんじゃねえのか……。


 「うわー! 化物が笑ったぞー! 早くやっつけろー!」


 「やれやれー!」


 うおおおお!? めちゃくちゃ投げてきてんじゃねえか! やっぱりバカガキってのは加減ってやつを知らねえぜ。

 ほらこっちも投げ返してやろうぜ! 悪魔がやられっぱなしなんて許せるかよ!

 って、おいおい。血が流れてんじゃねえか。

 今の石でデコでも切ったか?


 「あは、あはは、ははは……」


 うわぁ……。

 コイツ、血流して笑ってるよ。悪魔でも恐いぜ。

 見てみろよ、石投げてたバカ共も引いて逃げてったぞ。


 「はは……」






 「触らないで!」


 「いた……ッ」


 おいおい、折角転んだバカに手助けしてやろうとしてたってのに何だその反応。

 いいか? こっちだって感謝されようと思って手を差し伸べたわけじゃねえ。ただの気まぐれだ。目の前で転んだバカを放置して歩き去るなんざ後味が悪いからな。仕方なく手を差し伸べてやったってのによぉ! ……と、俺は思ってるわけだけど、このガキが何を思って手を差し伸べたかは知らねえ。

 ったく、この親にしてこのバカありって感じだな。折角起きるのを手助けしようとしたってのに親の後ろに隠れてバカ顔をよりバカそうにしてこっちに舌出して侮辱してきやがる。

 おいガキ。あのバカの顔面を殴っちまえ!


 「あんたのその変な呪いがこの子に感染ったらどうするの!?」


 「……ごめん、なさい」


 「まったく!」


 「やーい、ばーか」


 あのバカガキ、覚えてろよ。今夜、夢の中に出ておねしょさせてやるわ!

 しかし、呪いねぇ……。ま、こんな魔物みたいな手をしてたらそう思われるわな。

 ぜんっぜんガキらしくねえ手だもんな! 刺は生えてるし肘から先は紫色だし! あの変な奴等の影響が出てきてるな。

 前までは背中が変な色に変わるとかだったから触っても何も言われなかったのにな? ったく、手が変わったくらいでこれかよ。顔にも何か影響が出てきたら殺されでもするんじゃねーの?

 まあ、そうなったら村人全員食っちまうか! 俺を外に出してな。


 「……ッ」


 おいおい、泣くなよ……。






 お、なんだ? 今日は家の掃除でもするのか? だったら窓開けねえとゴミが舞うぞ……って、壊れてて開かないんだったな。

 おーおー、いい働きっぷりだぜ。どうせ外に出ても石投げられるか悪口言われるかなんだ。毎日掃除してたほうがいいんじゃねえか?

 うわっ! めちゃくちゃ汚ねえな。水浴びしないお前といい勝負してるぜ。


 「パパ、ママ……」


 そういやその人形も洗うなりしろよ、汚れて汚ねえぞ。

 ああおい。大事そうに抱えるのは良いけどお前も汚れちまうぞ……って元々汚かったな。

 ……いい加減その辺に置いて掃除再開しろよ。抱きしめすぎだろ。まだ拭いたりするところ沢山あるじゃねえか。

 どうせ誰かが訪ねてくる事もねーだろうけどよ、自分の住処ぐらい綺麗に保つもんだぜ。俺も掃除を頑張ってかなり快適な空間にしていってるからな。

 ほら掃除再開するぞ。抱きしめてたってお前のパパとママは喋ってくれねーし抱きしめ返してもくれねーんだからよ。さっさと掃除終わらせてバカな村人どもを殴りに行こうぜ!


 「……ひぐっ」


 ……泣くなよ。また床が汚れるじゃねえか。






 よーし、今日も無事に山菜が採れたな! ガキのくせによく見つけれるもんだぜ。俺が居なくなって嬉々として採ってるバカどもに見つからねえよう隠れながらだってのに……お前は良い場所を見つけたな!

