7.考察と街道発見
さて、ここからは【描写物実体化】スキルの考察の時間だ。
まず、スキルの使用に成功した。
つまり俺の最大MP10で、最低でも1回は使う事が出来ると分かった。
MPの回復方法をフリスタに聞くべきだったな。
普通の異世界転移物だと、休憩するか1日経過で回復するのだが。
この世界はどうなのだろう。
ま、その辺は誰かに聞いたら教えてもらえるだろう。
まずは町を探さなきゃな。
俺は歩きながら街道を探しつつ、スキルの考察を続けることにした。
「絵を描く時、残り時間ってのがあったな。
つまり残り時間0分になると、スキルは失敗ということか?」
余裕が出来たら試さなければな。
「あと試したいのは、1度に絵を2つ以上描いた場合だ」
2つ完成品が出来るのか、MP消費量が変化するのか、この辺が知りたい。
むむむ。俺を【鑑定】してくれる協力者が必要だな。
フリスタ、また来てくれないかなぁ。
「ああそうだ。俺が内部構造を知らない物を書いても実体化するかどうかも調べなきゃな」
物を知っていても中身をきちんと知らない物、例えば時計や自動車など。
そういった物を描いた場合どうなるのか?
きちんと完成品が出てくるのか、それとも自分が知らない箇所が欠けて出てくるのか?
考えながら歩いていると、遠くに草の生えない、踏みならされた道を発見した。
「街道だ!」
とたんに、俺の腹がぐぅ~と鳴った。
緊張の糸が切れたらしい。
まだ気が早いぞ。
どうにか夜までに町か、最低でも安全な場所を見つけないと、ゾンビの餌になってしまう。
街道まで歩き、周りを見渡す。
町は見えない。
杖替わりに持っていた木の枝を倒す。
木の枝を再び拾い、枝の倒れた方向に進むことにした。