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乙女ゲームに転生したけど、攻略対象者には興味がありません

作者: 立川梨里杏
掲載日:2018/06/15

短いです。気楽に呼んでください。

4作目です。

あれ。そういえば私、信号見たっけ?

ゲームに熱中していた私は、

そう思った頃には、

もうトラックが間近に迫っていた。


「あれ、ここは……」

光が溢れる宮殿のような場所に私はいた。

確かトラックに轢かれたのではなかったか。

辺りをきょろきょろと見回していると、

「あーーーーー!!君!!」

声のする方を振り向くと、

金髪に金の瞳をしたそれはそれは美しい中性的な容姿の男の人が立っていた。

私が二の句を継げずにいると、

「ああああ、ごめんねええ!

僕の手違いで本当に!申し訳ない!!」

世の中のありとあらゆる美を集結したようなその人は、勢いよく土下座をした。

美しい人は

死後の世界を司る神なのだという。

神様の手違いで、死ぬ運命になかった私はトラックに轢かれてしまったらしい。

私としてはゲームをしてた自分が悪いのであって、正直手違いだったと言われても今イチ実感がない。

てゆーか、神様が土下座していいのか。

「あの、土下座やめて下さい。

私、別に何とも思ってないので」

そう言うと、神様はがばり!と勢いよく顔を上げた。

涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。

「本当!?君は女神なのかな!?!?」

神様が何かのたまっていらっしゃる。

「よし決めた!

今度は君にとって最高の世界に君を送ってあげるよ!」

「いやあの、別にいいです…」

「君を絶対に幸せにしてあげるからね!!」

神様はとてもいい笑顔で人の話を聞かない。

私は眩い光に包まれたーー。



あれから私は、

どうやら自分の死因となった乙女ゲームのヒロインとして転生したらしい。

しかしあんなにも好きだったはずの世界なのに、どこか満たされない思いがあった。

キラキラ王子様にも、クールな騎士にも、ナンパな公爵家嫡男にも、ミステリアスな魔術師にも心を動かされないのだ。

私は適当に毎日を過ごしていた。

何度も何度もこの世界を繰り返し、遂にゲームで唯一のバッドエンドを迎えようとしていた。

バッドエンドは、攻略対象者を誑かした魔女として牢に永久に閉じ込められる。

攻略対象者全員に対して好感度がマイナスだった場合に起こるエンドだ。

この条件を満たすのは正直無理ゲー並みの難易度だ。

私は前世の知識と、繰り返したこの世界での知識を集約してついに成し遂げた。

「重罪人である魔女を、永久追放とする!」

私は一人、

誰にも気づかれないように微笑んだ。



牢の中へと入れられる。

唯一の窓には鉄格子がかけられ、外へ出ることは叶わない。

私は隠し持っていた毒をこっそり取り出す。


深呼吸をする。

毒を勢いよく飲みほした。


ごぽり。

口から夥しい量の血が溢れてくる。

薄れゆく視界の中、私が思ったのは満足感、ただそれだけだった。



ゆっくりと目を開ける。

やはりあの宮殿だ。

「ーーー?」

上から何か降ってきた。雨だろうか。

上を見ると、神様が泣いていた。

鼻水はまだ垂らしていなかった。

心底安心した。

「何で….…なんでっ!

君はっ……あんなことっ!!!

せっかく、幸せに、なれたのに!!」

神様がしゃくりあげている。

私は鼻水が落ちてこないうちに急いで起き上がった。

「あのですね、神様。

私がいつ、あの世界なら幸せになれると言ったんですか?」

呆れたように聞くと、神様はこてん、と首を傾げる。

「……違うの?」

はあ。

ため息ひとつ。

「神様は、私が幸せになれる世界に送ってくれるんですよね?」

そう聞くと、神様は勢いよく首を縦に振る。

「うん!勿論!!

別の世界が良かったの!?

そしたらそこに送るようにするよ!!」

そう言う神様に私は黙って首を横に振る。

「いえ、どこかへ送る必要はありません」

神様はきょとん、とした顔でこっちを見ている。

目がくらむ程美しい神様。

人間相手に土下座をする神様。

鼻水を垂れ流すことも厭わずに

涙を流して自分よりも悲しんでくれる神様。

そんなあなたに、

惹かれずにはいられなかった。

「あなたが、私を幸せにしてくれますか?」

そう言うと、

神様は真っ赤になってこう言った。

「君と幸せになりたいです!」


読んでくださってありがとうございました!

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