 しかも今日は山菜だけじゃなくてこっそり仕掛けてた罠にかかってたウサギ肉もあるんだ。パーっと行こうぜ! 肉と山菜のパーティーだ! これで人間も付いてれば最高なんだが今は食えねえしなぁ。

 ま、折角のご馳走だ。いつもみたいにつまらなそうに食うんじゃなくて楽しんで食えや。


 「え……?」


 お? 殺しといたウサギが居なくなってるな。生き返りでもして逃げ出したか? いや、オンボロで壊れそうだけど形だけは家の建造物の中に置いといたんだ。逃げ出せるわけねえ。

 ということは……盗まれたな!

 なんだなんだアイツら。呪いとか化け物とか言っといてコイツが良い物食べようとしてたら自分が持って行くのかよ。しかも勝手に入って取ってくなんざ泥棒だぜ、おい。

 よっしゃ! 盗んだ奴とついでに村人全員殴りに行こうぜ!


 「……」


 なんだよ、また何もせずにやられっぱなしかよ。ちょっとはやり返そうぜ! この俺を取り込んだ奴がなーに静かに暮らしてんだよ。

 やってる事だけ考えりゃあのバカどもも悪霊とか悪魔と同じだぜ? その体質で全員吸い込んじまおうぜ! それでこの村をお前だけの村にするか!


 「……いいんだ。これでいいんだよ」


 ……急に一人で喋り出しやがった。

 怪我して笑ったり人形を親代わりにするだけじゃなく今度は誰もいない場所で一人で喋りだすのかよ。このガキ、恐ろしいぜ……。

 しかも笑ってるよなコイツ。今までのどこに笑うところがあるんだよ。


 「私は、要らない子だから……。我慢してれば、みんなに捨てられないから。笑ってれば、殺されたりしないから。みんなに嫌われたら、村から出されるから。……みんなに従ってたら、大丈夫だから。―――良い子にしてたら、パパとママもきっと……帰ってくるからッ」


 いや、帰ってこねーだろ。

 何をどう考えたら死んだパパとママが帰ってくるんだよバカ。何がどうなってパパとママが死んだかは知らねーけど外にある小さい二つの石は墓みたいな物だろ? お前、チラチラ見てるもんな。

 いくら人形の事をパパとママと思って接しても本物はもう居ねえ。諦めろ。叶わねえ望みを持ったって苦しくなるだけだぜ。

 しっかしなんで石投げられて笑ってるのかと思ってたけどそういう事だったのか。ガキの思考ってのはよく分かんねえな。

 ま、分かる必要もねーけどな。俺にとっちゃこの体は腹が減らねえ住処みたいな物だからなー。何を考えてどうしてようが関係ない。


 「みんなのために……頑張らないと」


 おう。勝手に一人で頑張ってくれ。






 「大変だー! 魔物が攻めてきたぞー!」


 「うわーん! ママー!」


 「おい、大事な物だけ持って早く逃げるぞ!」


 「うわあああ! もう近くまで来てるぞー!」


 「どうすんだよ村長! このままじゃ沢山の奴等が殺されちまうぞ!?」


 「うぬぬ……。ならば……―――」




 ―――ふあああ。

 あー、めちゃくちゃ寝たぜ。

 腹が減らねーって言っても暇な場所には違いないからな。此処でやれる事なんて寝るか独り言話すくらいだからつまんないぜ。ま、ガキの生活見てれば多少は暇つぶしになるからいいか。

 さてさて、今日は何をしてるんだろうな。


 「痛い、痛いよ……ッ!」


 「いいか!? 俺たちが全員逃げ切るまでの時間をしっかり稼げよ!」


 お、なんだこの状況。

 ガキの手足が縛られてて所々から血を流してるって感じか? 随分と可哀想な格好してるじゃねえか。今までで一番ひでえんじゃねーか?

 というか、おいバカ村人。お前、一応大人ならこのガキの拘束解いてやれよ。俺は拘束されてる人間を食うなんていう下劣な事はしたくないし他の奴等がそれをするのも認めない。

 ほれ、外してやれ……って、何だよその顔は。なんでそんな怒ったような顔でガキのこと見てんだ?


