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3日目

窓から差し込む光が眩しかった。西に傾いた日は生徒達を帰れと急かさんばかりだった。

僕だって帰りたかったけど、その日は腕時計を教室に忘れてしまっていたんだ。

「なんで忘れたかなー。もう老化が始まってたりして…それはないか」

教室が次の角を曲がった先くらいの所で僕は異変に気がついた。

女子の声が教室から聞こえた。何が異変かって?もちろん彼女が声を荒らげていたからだ。

小さい声であったが、これを聞き漏らす男子などいないのだ。実際、校舎は閑散としていたし、テスト前ではあるまいし教室に残っている生徒なんてものもいないので無理にでも聞こえてしまうのだ。

いけないもの見たさに僕の心が高揚していく。恐らく僕の本来の目的地である当たりクラスメイトには違いないだろう。僕は蜘蛛男のような身のこなしで静寂に溶け込み、そして扉へ張り付き、金庫泥棒のような集中力で中の音を聞いた。

段々と荒げてゆく彼女の声と僕の心臓の拍が共鳴するようだった。

暫くすると彼女の声が聞こえなくなった。まだ心臓が荒ぶってはいたが、恐る恐る僕は教室の透明な窓から中をゆっくりと覗いた。

「――――――――――――!?」

僕の顔が一気に青ざめた。

さっきまで声を荒らげていた彼女は血を流して気を失っている。

僕は急いで扉を開け彼女の元へ駆けつける。彼女の左手首からは吹き出るように血液が脈拍とともに体外へ噴出されていた。右手には血のついたカッターナイフを握っていた。

あまりの衝撃で呆気に取られていたが、我を取り戻し、携帯を取り出した僕は取り乱したままであったが救急車を呼び、保健室へ助けを求めた。


彼女は急速に病院へと運ばれたが出血多量でまもなく死亡した。


僕が彼女を殺したんだ。あの時早く扉を開けていればあの娘を助けることが出来たのに。僕は殺人者だ。僕が彼女を殺したんだ。殺したも同然だ。僕は犯罪者だ。クラスメイトの苦しむ声をじっくりと聞き殺した外道だ。

僕が悪い。僕が、僕が、僕が、僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が――――――

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