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姉上へ

作者: 桜ノ夜月

時々、ふとした時に、貴女の詩が読みたくなる。


あの、優しくて、温かくて、けれど、何処か寂しげな貴女の言葉に触れていたくなる。



────もういくら探しても、「小説家になろう(ここ)」に貴女はいない事くらい、わかってはいるのに



今でも苦しくて、寂しくて思い出すのは、貴女が「いなくなってしまった日」のことばかりだ。



受験勉強の息抜きにログインして、貴女の詩が読みたくなって。


貴女に伝えたい言葉が沢山あって、貴女の言葉に触れていたくて。



狂ったように、何度も何度も貴女の名前を探して。それでも、もう見付からなかったあの瞬間を。



ねえ、姉上。



私ばかり悩んで、私ばかり相談して。「貴女」の言葉に気付けなかったことを、今更後悔しています。


沢山助けて貰ったのに。沢山、優しい言葉を貰ったのに。



────結局、貴女には何も返せなくて、本当にごめんなさい



貴女が、昔。さよならをする前に言ってくれた「一緒に泣いてあげるから」って言葉を、最近よく思い出して。その度に、寂しさから逃げる事が出来なくなる。


貴女に甘えてばかりいて、貴女の話も聞く事が出来なかった子供にかけてくれた優しい言葉が、頭の中から離れなくて。


子供の様に、みっともなく貴女を「ここ」に引き止め続けた私に、優しく言葉を掛け続けてくれた「貴女」に、どうしようもなく逢いたくなって。



────それでも、もうきっと、「貴女」には逢えないのだろう



貴女の言葉が好きだった。貴女の、優しい詩が好きだった。


貴女がいつも、メッセージの最後に、自分の名前を残していくことが好きだった。


貴女が、どんな些細な言葉でも、馬鹿にせず、優しく聞いてくれる瞬間が好きだった。


貴女が、多くのコメントにも、一つ一つ丁寧に返事をする瞬間が好きだった。


どんなに醜い詩にも、必ず感想を書いてくれる瞬間が好きだった。


私が落ち込んでいたら必ずメッセージを飛ばしてくれる、優しい貴女が好きだった。



────私は、「貴女」が大好きだった



インターネット越しでも、例え、直接会って言葉を交わしたことは無くても。


誰に対しても丁寧で、そして誰よりも優しい貴女が大好きだった。


────…………私は、貴女に何かを返す事が出来たのかな。


姉上に伝えたい事は、時間が経つ度に増えていくばかりで。


進学先が決まった事、自動車免許が取得できる年齢になったこと、新しい友人が出来た事、油絵が少しだけ上手くなったこと、それでも、何処か寂しい気持ちからは、いまだに抜け出せないでいること。


伝えたい事は、息をする度に増えていくばかりで。溢れ出しそうなこの「言葉」を、どうすれば良いのかわからなくて。


────苦しくなる


暗い沼のずっとずっと奥底で、独りで(うずくま)っていたのを助けてくれたのは、いつも貴女だったから。



────もう立ち方もわからない、なんて、子供のように駄々を捏ねたら、もしかしたらまた貴女がふらりと現れるかな、なんて、つまらない期待をしてしまう。



そんなこと、あるはずがないのに。



ねぇ、姉上。私は、貴女に沢山の優しさと素敵な言葉を貰ったけれど。


私が貴女を救うことは、とうとう出来なかった。


伝えたかったことは、いつだって後から後から溢れ出て来て。その度に、貴女がいないことが、とても寂しくなる。


────本当は、私も貴女の味方だって伝えたかった。


インターネット越しでも、貴女に沢山救われていたことを、もっともっと伝えれば良かった。


貴女が大好きだって、貴女が呆れてしまうほど伝えれば良かった。



────大事な気持ちは、いつだって言葉にしなければ伝わらないのに。



姉上。私はまだ、貴女に聞いて欲しいことが沢山あるよ。


貴女に聞きたいことも、沢山あるよ。


貴女の優しい言葉に、もっともっと触れていたいよ。


貴女が辛いときは、いつだって話を聞いていたい。今度は、私が貴女の支えになりたかった。



────貴女とのお別れは、寂しすぎたんだ。



苦しくて、寂しくて、もう、どうしようもなくて。


お別れは、いつだって寂しすぎたから。結局、距離を縮めることも、だんだんと怖くなってしまった。



────私は、今でも貴女のことが大好きだよ。



貴女はどうかな。病気になっていないかな。きちんと身体を休めているかな。また、その優しさと穏やかさで、誰かを救っているのかな。



────苦しいよ、って、たった独りで泣いていないかな



姉上。私はいつまでも、貴女を大切に想っているよ。



小さな小さな私の世界から、ヘドロのような闇の中から、私を奮い立たせてくれていたのは、傍で温かく見守ってくれていたのは、いつだって貴女の言葉だったから。



その繊細な心で、優しさで、いつも弱くてずるい私を、包み込んでくれたから。



姉上へ。



またいつか、貴女の優しい言葉に触れることが出来る日が来たら。



────その時は、今度は、私が「一緒に泣いてあげる」って、伝えることを、許してもらえますか?



姉上へ。



どうかこの先、未来の貴女が歩く世界が、少しでも貴女にとって、優しい言葉で溢れていますように。



────私は貴女の幸せを、ずっとずっと祈り続けています



出逢ってくれて、傍に居てくれて、優しい言葉を沢山くれて、両手に持ちきれないほどの愛をくれて、本当にありがとう。



────どうか、未来の貴女が幸せでありますように。



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