 「お前には悪魔を食べる力があるんだ! その力で今此処に向かってきてる魔物どもを食べて逃げる時間を稼げ! お前がこっちに逃げてきたら無理やりにでも戦わせるからな! じゃあ、わかったな!?」


 あ、おい。走って行くなよ。

 アイツ本当のバカじゃねえのか? 手足縛られて怪我してる奴がどうやって魔物と戦うんだよ。精々、餌になるくらいだろ。

 まあ、わざわざ怪我させて血を流させてる辺りそれが狙いなんだろうけどな。

 しっかしお前ってやつは本当に運がねえなー。親は死んじまうし村人どもには気味悪がられて嫌われるし、体には取り込んだ気持ち悪いやつらの影響が出てたし時間稼ぎの餌にされるし……―――本当、面白い人生送ってるな!

 まだちょっとしか生きてねーのにこんな濃密な人生送るなんてそうそうないと思うぜ? 良かったな、あの世に行ったら周りのやつらに自慢できるぜ!


 「ひぐっ……ひぅ」


 あーあー、鼻水垂らして泣き出しやがって。

 俺と対面してた時はどっちも流してなかったじゃねえかよ。なんだ、最強最悪である俺よりも今こっちに歩いてきてる雑魚魔物の方が恐いって言いてえのか?

 ほら、見てみろよ。あんな小さい魔物のどこが怖いんだよ。持ってる棍棒だってその辺のガキ殺すくらいにしか役に立たねーよ……ああ、お前ガキだったな。


 ま、どうせお前が生きてたって何も良い事ねーんだ。此処で死んでも何も変わらねーだろ。

 お前が此処で死んで、逃げてった村人どももお前を食えなかった残りのやつらが探しに行って皆殺しさ。な? お前が死んでも意味なんかねーんだよ。

 バカどもの遊びで死ぬか不衛生な生活で死ぬか……それが魔物に食われて死ぬに変わっただけじゃねーか、気にすんな。

 お? 見てみろよ涎垂らして近づいて、あっおい、目をつぶるな。見えなくなっただろ。

 自分の視界から魔物を隠して助かるわけじゃねーんだから最期の瞬間くらい相手の顔を見て死のうぜ。来世で殺した奴を殺し返すためにな!


 「やだ……やだよッ」


 なんだよ、今さら命が恋しくなったか? だったら残念だったな。日頃から自分を大切にしてねー奴はいざって時に生きたいなんて思っても遅いんだよ。

 自分が我慢してれば生きられるなんて思ってたお前じゃ尚更な! どうせこの状況も従わないと捨てられるなんて思ってやられたんだろ? ったく、従って捨てられるなら従わずに捨てられたほうがマシだっただろ。

 これで少しは考えが改まったか?


 ……まあ、俺の声が聞こえないお前にいくら言っても意味ねーんだけどな。

 さーて、足音から考えてもう近くに来てると思うんだけどガキはこの状況でも最後には笑ったりすんのかな? それともボロ家に置かれてるお人形のパパとママを呼ぶのかな? 多分パパとママは家ごと焼かれて無くなってると思うけどな。魔物ども、しっかりと家を燃やして行ってる音がするしな。

 で、このガキは最期に一体どんな事をするのか……。


 「……お願いします、女神様」


 おいおい、神頼みってやつかよ! お前がここまで不幸になってるのに助けてくれなかった女神に救けてくれって願うのか?


 「精霊でも、魔神でも……―――悪魔でもいい」


 ん……?


 「生きたい、なんて、言わないから……」


 じゃあ何を―――




 「―――幸せを、知りたい……ッ」


 へえ。






 ―――よう、魔物。この棍棒で何をしたかったんだ?






 ◆






 掴んだ頭を握りつぶし、残った体で他の魔物を殴り飛ばす。

 魔物から血が吹き出て地面が真っ赤に染まってるが関係ねえ。もう此処にはガキと俺しか居ねえんだ。

 元々此処に住んでたバカどもがどう思うかなんて知らね。

 ほら、立てよガキ。今から大事な話をするんだからよ。


 「……あの時の、悪魔?」


 おう、あの時の最強最悪の悪魔だぜ。

 随分と雰囲気変わったろ? 特に格好良さとかが格段に上がったよな。ま、お前の中にいた気持ち悪い奴らを全員喰らったからなんだけど、どうよ? 格好良すぎて泣き喚いてもいいぜ!


