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3.独り歩く
ここは草原。
異世界転移の初期地点。
ということで、まずはお約束のアレをすることにした。
「ステータス・オープンっ!」
俺は、ステータスを開こうとした!
……。
…………。
………………しかし何も起こらなかった!
「ステータス! ステータス開示! 能力開示!
えーと、あと何がある?
アビリティ開示! 能力鑑定!」
その後、俺は思いつく限りのステータス開示の呪文を唱えたが、何も現れなかった。
「ってことは、ギルドの登録でステータスが分かるパターンか。
俺のチートがばれると、皆驚いちゃうなぁー。
いやー、まいったなぁ。俺は目立ちなくないのになー」
……。
…………。
………………寂しい。
誰からもツッコミが無いってのはなぁ。
ってか、こんな草原にボサーっと突っ立っていたら、野生のモンスターの餌食になる。
早いところ町を、せめて街道を見つけなければ。
俺は歩き出す。
途中にあった川の水で喉を潤し、川に沿って歩く。
人間の文明は、川の近くで発展したものが多い。
川沿いに歩けば、町が見つかるかもしれない。
俺は歩く。
歩き、歩き、そして……
夜になってしまった。