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バナナを食べよう

── 人間の里・繁華街


わいの! わいの!


魔理沙「相変わらず人が多いな。」


霊夢「多すぎるわね。パニックになるほどの異変が起きたのならもっと閑古鳥が鳴いていてもいいでしょうに。

ここの人間達は図太いというか、暢気ねぇ。」


阿求「…」



── 蕎麦屋


魔理沙「……ん? 誰もいないな。

……それにしても酷い有り様だぜ。

パニックのせいで物が散乱している。

蕎麦も食べかけのまま置かれているな。」


店主「お客さんかぃ?

悪いねぇ。今日はもう店閉めてんだ。」


華扇「えーーーーーーーッ!!!!!!!!」

ガガーン!!!


店主「店の食材が逃げたんだもんさ。蕎麦の麺から、蕎麦粉まで!

これじゃ仕事にならねぇ。他の飯屋もそうさ。」


魔理沙「いや……まぁそうだよな。」


華扇「うぐぐぐぐぐぐ……!」

ぐぎゅるるるる……


霊夢「……大変でしたね。一番の稼ぎ時に。」


店主「はっはっはっ! まぁ仕方ねえさ!

いつも捏ねたり茹でたりさせてもらってんだからな!

たまには食べ物様が暴れたっていいだろ! ブレーコーだよブレーコー!」

ニコヤカー


霊夢「…………はぁ」



── 外


霊夢「今の店主、仕事が出来なくなった割には楽観的ねぇ。」


魔理沙「楽観的というか……おかしいぜ。

あの店主だけじゃない。里の奴ら全員あまりにも暢気すぎる。

はじめこそは急に動き出した食べ物達に恐れを抱いていたようだが、今はどうだか……。

どうにも無警戒に見えるな。」


華扇「さっき店主が何気なく言っていた『食べ物様』というのも、なんだか妙な感じがするわね。」


阿求「……そのことですが……。

どうやら里の人達は食べ物の付喪神達を神格化しだしているようです。」


霊夢「な、なんですってーーー!!!!?」

ズズーン!!


阿求「……『食切運動』って知っていますか?

道教の仙人達が掲げた運動です。」


魔理沙「あ、あれか…………それがどうした?」


阿求「里の人達はその話に随分と関心を抱き、それ以後食べ物を必要以上に丁重に扱うようになっていたようです。

それでその、食べ物に対する『慈しみの心』が食べ物に神性を与え、付喪神化させたのでは……と。

多くの人達がそう思い込んでるみたいです。」


ズココーーーー!!


霊夢「何よそれーーーー!

そんな心がけ一つで神性がホイホイ宿るかーーっ!」

ガーッ!


阿求「でもそう思い込んじゃってるんですよ……みんな……。」

ぞ~ん……


魔理沙「……やっぱり流されやすいなぁ…………。」


小鈴「『食切運動』…………あれかぁ~。

確かに説得力のある、いい話だったと思いますけど……。」


霊夢「道教のやつらぁ………………ムムムムム……。……!

まさか……ねぇ。」


ゴォォォ……




遠くから人の声「わぁぁぁっ! 出たぞ~!

食べ物様だーーーっ!!」




ざわざわ!


霊夢「…今のは!」


魔理沙「付喪神が現れたんだ!」


華扇「向こうの商店街だわ!」


霊夢「……行くわよ!」

ダダッ! ギュンッッ!!



小鈴「あっ! 皆さん!」



霊夢「小鈴ちゃん、阿求、ありがとうね!

今日中にこの異変、解決するから!」

タタターッ!



しーん


小鈴「……三人とも行っちゃった。」


阿求「霊夢さん達なら後をまかせても大丈夫でしょう。

小鈴のトコで本でも読んで待っていようかしら。」


小鈴「あっ! それならまた本にサイン書いてよ。 アガサクリスQさん?」


阿求「ふふ……しょうがないわねぇ。

…………ん?」



コソコソコソコソッ……ササーッ…


《小鈴と阿求の横を謎の影が抜けて行き、霊夢達を追っていった……。》



小鈴「……あれ? …今の古くさい格好の人、見たことあるなぁ。

誰だったっけ……。」


阿求「…………今のは……」




── 商店街


ダダッ!

霊夢「どこ!? 付喪神はどこ!?」


人「ん? 食べ物様かい? それならほら、あそこ。」


霊夢達『!!!』



ババンッ!

バナナ「ギッ!?」

ビクッ……タターッ



霊夢「い、居た! 逃げた! 何今の!?」


魔理沙「あれは……ばななじゃないか。珍しい果物だな……。」


華扇「…」

じゅる~……


霊夢「追いかけるわよ! あの角を曲がっていった!」

ザザァーッ!




ザザザザザ……キキィーッ!

霊夢「ばななはドコ!!!?

……ハッ!」



ズラァァァーッ!



霊夢「い、いっぱいいるーーー!!」

どーーん!!!!!!!!


八百屋おやじ「おっ。お嬢さんバナナが欲しいのかな?」


魔理沙「や、八百屋か……。」


《八百屋には様々な野菜や果物が並んでいた……。

そこには当然、バナナもたくさん並べられている……。》


霊夢「ねぇ、動くバナナはどれ!?」


八百屋おやじ「は、はあ? バナナは動かないよ。」


霊夢「でも今こっちにばななの付喪神が行ったのよ!」


八百屋おやじ「付喪神? あぁ例の食べ物様かい。

そんなもの来てないよ。俺も見てみたかったなぁ、食べ物様。」


魔理沙「この店の野菜や果物は動き出さなかったのか?」


八百屋おやじ「ああ。残念なことにねぇ。

俺の慈しみの心が足らなかったのかねぇ。」


魔理沙「ここは被害に遭っていないのか……。大通りからちょっと離れてるからかな。」


霊夢「…………本当に…、このばななは付喪神じゃないの?」


八百屋おやじ「本当だとも。じゃあ一つ食べてみるかい?」


霊夢「え。いいの?」


八百屋おやじ「特別サービスだよ。ほら。」


霊夢「……ばなななんて初めて食べるわ。」


華扇(いいな……。)

ぺろり…


霊夢「…この皮を剥いで、食べればいいのかしら。」

むきむき


八百屋おやじ「あぁ! そのままパクーッと!」


霊夢「……あむ。」

かぽっ……


《霊夢がバナナをくわえこんだ……その時!》



ワシャアァァァァーーーーー!!!

バナナ「ギィィエエエエエエエーーーーッ!!!」

カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ!!!!!!!!


《霊夢の口の中のバナナに百足のような足が生え、暴れだした!》


霊夢「───」


魔理沙「れ、霊夢!!!!

……って、うわぁぁーっ!!!!」



ドンッ!!!!!!!!


野菜達『キョーーーーーーッ!!!!!!!!』


果物達『パオオオオオオオオン!!!!!!!!』


わしゃわしゃわしゃ!!!!!!!!

ズオオオオオオン!!!!!!!!!!!!


《八百屋にある全ての野菜や果物に手足が生え、暴れだした!!》


華扇「こ、このタイミングで……一斉に付喪神化!!?」



食べ物達『オオオオオオオン!!!』

わしゃわしゃ……ズザザザサザザザザァー!!!


《食べ物達は八百屋から飛び出して、逃げ出した!》



華扇「まずい! このままではまたパニックになるかもしれない!

追いかけましょう、霊夢!!

……霊夢?」


わしゃわしゃわしゃ……

霊夢「あ、あばぁぁぁぁぁぁぁ……!」

ブクブクブク…ちーーん(白目)


魔理沙「霊夢ーーーーーーーーーッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

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