 「なんでここに……?」


 んだよ、面白くねえな。成長した俺に少しはビビってくれよ。

 ま、いいや。質問に答えてやるよ。

 理由は簡単だ。俺はずっとお前の中に入っていて、今さっきお前が言った願いを叶えてやるために出てきたってわけよ。


 「ね、願いって―――」


 ああ、そうだ! お前が口にしたあの願い!

 死に際に何を言うのかと思ったら生きたいでもなく救かりたいでもなく、幸せを知りたいなんていうふざけた願いを言いやがって! ……面白いと思ったよ。

 だからよ、お前の願いを叶えるのは他の奴等で忙しい女神でもなければ精霊でも魔神でもない。

 この俺、悪魔との契約によって叶えてやる!


 「悪魔との、契約……?」


 おう。悪魔は気に入った人間と契約を結ぶことができる。

 だから、その契約を使ってお前の願い―――幸せを知りたいっていうのを叶えてやるのさ。

 安心しな。悪魔は契約を守るからな。

 で、どうする? 契約を結ぶのか、結ばないのか。俺はどっちだっていいぜ。


 「もし、契約を結んだら、どうなるの」


 そりゃーお前の願いを叶えるために力を貸してやるよ。

 此処から出たいってんなら協力するしこの村で知っていくってんならそれも協力する。ま、お前の自由だな。


 「……」


 ほら、言ってみろ。

 どんな答えだって許してやるよ。


 「……契約を、結ぶよ」


 ……よし! じゃあ、右手を出しな。

 そうそう、それでいい。どうせもう血は出てるしな。そんな不安そうな顔すんなよ。ただの契約の儀式なんだからよ。

 悪魔と契約するには契約者の血と悪魔の血を指先で合わせる必要があるんだ。ま、サラッと終わるし気にすんな。

 ……ほら、これで終わりだ。簡単だっただろ?

 じゃあ、怪我を治してさっさとこれからの事決めようぜ。


 「待って。名前を、教えて」


 ん? ああ。まだ教えてなかったか。

 俺の名前は……って、真名を教えるわけにはいかねえよ! 悪魔ってのは真名教えたら隷属しちまうのと同じようになっちまう。悪いが仮の名前で呼んでもらう事になるな。

 うーん、仮の名前か。まあ、そんなに悩むものでもないしな……―――よし、キアクとかでいいぜ!

 別に呼びにくかったら適当に変えてもいいけどな。俺はお前の事ガキって呼ぶし!


 「私の名前は―――」


 いいんだよ、お前の名前は。

 わざわざ名前呼んで昔のこと思い出しても面倒くせえしな! どうせなら新しい名前で再出発と行こうぜ!


 「ガキって……」


 小さいこと気にすんなよ!

 折角、この俺が契約してやったんだからでっけえ人間になろうぜ。


 ……ま、なんだ。俺も幸せが何かなんて知らねえしこれから一緒に探していこうぜ、ガキ。


 「―――うん。よろしくね、キアク」




 あ、そういや悪魔に何か望むときは代償が必要だったんだ。

 まあそんなに重く考えなくていいぜ。俺は最強最悪の悪魔だ。そんなに恐ろしい物は要求しねえよ。

 そうだな……お前の要求に見合う物って言ったら……―――お前の命だな、うん。

 って事で、これからよろしく頼むぜ、ガキ。






 ◆





 『―――キシャアアアアアア!!』


 よーし! 冒険者になって最初の獲物にしちゃあ中々だな、ガキ!

 とっとと殺っちまおうぜ!


 「うん。頑張るね」


 って、おいおい! 剣はもっと踏み込んでから振るもんじゃねえのか!? 全然力入ってねえぞ!



