5.フリスタの【鑑定】結果
フリスタの話によると、俺には【描写物実体化】なるスキルがあるらしい。
スキルレベルは1。これはスキルの使用に応じて上昇するのだとか。
で、残念ながらこのスキル以外、俺はスキルを所持していないそうだ。
能力値も、凡人と大差無いらしい。
もっとチートな体にして欲しかったぞ、神様のケチ!
まあいい。
とにかく【描写物実体化】スキルだ。
スキルの使用にはMPを使う。
俺のMP最大値は10らしい。
MP消費量が分からないから、何度スキルが使えるのかは分からない、とフリスタは言っていた。
スキルの使用は、まず『ツール表示』と唱える。
すると描写できるようになり、描写後『実体化』と唱える。
すると実体化するらしい。
実体化するための材料は、最大1×1×1メートルの範囲の中に収めておかなければならない。
この範囲はスキルのレベルアップで広がる可能性が高いらしい。
生きた動物やモンスターを材料にする場合は、失敗する可能性が高いらしい。
ツール表示の制限時間は1時間。
この制限時間はレベルアップしても変わらない、と【鑑定】結果に書いてあったそうだ。
「ってナ感じだゼ!」
「なるほど分からん」
実際に使用してみなきゃ、始まらない。
とはいえ、今は真っ暗で、下はモンスターがウヨウヨ居る。
「明日になったら、試すか」
「えェー、今見せテくれヨぉ」
世話になったフリスタに見せてやってもいいが、今は余計な事をしてモンスターの注意をひくわけにもいかない。
「モンスターが居なくなったら、な」
「ってェと朝、カ。朝はモンスターも元気なクして潜っチまうからな。
俺っチも朝、苦手なんダよナぁ。それニ、今お使イの途中だシよォ」
「ああ、そういえばそうだったな。引き留めて悪かった」
「いいっテことヨ、急ぎノ用事じゃネぇし。
じゃアな人間。元気でナ」
「おう。色々とありがとう」
フリスタがパタパタと飛んでいく。
ってしまった!
町の方角を聞くのを忘れていた!
ああっ、俺の馬鹿!
叫べばフリスタに聞こえるだろうが、なんとなく下のモンスターの注意をひきそうだったのでやめておく。
とにかく、夜が明けなければ何もできない。
俺は木の上で、ゆっくり寝ることにした。