4.使い魔フリスタ
スキルを使うのは6話からになります。
夜になった。
赤い月みたいなのが3つ、空に浮かんでいる。
俺は近くの大木に登った。
この大木、デコボコしていて上が丁度良い感じの寝床になるのだ。
ありがてぇ。
何で木登りなんかしたのかというと、地表に色々とヤバそうなのが湧いてきたからである。
「ヴァー……」
てってってと走っている、目が赤く光った人間みたいなモンスター。
多分ゾンビだ。
そいつが、オオカミに角が生えたモンスターを追いかけている。
他にも、人の顔が付いた植物が地面から生えてきて、今言ったゾンビを食った。
やだ、この世界怖い。
ファンタジーというより、ホラーだろ。
もう帰りたい。
何かコウモリが俺の居る木にやってきた。
こいつもモンスターだろうか。
「んン? おメぇさん、人間?
何でこンな所ニ居るン?」
「喋ったー?! 絶対コウモリと違う!
助けてー! 殺されるー!」
「失礼だナぁ! 俺っチが人間を理由なク襲うカよ!」
逃げようとしても、腰が抜けて動けない。
もう駄目だ。
「俺っチは使い魔のフリスタ!
誰の使い魔かハ言えネぇけれど、さる高貴なお方ノ使い魔さ!」
「はぁ、そうっすか。……使い魔?」
「かァー、使い魔も知らネぇのカ! 俺っチが教えテやるヨ!」
使い魔とは、主に魔族と呼ばれる者が使い走りにしている、低級魔族のことらしい。
低級魔族は皆、幼少期に誰かに仕えることで、社会勉強をする。
高貴な者に仕えたら将来安泰。
強力な者に仕えたら将来は大魔族になれるらしい。
「俺っチも、あと400年くらいシたら凄ぇ魔族になっテ、毎日鮮血を浴びるヨうに飲むゼ!」
「俺の血は飲まないでくださいね」
「人間のはナぁ、あまり美味クねぇンだよナぁ……。
んナことよリ、だ」
コウモリのフリスタはニカーっとして、俺を見つめ、言った。
「面白ぇスキル持ってルなぁ人間! 【描写物実体化】っテ言うヤツ?
人間はもちロん、魔族でモそんナスキル持ってル奴見たこトねぇゼ!」
「何だって?」
フリスタが聞き捨てならないことを言ったぞ。
俺にスキル【描写物実体化】なるものが有る、と。
「そのスキル、詳しく教えてくれ!」
「自分のスキルの事なノに知らネぇのカよ……待ってろ、詳細を【鑑定】しテやっカら」
フリスタが何度か目を赤く光らせ、「だいタい分かっタ」と言った。
はやる気持ちを抑え、フリスタの話をじっくりと聞くことにした。