 ◆



 「―――ねえ、貴女。もしよかったら私たちとパーティー組まない? 丁度一人抜けちゃって探してたところなのよ」


 「え、でも……」


 「数合わせみたいなものだから、ね? 一度だけ一緒に冒険してみて合わなかったら断ってもいいから」


 いいんじゃねえか? 幸せってやつを知るには他の人間と関わってみるのも大切だろ。

 他の奴等の価値観とかも知ってて損はねーだろうし。

 ま、勉強って事で行ってみようぜ。


 「う、うん……」




 「あああああ! 貴女とっても良いわぁ! このもちもちの肌に幼い顔立ち。冒険者になるには年齢制限があるけど貴女きっと嘘を吐いてなってるわね! うふふ。良いのよ。言ったりしないから。ただ、私たちがちょーっと楽しいことさせてもらうだけだから、ね?」


 後ろの男どもも興奮してんなー。

 コイツ等、こんなガキにも興奮するような奴等だったのか。

 おいガキ、コイツ等の価値観は幸せってやつの参考になるかはちょっと疑問だな。

 って、コラ。震えてんじゃねえ。

 折角この俺が契約してやってるってのにその契約者であるお前がこんな奴等にビビってどうすんだよ。もっと自信持ってドーンと構えてろ。

 最後にはお前が勝つんだからよ!


 「……うん、そうだよ、ね」


 「あら? 今何て言ったのかしら? よく聞こえなかったわ」


 「ごめんなさい、お姉さん。痛くしちゃかも……」


 「え?」



 ◆



 「―――見てくださいよ、彼女たちの美しい姿を!」


 なんだコイツ。

 内蔵なんて並べやがって。依頼人だとしても気持ち悪い野郎だな。

 悪魔の俺でもこんな趣味はねえな。人間なんざ一口で食べるのが美味いと思ってるからな、内蔵なんて興味ねえ!

 ん、なんだガキ。下なんて向いて……ああ、気持ち悪くて吐きそうなのか。ま、我慢しな。ここで吐いたりなんてしたら流石に失礼だからな。

 けど、無理やり何かしようとして来たら殴ろう!


 「おや? 感動のあまり声も出ませんか。やっぱり貴女は理解ある人だ。指名依頼を出して正解だった。……きっと貴女なら彼女たちにも引けをとりませんよ!」


 おーおー、狂ったような眼をしやがって。村にいた頃のガキとそっくりだ。


 「貴女は美しい! だからこそ、その美しさを永遠に保つ必要がある。安心して彼女たちと同じように私に貴女の体の一部をください。きっと美しい姿のまま保存してあげますから! ……ああ、きっと真っ赤に染まった貴女の体の中は美しいんだろうな。―――早く見てみたい!」


 アイツ、ちょっとばかし危ないかもしれないな。

 ……ちょっと右の方を見てみな。あそこにある木箱から悪魔的には美味そうな気を感じるぜ。多分、内蔵取られた女どもの死体とかが入ってるんだろうな。あんまり向こうは見ないようにしろよ?


 「さあ、貴女の中で最も美しい部分を教えてください!」


 メガネかけたヒョロガリだ。すぐさまぶっ飛ばしてやろうぜ!




 「あ、ああ……。どうして、分かってくれないんですか。私は、美しいものを、守りたいだけなのに……」


 「ごめんなさい。私にはその考えはよく分からないんです。守るために好きな人を殺すなんて……分からないんです」


 悪かったなメガネ。

 わざわざ変な薬飲んで怪物にまでなったってのにお前の考えは伝わらなかったみてーだ。ま、お前がその内蔵どもに囲まれてる時が幸せって思うのは勝手だがそれにコイツを巻き込まないでやってくれや。

 コイツはこいつで幸せを知る旅の真っ最中だからよ。他人の我が儘に巻き込まれるのは勘弁だ。


 「それじゃあ失礼します。……後で騎士の人達が来ると思います」


 食いもしねーのに人間を殺したことしっかり反省するんだな!


 「う……ぐぅ……」



 ◆



 おお、でけえ教会だな! 女神像もすげえ細かく作られてるし見事なものだぜ!

