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ロボットが人類のパートナーとなった世界で、私は人と人の恋愛を主張する。

2021年、ある法律が可決された。性交渉許可法。

性の乱れによる、伝統的家族の崩壊を危惧した与党は、野党の反対を押し切り性交渉許可法を可決させる。

それに対しロボット工学を代表する人々は、従来の恋愛を維持すべく立ち上がった。

人間との恋愛生殖が可能となるロボットを発表し、注目を集める。

人型恋愛ロボット、アダム。

人間との恋愛、人工精子生産機能により、対となる人間の出産も可能になる。

人型恋愛ロボット、イブ。

アダムと同じく人間との恋愛を目的とし、人工卵子と人工子宮の実現により、対となる人間の子供を出産する事が可能となった。

ロボットとの恋愛に最初は拒否感を覚えた人類だが、ロボットは性交渉許可法の対象外と言うこともあり、徐々にではあったがロボットは社会へ浸透していく。

人々は自身の好みにデザインされたロボットをパートナーとし、愛を育み、子孫を残していった。

2052年、人と人の恋愛は0,01%以下に廃れ、人類はロボットをパートナーにすることに選んだのだった。

しかし0,01%以下の人間は、人と人の恋愛を諦めきれない者もいたのだ。



「あー・・・幹久くんと結婚して、ラブラブイチャイチャしたいなー。何かいい案は無い?綾子」

「ラブラブイチャイチャなんて、いつの時代よ。て言うか、人間同士の恋愛を望む奇特な奴なんて、この国であんたくらいのものよ、柚子見」

学校の教室。柚子見と呼ばれた少女は、恋愛に対する文句とも付かないぼやきをし、クラスメイトの綾子は、それに応じると言う形だった。

「そもそも幹久くんは、ファーストラブメモリーズのキャラを元にしたロボットと、イチャラブのウッハウハじゃないの」

「私はね、幹久くんと将来を誓い合った仲なのよ。それなのになんで・・・」

「いつの話?」

「5歳くらい・・・・・・」

「そんな子供のころの話なんて、ノーカン。とっくのとうに時候よ!」

「そんにゃ~」

ガックリとうなだれる柚子見。そこに執事風の服装に、片眼鏡をかけた青年が駆け寄る。

「お嬢様、貴女には悲しみの顔は似合いません。どうか、いつもの太陽のように輝く、素敵な笑顔をお見せください」

執事風の青年は、柚子見の手をやさしく握る。

「ガブリエル、貴方はいつでも誰にでも、紳士だね・・・」

「恐縮です」

「て言うか、綾子。私と、ガブリエルがイチャイチャしてて・・・って、あんたは

そういう奴だったね」

柚子見とガブリエルのやり取りに綾子は顔を赤らめ、ハアハアと荒い息遣いを見せる。

「私だけじゃなく、全ての人間に愛を振りまけるガブリエル。そう、人類愛とでも言おう!人類全員を愛しながらも、私に対しても惜しみない愛を注いでくれる。最高のパートナーよ、ガブリエル」

「綾子様、私にはもったいないお言葉です」

「もう、綾子様じゃないでしょ!綾子よ、あ・や・こ!」

「あ・・・綾子・・・・・・」

「キャー!貴女の言葉に痺れ、蕩けちゃう!もう好きにして!!!」

「もう好きにしての結果が、そのお腹なのよね。予定日、再来月だっけ?」

綾子の、ふっくらと膨らんだお腹。愛する者同士の結晶を、彼女の体に身を宿していた。

「うん!ガブリエルと私の愛の結晶。あ、今私のお腹を蹴った!早く外に出せーって、思っているのかな?」

「かもね」

何でもないやり取りだが、柚子見の顔に笑みがこぼれる。

「お、少しは元気が出てきたんじゃない?あ、もうすぐ妊婦検診時間だ、じゃあねー柚子見」

「またね、綾子」


2021年に、性交渉許可法と人型恋愛ロボットが生まれてから、世界はガラリと変化した。

出産、受精を可能としたロボットの登場により、生殖技術も飛躍的に発展。これにより、同姓間での出産も可能に。

加えて、従来の恋愛に拒否感を持っていた人々も、ロボットと恋愛をし愛を育んだ。

結果、この国が陥っていた少子高齢化は劇的に改善され、今も人口は増え続けている。

「ロボットか・・・嫌いじゃないんだよ、嫌いじゃないんだ。けどね・・・ロボットが好きな人ばかりとは、かぎらないんだよ・・・・・・。あー、辛いわー」

教室の喧騒に、柚子見の溜息はかき消される


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