 見てみろよ、祈りを捧げてるやつらも沢山いるぜ。今アイツ等の前に俺が出たら気絶しちまうかもな!


 「ダメだよ、キアク」


 んだよ、分かってるよ。

 お前が注意する時は本気で言ってるもんな。ちゃんと従うよ。……お、あれって此処の教会の神父じゃねえか? ほら、信者に何か話しかけてる。どうせ女神さまはあなた達を見ていますよ、とかだろうなー。本当に見てるかは怪しいけど。

 ま、そう言ってもらうだけで信者の心は軽くなってるんだから良い事には変わりねえか。悪魔的には良くねーけど。


 「あの人が悪いことしてるって……本当かな?」


 さあ、俺は知らねーな。

 女神に仕える聖職者が裏でどんな事してようが悪魔にとっちゃ関係ねえ。どっちにしたって俺には良い事ねーしな。

 それに酔っぱらいどもが言ってたことだからな。あんまり信用しても意味ねえんじゃねえか?


 「でも、人を助ける人が悪いことをしてるなんてダメだと思うから……」


 ……ま、お前の好きにしな。どんな事をするにしても俺は従うしよ。

 精々、変な事に巻き込まれないよう気をつけな、ガキ。


 「もうガキじゃない」


 ハッハッハ! 十四なんざまだまだガキだよ!




 「ぐぬおおおお!! 何故、こんな事にィ!?」


 おいおい、血だらけで叫んだりするなよ。周りに飛び散ってるぞ。

 ほーらお前の大好きな金にも血がついてる。後で拭くのが大変になるぞー。ま、拭ける未来があるかは知らないけどな。


 「町の子供たちが教えてくれた。神父はとっても怖くて秘密基地を持ってるって」


 案外ガキどもの言ってる事も信じてみるもんだな。おかげで丁度取引してる現場に突入する事が出来たわけだし。

 ほらほら、悪い奴らはその辺で座ってるなりしときな。変なことしようとしたら動けなくなっちゃうぜ?


 「く、くそがァ!! ……お前ら何やってる! さっさとこの女を捕まえろ! 新しい商品に出来るだろ!?」


 ああ、もう。折角、五体満足で衛兵に突き出してやろうとしてたのに、これじゃどんな状態で捕まるか分かったもんじゃねえぞ。

 こっちのガキは結構強いってのに……。


 「キアク、後ろから来てるのはお願い」


 あと、悪魔使いも荒いんだ。




 ―――さあ、神の裁きならぬ悪魔の裁きを受けなバカども!



 ◆



 「な、ななな……! 君、その後ろのは一体何!?」


 「え?」


 なんだ? 悪魔が久しぶりに外でのんびりしてるって時に大声上げやがって。迷惑ってやつを知らねーのか。

 ……へー、結構整った顔立ちしてるじゃねえか。腰に佩いた剣も随分と立派な物だしよ。強いぜコイツ。

 ま、顔の整いようでいったらうちのガキも中々のもんだけどな!


 「うるさいキアク。……貴女は?」


 「ぼ、ボクは勇者! 魔王を倒すために旅をしてる!」


 「勇者……。仲間は?」


 「うぐっ。て、敵の罠にかかって、転移を……」


 全員バラバラになっちまったってわけか。なるほどなー。

 うちのガキよりもガキな女が一人で何してるんだと思ったけどそうか、勇者か。強いわけだ!


 「そ、それよりその後ろのは!」


 「うん。多分分かってると思うけど……」


 おう! 泣く子も黙る最強最悪の悪魔だぜ! よろしくな小さい勇者さまよー!


 「あ、悪魔……」


 「そう。私が契約して―――ッ!!」


 うおお!? このバカ、急に何しやがる!?


 「悪魔は、敵だッ!!」


 ……こりゃ、何も聞こえてなさそうだ。




 「うるさいうるさいうるさい!! 悪魔に良い悪魔なんているわけない!」


 「私もそう思ってる! けど、キアクは違うから! この悪魔はちょっとバカでうるさいけど他の悪魔とは違う!」


 おいガキ! 誰がバカだ! 俺が居ねーと死んでた場面だって何回もあったってのに、命の恩人になんて言い方だ!

 うおっと、危ねえ! このバカ勇者、本気で殺しにかかってきてるな。


 「悪魔はみんな殺さないといけないんだ。悪魔は悪い奴だから……。ボクが殺していれば母さんも父さんも妹も……ッ!」


 コイツは、ちょっとしたピンチじゃねえか!?


 「キアク、私の中に! アレをしよう!」


 マジかよ!? 今の状況でしたら余計にややこしい事になるぞ!


 「殺されるよりはマシだよ……!」


 まあ、そりゃそうだけど……。

 ―――仕方ねえか!


 「ッ!? 悪魔が消えて……いや、君の中に入ったんだね!」


 「正解」


 「やっぱり君も悪魔と同じで敵なんだね!? 今此処で殺しておかないと何処かで誰かが傷ついちゃう……!」


 「ごめんね。きっとそれは出来ないと思う」


 「何を言って……」


 「だって―――私とキアクが一つになったから」


 どうよ。この顔の模様、やっぱりカッコイイだろ?

 あの頃の気持ち悪い奴らと違って最強最悪の悪魔である俺から受ける影響ってのはやっぱり格段に違うなあ!


 「君も悪魔なのか!」


 「今の貴女には私の声は届かない。だから、落ち着いてからゆっくりと話をしよう」


 「うああああ!! ―――ッ!!」


 「おやすみ」


 おいおい……。悪魔の力を纏っての掌打って……お前も中々にひどいことするな。

 いくら勇者でもこれはキツイと思うぞ。


 「仕方ない。こうでもしないと止まらなかったから」


 「―――ええ、本当に仕方ないですね。」


 「ッ!?」


 ん? 誰だ。


 「勇者が気を失っているところに私が偶然来て殺してしまったとしても仕方ないですよね。だって、これが勇者の運命だったのですから……」


 「貴方は?」


 なんだよコイツ。結構紳士的な格好しやがって。それで俺の格好良さに勝ったつもりか? ふん! 俺のほうがもっとカッコイイわ!


 「どうも初めましてお嬢さん。私、魔王様の下で四天王を務めている西の悪魔でございます。真名は言えないためあだ名で答えさせていただきました。貴女を殺した者の名として、どうぞ―――あの世へで自慢してください」




 よう、目が覚めたか。


 「ッ!! 悪魔!」


 まあまあ、落ち着けって。今はこっちで争ってる場合じゃないだろ。剣なんて構えずに見てみろよ。


 「何を……―――ッ!?」


 分かったか? 今、俺たちは悪魔に襲われてる。それも結構強い奴だ。

 ちょっとでも気を抜いたらすぐにあの世に行かされちまう程のな。


 「だ、だったらどうしてあの人だけを戦わせてるの!? 君も一緒に戦ってあげれば……」


 だったらお前が狙われちまうだろ。

 ……ガキから頼まれたんだ。お前が目覚めるまで守ってやれってな。

 ま、俺はアイツと契約してるから頼まれたら引き受けないわけにはいかねえ。どうせ相手にするのは本体よりも弱い分身体だったからな。案外、楽だったぜ。


 「……倒したの?」


 おう。木っ端微塵にしてやったぜ。


 「だったら、どうしてあの人を救けに行かないの。あの人は仲間じゃないの!? やっぱり悪魔だから人間の事なんてどうでもいいの!?」


 仲間じゃねえ。アイツは俺の契約者だ。

 それとな……俺はアイツをどうでもいいなんて思ってねえ。ただ、俺がお前の所から離れたらあのガキはお前を心配して戦いに集中できなくなっちまう。そっちの方が危ないだろ。

 俺もわざわざ命懸けの戦いに集中できてない奴を庇いながら戦う気なんてない。

 今俺が参加したらむしろ勝率が下がっちまうからな。これでいい。


 「う、嘘を吐くな! ボクを心配する理由があの人にはないだろ! 君はあの人が大切じゃないから―――」


 ……いいか、バカ。

 俺は悪魔だからよ。どんな事言われてもいいし襲われたって文句は一切ねえ。

 けどな、アイツは俺の契約者である前に一人の人間だ。お前にどんな過去があって悪魔を恨んでるかは知らねーけど、アイツにだってちょっとした過去くらいある。人間らしくそれを思い出して苦しんだりもする。

 お前が眠ってる間にガキがお前を殺すくらいできたのにアイツはそれをしなかった。なんでか分かるか? お前を殺したくないって思ったからだよ。

 アイツが旅をする理由は、別に悪魔である俺と一緒に悪い事をするためじゃねえ。もっと別の理由があるんだ。……多分、ガキはお前にもそれを探してもらおうとしたんだ。

 俺のことバカって言ったくせにアイツも相当バカだろ? 自分を殺そうとしたやつを生かだなんてよ。


 ……ま、なんだ。お前が勇者だって言うなら俺はともかくアイツの事くらい人間特典ってやつで信じてやってくれねえか。

 アイツは俺にだって優しくするバカなやつだからよ。勇者ならバカな人間一人くらい世界を救うついでに救けてみろ。それで救けてみて本当に悪い奴だったら殺せ。俺が返り討ちにしてやる!


 「……悪魔が言ってる事を勇者のボクが信じれるわけないだろ」


 ああ、そうだな。俺だって悪魔の言ってる事なんて信じねえ。


 「―――けど、あの人が言ってた事をちょっとは信じてみることにするよ。君がバカだって事とか」


 うぐっ。……そうかい。


 「ボクを殺さなかった理由や悪魔と契約した理由……色々と聞きたい事もある。疑ってはいるけど救けに行くよ。もし悪い悪魔に洗脳でもされてたら救けないといけないし……それに、血を流してまでボクを守ってくれている人を見捨てるなんて―――勇者じゃない」



 ―――ほらガキ、勇者との共闘だ! 俺の力使うか?






 ◆






 「おい、知ってるか。前言ってた東の大奴隷商が壊されたらしいぜ」


 「な、マジかよ!? 結構有名なところじゃなかったか? 用心棒も沢山いるとか……」


 「ああ。なんでも“悪魔使い”がやったらしい」




 勇者一行が魔王を斃すために旅をしている最中、冒険者の間では一人の女性の名が話題になっていた。

 暗赤色の髪に同色の瞳、腰には細身の剣を佩いたその女冒険者は、その見た目が美しい事も有名になった理由の一つではあるが、別にもう一つ人々を驚かせるのに十分な物を持っていた。

 それは、人が契約するにはあまりにも強すぎる悪魔。彼女は自分よりも大きなその悪魔と契約し共に戦うという。

 彼女の戦いを見た者の話では、悪魔に怯える様子もなくむしろ怒ったりするような場面もあったらしい。

 人間が悪魔と契約しその自我を保っているという話は過去にも例がない。

 昇級試験を受けないため名が知れ渡っているのに最低ランクである彼女は、噂では勇者の知り合いだという話もある。

 そのため記者などは彼女に詳しい話を聞こうと探しているのだが、彼女がいつ何処に居るかは誰にも分からない。






 ―――おいガキ。幸せってやつを知ることはできたか?


 「……もし知る事ができてたら?」


 ―――そりゃあ契約は終わるだろうな。


 「私の命を持っていくの?」


 ―――……いや、お前の命なんていらねーや。よく考えたら願いに対して高すぎるし不味そうだしな。ただ契約が終わってさよならするだけだ。


 「うーん……。じゃあ、まだ幸せが何か知らないかな」


 ―――じゃあって何だよ、じゃあって! お前もしかして知ってるんじゃねーのか!?


 「知らないよ。―――ほら、行こうキアク」


 ―――おい、何笑ってんだよ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 言葉がわかりやすくまとまってると思う。 節の切り方もその間や後が気になってくる良いやり方だと思います。 [一言] 幸せは人それぞれ、知らないからそれ幸せだと気づいていないか、幸せを知り続い…
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